日常観察隊おにみみ君

「おにみみコーラ」いかがでしょう。
http://onimimicola.jimdofree.com

◎本日のお話「オンラインゲーム」

2015年08月30日 | ◎これまでの「OM君」
画面を見つめている。
深夜ゲームをやっている訳だが、ただのゲームではなかった。
20年前、オンラインRPGゲームの先駆けといわれたゲーム。
それをやっている。
当時、ゲーム内の通貨が、現実世界の通貨と同等の価値があり、レアアイテムなどが盛んに売買され、社会問題となった。
しかし、それも過去の話だ。

始まりの村。
まあ、案の定だれもいない。
仕方ない。
ある程度キャンペーンモードを進めて、様子をうかがうとする。
俺は、仕事でこのゲームに取り組んでいる。
記事にするのだ。
このゲームは変わっていて、3Dダンジョンなのにオンライン上の見知らぬプレイヤーとパーティを組むことが出来るのだ。
その時、ダンジョン内の移動はリーダーにまかされる。
チャットをもちいて相談しながら探索を行うことになる。

デフォルトのNPCと一緒にレベルを上げその日は朝を迎えた。
結局、他のプレイヤーには誰も会わなかった。

次の日の深夜。
操作を誤って真後ろにその場でターンした。
うっ
声が漏れた。
いた。
他のプレイヤーのシンボルキャラクターが真後ろにいた。
ゴールドの王冠を被った王子。
ひっそりと後ろを付けていたらしい。
これはインタビューしなければ。
一歩近づいた途端、相手も進んできた。
ファーストコンタクト、秒殺。
問答無用の一撃でこちらは全滅した。
4人のパーティは1人のプレイヤーキラーに負けた。
くそう。
くやしい。
発売から20年以上経過するゲームの現役プレイヤー。
さすが偏屈だ。
おもしろい。
こうなったら仕事は早々に入稿して、なんとしてもこいつを倒したくなった。

あれから1年。
キャンペーンは早々にクリアした。
さらに強い防具と武器を求めて、ダンジョンにもぐる日々だ。
あいつとはその後再会していない。
どこにいるゴールドクラウンの王子……。

絶対に探す。
真後ろを振り返った。
いた!
指先に力が入る。

先制攻撃をしのいだ。
いける。
相手との力は拮抗している。
先日手に入れたムラサメソードがうなる。
会心の一撃。
運は今夜、俺に味方している。
いける。
チャットで話しかける。
「私は1年前あなたにやられたものです。今夜あなたをたおします」
そうメッセージを送った。
「……」
無言。
30分の死闘。

倒した。
キャンペーンをクリアしたときよりも何倍もうれしかった。
その時、メッセージが送られてきた。
それは文章ではなく、住所だった。

次の日、ライターの性分でその住所にあるアパートをたずねた。
木造のアパート。
木の薄っぺらいドアをノックする。
応答はない。
ドアノブを回してみる。
ガチャリ。
ドアが開いた。
「ごめんください」
おそるおそる、首を室内につっこむ。
かび臭いにおいが鼻をつく。
板間の台所。
奥には木の格子にガラスが張られた引き戸のドアがある。
ガラスなので中の様子が何となく分かる。
モニターが付いている。
(誰かいる)
意を決して靴を脱ぎ、室内に入る。
もう一度声をかける。
「おじゃまします」
引き戸に手をかける。

そこには……
机から転げ落ちるような格好の白骨が転がっていた。
モニターにはあのゲームが走っている。
あのゴールドクラウンの王子は一体誰が操っていたのか。
答えは……
藪の中だ。
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◎本日のお話「タマコ」

2015年08月23日 | ◎これまでの「OM君」
小さな嘘が始まりだった。
「おれ猫飼ってるんだ」
「へぇ~猫好きなんだ」
数少ない女性との出会い。
後輩がセッティングしてくれた飲み会。
俺は気合いを入れていた。
いや入れ過ぎだったのかもしれない。
ショートカットの女性。
猫を飼っているという話をしていた。
おもわず嘘を言ってしまった。
嘘というか、実家では飼っていた。
名前は「タマコ」
三毛猫だった。
しかし、4年前に姿を消した。
猫は飼い主に自分の死に目を見せないという都市伝説がある。
たしかにタマコはおばあちゃんだった。
家族の間では、死んだのだろうという事になっていた。

今のアパートはペット不可なのだ。
飼いたい気持ちもあるが状況が許さないのだ。
猫を飼っている。
まるっきりの嘘ではないと思いたかった。
その日は猫の話で盛り上がり、お互いの連絡先を交換した


