勤務先の会社が倒産した頃からヤスオの人生設計が狂いだした。
付き合っていた彼女には振られた。 失業保険のお金がなくなる頃、やっとヤスオは前向きになれた。
仕事を探そう。
手当たり次第に電話をかけた。
一社だけ面接にこぎ着けた
「当日は必ず自分の車で会場までお越しください」
面接を申し込んだ運送会社の社長は、電話越しにそう言った。
「分かりました」
「車はどこに停めていますか」
ヤスオは自分の車を停めている駐車場を説明した。
変なことを聞くなと思いながらも仕事ほしさにヤスオは答えた。
社長とのやりとりを思い出しながら、面接会場に向かうために自分の車に乗り込む。
ここから約二十分くらいの場所に運送会社はある。
走り出してすぐにヤスオは異変を感じた。
黒色の軽自動車が右車線からヤスオの車を抜き去る。
抜き去ったはずの軽自動車はなぜか速度を緩めて、併走した後、ヤスオの車の後ろに入る。
この行為が三度続いた。
背筋に冷たいものが走る。
ヤスオはバックミラーで運転手の顔を確認しようとするが、光が反射してよく見えない。
(なんの意図があって、こんなことをしているのだろう。怖い)
面接の時間までまだ余裕はある。
そう思ったヤスオはコンビニの駐車場に車を入れた。
黒い軽自動車は何事もなかったかのように直進していった。
安堵のため息をつき、ハンドルにつっぷした。
もう大丈夫だろうかと再び走りだす。
あと十分ほどで面接会場に到着する。
よかった、間に合う。
そう思った時だ。
後ろに見覚えのある、黒い車体がバックミラーに映る、
「うそだろ」
ヤスオはどうしようか考えた。
今はこのまま面接会場に向かおう。 そう決断した。
前だけを見るようにしながら、視界に入る黒い軽自動車をできるだけ見ないようにした。
目的地の駐車場に入る。
なんと軽自動車も入ってくるではないか。
ヤスオは建物のドアに向かって走る。
背後には同じように走りだす男の気配を感じる。
玄関ホールに入ると同時に背後の男が声を出した。
「ヤスオくん、合格だよ」
交通トラブルに冷静に対応できるかの見極めを社長自らがハンドルをにぎって行うテストだったのだ。
付き合っていた彼女には振られた。 失業保険のお金がなくなる頃、やっとヤスオは前向きになれた。
仕事を探そう。
手当たり次第に電話をかけた。
一社だけ面接にこぎ着けた
「当日は必ず自分の車で会場までお越しください」
面接を申し込んだ運送会社の社長は、電話越しにそう言った。
「分かりました」
「車はどこに停めていますか」
ヤスオは自分の車を停めている駐車場を説明した。
変なことを聞くなと思いながらも仕事ほしさにヤスオは答えた。
社長とのやりとりを思い出しながら、面接会場に向かうために自分の車に乗り込む。
ここから約二十分くらいの場所に運送会社はある。
走り出してすぐにヤスオは異変を感じた。
黒色の軽自動車が右車線からヤスオの車を抜き去る。
抜き去ったはずの軽自動車はなぜか速度を緩めて、併走した後、ヤスオの車の後ろに入る。
この行為が三度続いた。
背筋に冷たいものが走る。
ヤスオはバックミラーで運転手の顔を確認しようとするが、光が反射してよく見えない。
(なんの意図があって、こんなことをしているのだろう。怖い)
面接の時間までまだ余裕はある。
そう思ったヤスオはコンビニの駐車場に車を入れた。
黒い軽自動車は何事もなかったかのように直進していった。
安堵のため息をつき、ハンドルにつっぷした。
もう大丈夫だろうかと再び走りだす。
あと十分ほどで面接会場に到着する。
よかった、間に合う。
そう思った時だ。
後ろに見覚えのある、黒い車体がバックミラーに映る、
「うそだろ」
ヤスオはどうしようか考えた。
今はこのまま面接会場に向かおう。 そう決断した。
前だけを見るようにしながら、視界に入る黒い軽自動車をできるだけ見ないようにした。
目的地の駐車場に入る。
なんと軽自動車も入ってくるではないか。
ヤスオは建物のドアに向かって走る。
背後には同じように走りだす男の気配を感じる。
玄関ホールに入ると同時に背後の男が声を出した。
「ヤスオくん、合格だよ」
交通トラブルに冷静に対応できるかの見極めを社長自らがハンドルをにぎって行うテストだったのだ。