日常観察隊おにみみ君

「おにみみコーラ」いかがでしょう。
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◎鬼吉とササ(その11)

2023年09月30日 | ◎本日の想像話
 鬼吉は目を覚ました。横になったまま目だけで辺りをうかがう。どこまでも見渡す限り白く、何もない世界がそこにあった。
 想像とは違うが、おそらくここが「あの世」なのだろうと鬼吉は感じた。
 閻魔に会うために覚悟はしていたが、ここまで「二つ鬼」になすすべがないとは思わなかった。舌打ちの後、くちびるをかみしめ、鬼吉は立ち上がった。どこに向かえば良いのかも分からないまま、とりあえず一歩、足を踏み出す。
「待て」
 鬼吉は背後から誰かに呼び止められた。

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◎鬼吉とササ(その10)

2023年09月29日 | ◎本日の想像話
 鬼吉は二つ鬼の意外な反応に戸惑いを隠せない。奴は訪れるすべてに人物に死を与える行動を取るのでないのか。鬼吉は再び声をかける。
「お前は二つ鬼と呼ばれている鬼だろう。聞きたいことがある」
 静寂と、沈黙が鬼吉の前を通り過ぎる。らちが明かないと判断した鬼吉は光のもれる入り口へと足をすすめる。油断なく、少しずつ顔を洞窟に差し込んだ。明るさに目がくらむ。
 その直後、壁に張り付いている二つ鬼と目が合う。巨大なナタが鬼吉へと振り下ろされた。
 二つ鬼の目は笑っている。

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◎鬼吉とササ(その9)

2023年09月28日 | ◎本日の想像話
 今夜は満月。
 あたりの様子は見て取れる。ごつごつとした岩肌に切れ目があり、明かりが漏れている。
 鬼吉はその明かりに向かって叫んだ。
「おい、いるか。用がある」
 永遠かと思えるほどの沈黙が続いた後、ひたひたと裸足の足音が聞こえた。
 軽やかな音。
 岩肌の切れ目から、顔だけをだして覗く。
 顔面はぬらぬらと青く光っている。 両の眼で鬼吉を見ていた。
 鬼吉は感じた。
 やつが二つ鬼だ。
 しかし、鬼吉を確認すると、すぐに顔を引っ込めた。

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◎鬼吉とササ(その8)

2023年09月27日 | ◎本日の想像話
 どうすれば閻魔に会えるのか。鬼吉はこの1年考え続けていた。そして、ひとつの仮説にたどり着いた。
 身をあずけていた木の枝を一度しならせて、その反動を利用して、鬼吉は地面に降りてきた。
「ササ。何が起きてもうろたえるなよ」
「どういうこと」
 ササは分かりやすく困惑と悲しみの表情をうかべている。
「俺、行ってくるから」
 そう言って鬼吉は振り返りもせず駆けだした。


 野を越え、山を三つこえ、七日間かけて、鬼吉はある岩山の麓にいた。「ここだ」
 鬼吉は二つ鬼のアジトにいた。 

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◎鬼吉とササ(その7)

2023年09月26日 | ◎本日の想像話
 あっという間に季節はめぐり、一年という時間が過ぎた。
「閻魔に会うのかい」
 ササが木の上で横たわる鬼吉に地面から声をかける。
「ああ」
「どうやって会う」
 鬼吉はどこまでも青い空の遠くを見ていた。
「この世とあの世の間に閻魔はいる。会うためには一度、俺はこの世からおさらばしないといけない」
 ササは鬼吉を見上げている。
「それは死ぬってことかい」
「そういうことだ」
 鬼吉はササを見ない。
「だが安心しろ。ふたつ鬼のことも俺なりに調べた。俺には考えがある。あの兄妹にはしばらく留守にするむねを伝えてある。米と味噌と、幾ばくかのお金を渡した。しばらくは二人でも大丈夫だ」

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◎鬼吉とササ(その6)

2023年09月25日 | ◎本日の想像話
「妹の名前は何という」
「メメ」
 鬼吉は無言でうなずく。
「ところでおまえたち飯は食ったのか?」
大伍は首を振る。
「少し待っていろ」
 鬼吉はきびすを返して、すばやく自分のねぐらに帰るとおひつの中の米で握り飯をつくった。
 うまそうに握り飯をほうばる兄妹を見て鬼吉とササは泣きそうになる。
 こうして鬼吉は朝と夕方に兄妹のためにご飯を届ける暮らしが始まった。
「大伍よ、米の炊き方は知っているのか」
「知らない」
「そうか、今後の為に教えておこう」
 飯を届けるかたわら、鬼吉は大伍に自分が教えられることを教え始めた。
 弓の使い方、獲物の狙い方は注力して教えた。

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◎子供が絵を描きました。

2023年09月24日 | ◎これまでの「OM君」
子供が絵を描きました。
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◎リアル乱歩トリックに遭遇!

