「土恋」 津村節子
新潟で代々続く窯元へ嫁いだ女性の物語。
戦後、シベリアから戻ったという、
窯元の跡取り息子と見合いをしたみほは、
窯元での暮らしを理解せずに嫁に入るのだが、思っていたよりも不安定な収入で、生活は苦しく、借金を背負うことになる。
陶器を焼くための薪も買えない状態で、
おまけに、詐欺にもあい、散々な日々。。。
それでも、みほは、
自分の着物を売って生活費をやりくりし、
夫を励ますのだった。
何をしても裏目に出る不運な夫婦だったが、
それでも、少しずつ道が開けていく。
実際にモデルがあって、それを基本にしているので、
陶芸の創作過程も詳しく描かれているし、
戦後の人々の暮らしや、新潟の風景も織り込まれ、
不幸な出来事から、立ち上がっていく2人の姿が、心に迫ってくる。
陶芸への愛、家族への愛が描かれ、美しい物語だと思った。