部屋に帰り、飲み会の余韻にひたる。
良かった。
うまくいきそうな予感がする。
でも……
どうしようか。
飼ってるって言っちゃったし、見せてねって言ってたし……。

こつん
ベランダから音がした。
ガラスをこするような音。
なんだろう。

そこに、三毛猫がいた。
うそだろ、ここ4階だぞ。
どうやって、迷い込んだんだ。
窓を開けると、するりと猫は部屋の中に入ってきた。
おいおいおい、入って来ちゃったよ。
見上げる猫の視線は全部お見通しという感じだった。
「うちに来るか?」
猫に聞いてみた。
「ニャー」
うんと言ったように思った。
早速、スマホで撮って送った。
名前は……
飲み会ですでに猫の名前は「タマコ」と紹介していた。
「お前の名前はタマコだぞ」
「にゃ」
分かった。
そう言ったように思えた。

タマコと暮らす生活が始まった。
タマコは不思議な猫だった。
座布団の上で前足を投げ出して眠る姿。
ミルクを飲んだ後に、おなかをさする癖。
実家にいたタマコとそっくりだった。

交際はタマコのおかげもあり順調にすすんだ。
1年後、僕らは結婚した。

タマコはある朝いなくなっていた。
まるで、自分の役目ははたした。
そんな感じだった。
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◎ゴールドライタンをかく。難しいライタン。

2015年08月15日 | ◎これまでの「OM君」
♪俺とお前は親友~親友~。
ライタンの必殺技は抜き手。
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◎本日の衝動買い(ポーズスケルトン)

2015年08月09日 | ◎これまでの「OM君」
可動式ガイコツ、ポーズスケルトンを衝動買い。
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◎本日のお話「侵入者」

2015年08月08日 | ◎これまでの「OM君」
現金が盗まれている。
最初は自分の勘違いかと思った。
財布の残金が少なくなっている?
ある時、ATMで下ろした現金を辞書の間に挟んだ。
仕事から帰って、財布にお金を補充しようと思って辞書を手に取った。
1万円足りない。
たしかに15万円下ろしたはずのお金が14万円になっていた。
間違いない。
この部屋に泥棒が入っている。
しかもばれないよう、ちょっとずつ盗んでいるようだ。
怖い。
そう感じた。
警察に通報した。

近所の派出所からスクーターに乗って制服組の若者がやってきた。
事情聴取を受けた。
どうやら被害届けを作成するらしい。
事務的な対応をする若者だった。
抑揚の少ないボソボソトした声で「調査します」
そう言って帰っていった。
若者のどんよりした瞳が気になった。

怖いので暫くこの部屋には帰らない。
でも犯人を捕まえるため、辞書のある本棚が収まるようにカメラを隠して設置した。

知人の家、ビジネスホテルで過ごし、家に帰ってきたのは一週間後だった。

もう引っ越そう。
そう決めていた。
どういう方法かは分からないが犯人は自由にこの部屋に入ってこれるのだ。
残しておいた現金を確認する。
1万円少ない。

カメラを手に取る。
何が録画されているのか。
AC電源でHDDに転送するタイプなので1週間記録できる。
1日目、2日目、3日目、特に異常はない。
4日目の動画をチェックしようとした…
手が止まる。
あるべき4日目のファイルが無い。
5日目、6日目のファイルはある。
動画に異常も無かった。
4日目に何があったのか。
その時、インターホンが鳴った。
ドアを開けると、そこにはどんよりした瞳のあの時の警官が立っていた。
「部屋の明かりが付いたので、お戻りかと思いまして伺いました」
ほっとしながら話した。
「ちょうど良かったです。僕、この部屋にいるのが怖くて留守にしていたんです。
で、留守の間の室内を防犯カメラで記録しておいたんです。
でも、仕掛けて4日目のファイルが消去されているんです。
カメラは隠して設置したので犯人に気づかれる事は無いはずなんですが…」
うつろだった若者の瞳にひらめきが走ったのが見えた。
ギアを1段上げたかのように若者はテンションを上げて話し出した。
「私、犯人が分かりました。
実はあの後、このアパートの玄関の見える場所で張り込んでおりました私。
ちょうど、そのファイルの消された日も私ここにおりました。
ちなみにその日、あなたこの部屋に戻られましたか?」
「いいえ、ずっと留守にしていて今帰ってきました。」
「そうですか。その日、あなたこの部屋に帰ってこられましたよ。」
「え…」
「覚えありませんか。帰ってこられて5分もしないうちにまたお出かけになられたので、あわてて追いかけて声をかけたんです。
まるで私とは初対面のような対応でした。
そして、まるで泥棒に入った犯人が警官と対峙したような反応をされました。
手には1万円札を1枚握っておられましたよ。
逃げるように走って行かれました。

犯人はあなたです。

あなた通院されていますね。
調べさせてもらいました。
ドクターともお話しました。
夢遊病と言うんですか、目が覚めると覚えの無い場所で寝ていることがあるそうですね。」

私は病院に通院などしていない。
私は分かった。
どうやら、記憶がない状態の私が病院に通院しているらしい。
今、起きている私は、どちらの私なのだろう。
地面がグラリと揺れた気がした。
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