2023年09月23日 | ◎これまでの「OM君」
リアル乱歩トリックに遭遇!
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◎鬼吉とササ(その5)

2023年09月22日 | ◎本日の想像話
「五平には借りがあった」
 鬼吉はそうつぶやくと、あとは口を開かなかった。自分の気持ちの迷いを振り切るように歩みを止めなかった。
「名前はなんと言う」
 背後からいきなり声をかけられた少年は飛び上がって驚いた。
「なんだあんたは」
 振り返った少年は咄嗟に斧に手をかけた。
「君のおやじには、昔世話になったことがあった。私は鬼吉というものだ。君の名前を教えてくれないか」
 両手に握った斧を少年はおろした。鬼吉の姿をまじまじと観察した後に「大伍」とぶっきらぼうに返答した。
 鬼吉は名前を教えてくれて安堵の息をもらした。
「大伍、お父さんはお母さんは残念だった。分け合って正体を明かすことは出来ないが、私が出来る限りのことはさせてもらう」

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◎へんしん

2023年09月21日 | ◎これまでの「OM君」
へ~んしん
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◎鬼吉とササ(その4)

2023年09月20日 | ◎本日の想像話
「ふたつ鬼があの子達の両親を襲ったのはつい先日。五平が放った弾丸は二つ鬼の片目を奪ったけれど、子供を逃がすのが精一杯だったそうよ」
 そう語るササの瞳にはうっすらと涙がうかんでいた。
「二人を黄泉の国から救いたいのか?」
 ササは懇願の目で鬼吉を見る。鬼吉はササの視線をはずして続けた。
「黄泉の国を司るのは閻魔大王だ。一度話してみる。しかしよほどのことがなければ、難しい」
 鬼吉は言い終わると丘を下りだした。ササはびっくりして後に続いた。

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◎鬼吉をササ(その3)

2023年09月19日 | ◎本日の想像話
扉ががらりと開く。
六歳くらいに見える男の子が両脇に薪を抱えてよろよろと出てきた。
「おにいちゃん」
後を追って、男の子より少し幼く見える女の子が様子をうかがう。
「危ないから中に入っていて」
「分かった」
女の子は家の中に戻る。
男の子は頭まで振り上げた斧を薪めがけて振り下ろす。


「あの兄弟がどうした」
鬼吉がササに聞く。
「ふたつ鬼って知っている?」
ササは鬼吉の問いには答えずに、幼い兄弟をじっと見たまま口を開く。
「聞いたことはある。自分の背丈と同じくらいの大ナタで何でも真っ二つにする青鬼。ついたあだ名がふたつ鬼」

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◎鬼吉とササ(その2)

2023年09月18日 | ◎本日の想像話
「一緒に来て」
ササは素早く頭をまっさかまにして駆け下りると、降り立った地面から鬼吉を見上げる。
「分かった」
鬼吉の方は無様と言っていいほど慎重にゆっくりと降りる。
鬼吉が降りるのを辛抱強くササは待つ。
鬼吉は人里に降りる際に愛用している虚無僧の傘をすっぽりとかぶる。
「こっちよ」とササは歩き出した。
ササの歩く姿は少し斜めだ。
子猫を守るために闘ったカラスにやられた怪我のせいとササは言っていた。
しばらく歩いた先に見えてきた煙だしの出た家を見た鬼吉はつぶやく。
「猟師の五平さんの家だな」
「そうよ」
ササは家を見下ろす丘の上で足を止めた。

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◎鬼吉とササ(その1)

2023年09月17日 | ◎本日の想像話
 夏は終わらない。
 日差しは容赦なく鬼吉を襲う。このまま倒れるのではないだろうかと思いながら鬼吉は歩く。
「鬼が鬼退治とは…」
鬼吉は目に入った汗の痛みを感じながらこれまでのいきさつを考えていた。


 鬼吉は木の上で昼寝をしていた。体を横にするのにちょうどいい枝振りを見つけた鬼吉は喜々として体を預けた。春の日差しは麗らかで、風が気持ちよい。うとうとしていると幹を駆け上がる生き物の気配を感じた。
「おい、鬼吉」
うっすらと目を開けた鬼吉が声の主を確認する。鬼吉がササと呼ぶ三毛猫の友達が深刻そうな瞳でのぞいてた。
「どうした」
鬼吉は枝を握って体を起こす。ササはすがるような声で鳴いた。
「あんた亡くなった魂は救えないのかい」
鬼吉は目をぱちくりしながらササに問う。
「俺には救えない。俺にはな…」
「その言い方は、魂を救う方法自体は知っているのか?」
「知ってはいるが、その前にいったい何があったのかを聞かせろ」
ササは安心したのか、なめた前足でしきりに顔をあらう。

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◎イタリアの貨幣

2023年09月16日 | ◎これまでの「OM君」
イタリアの貨幣は「ブーツ」であってほしい。
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