やばいー
彼女と会う約束の時間はとっくにすぎている。
そんな時にかぎってどの駐車場も満車だった。
彼女の携帯に電話してもでない。
これは完全に怒っている。
やばい
やっとみつけた空きの駐車場は立体駐車場。
1階満車。
2階満車。
3階満車。
ぐるぐる回りながら車は上る。
俺の人生いつもこうだな。
焦っているのか冷静なのか分からなかったが思考は現実逃避を求めて迷走した。
もともと無計画な俺が悪いのだが、焦れば焦るほど状況が悪化していった。
無言で去っていく彼女の後ろ姿を想像してしまった。
目がまわったのか、スピードの出し過ぎか。
やっと空きを見つけたのは8階。
慌てて車から飛び出す。
エレベーターの降下ボタンを連打する。
連打したところでエレベーターが早く動くわけではない。
のろのろと1階からやってくる。
チーン。
涼しげな音がして沈黙の後ドアが開く。
「本日はご利用ありがとうございまーす」
サンダーバードのような帽子をかぶったスーツの女性がそう言った。
(エ、エレベーターガール…)
そうなのだ。エレベーターガールが乗っていたのだ。
「ご利用階数は何回ですか~」
そう脳天気に聞いてくる。普通に考えて、上から下に降りる人は1階に行くだろう。そう思いながら「1階でお願いします」
「はいかしこまりました~」
手袋をつけた指は1階のボタンを素早くおした。
エレベーターは降下を始める。
(待ち合わせ場所まで、ここから10分以上走らないとだめだ。どうしよう、どうしよう)
「次のご利用場所はどちらですか~」
「えっ?」
「ですから1階の次にお客様が向かわれる目的地はどこですかとお聞きしております。」
この人は、はたして何をいっているのか。
焦っている俺の様子を見て、世間話でもしようというのか。
エレベーターはまだ降下している。
「彼女とレストラン「しおさい」で待ち合わせなんですけど、実はすでに遅刻…」
言い終わらないうちにエレベーターガールは言った。
「かしこまりました~。カルボナーラのおいしいレストラン「しおさい」にご案内いたします~。」
「え、何言ってるの」
エレベーターは降下を止めた。
そして前進した。
まるでジェットコースターか、ジェット戦闘機のような強烈な加速。
壁にたたきつけられる。
転ぶ。
そして転んだまま彼女を見た。
涼しげな表情で彼女は立っている。
何事もないかのように。
右に左にエレベーターの箱はシェイクされる。
俺の体もごろごろと転ぶ。
どういうことなんだ。
急停車する箱。
チーン
「レストラン「しおさい」に到着いたしました。さあ急いで。」
エレベーターガールは俺の手をとり、ふわりとお姫様だっこした。
そのまま、レストランのドアを開け、店員の問いかけにも答えず凄いスピードで店の奥まった席に向かった。
彼女はいた。
爆音を発しながら近づく俺たちに彼女と目が合う。
そして急停止。
「遅れてごめん」
お姫様だっこされたまま俺は言った。
彼女は言った。
「その女は何なのよ」
俺が聞きたいよ。
そしてこれからの展開を思うと憂鬱になった。
彼女と会う約束の時間はとっくにすぎている。
そんな時にかぎってどの駐車場も満車だった。
彼女の携帯に電話してもでない。
これは完全に怒っている。
やばい
やっとみつけた空きの駐車場は立体駐車場。
1階満車。
2階満車。
3階満車。
ぐるぐる回りながら車は上る。
俺の人生いつもこうだな。
焦っているのか冷静なのか分からなかったが思考は現実逃避を求めて迷走した。
もともと無計画な俺が悪いのだが、焦れば焦るほど状況が悪化していった。
無言で去っていく彼女の後ろ姿を想像してしまった。
目がまわったのか、スピードの出し過ぎか。
やっと空きを見つけたのは8階。
慌てて車から飛び出す。
エレベーターの降下ボタンを連打する。
連打したところでエレベーターが早く動くわけではない。
のろのろと1階からやってくる。
チーン。
涼しげな音がして沈黙の後ドアが開く。
「本日はご利用ありがとうございまーす」
サンダーバードのような帽子をかぶったスーツの女性がそう言った。
(エ、エレベーターガール…)
そうなのだ。エレベーターガールが乗っていたのだ。
「ご利用階数は何回ですか~」
そう脳天気に聞いてくる。普通に考えて、上から下に降りる人は1階に行くだろう。そう思いながら「1階でお願いします」
「はいかしこまりました~」
手袋をつけた指は1階のボタンを素早くおした。
エレベーターは降下を始める。
(待ち合わせ場所まで、ここから10分以上走らないとだめだ。どうしよう、どうしよう)
「次のご利用場所はどちらですか~」
「えっ?」
「ですから1階の次にお客様が向かわれる目的地はどこですかとお聞きしております。」
この人は、はたして何をいっているのか。
焦っている俺の様子を見て、世間話でもしようというのか。
エレベーターはまだ降下している。
「彼女とレストラン「しおさい」で待ち合わせなんですけど、実はすでに遅刻…」
言い終わらないうちにエレベーターガールは言った。
「かしこまりました~。カルボナーラのおいしいレストラン「しおさい」にご案内いたします~。」
「え、何言ってるの」
エレベーターは降下を止めた。
そして前進した。
まるでジェットコースターか、ジェット戦闘機のような強烈な加速。
壁にたたきつけられる。
転ぶ。
そして転んだまま彼女を見た。
涼しげな表情で彼女は立っている。
何事もないかのように。
右に左にエレベーターの箱はシェイクされる。
俺の体もごろごろと転ぶ。
どういうことなんだ。
急停車する箱。
チーン
「レストラン「しおさい」に到着いたしました。さあ急いで。」
エレベーターガールは俺の手をとり、ふわりとお姫様だっこした。
そのまま、レストランのドアを開け、店員の問いかけにも答えず凄いスピードで店の奥まった席に向かった。
彼女はいた。
爆音を発しながら近づく俺たちに彼女と目が合う。
そして急停止。
「遅れてごめん」
お姫様だっこされたまま俺は言った。
彼女は言った。
「その女は何なのよ」
俺が聞きたいよ。
そしてこれからの展開を思うと憂鬱になった。