「心霊探偵 八雲 赤い瞳は知っている」 神永学 読みました。
主人公の斉藤八雲は死んだ人の魂が見える。
これは、生まれついての体質というか、才能である。
しかし、透視ができたり、念力が使えるわけではない。
同じ大学に通う晴香が、不思議な事件やトラブルを持ち込むのだが、
八雲はそれらの原因を探り、解決に導くのだった。
呪文で幽霊を封じ込めたり、
超能力が使える。。。というわけではないのだが、
幽霊たちの感情を読み取り、彼らが何を望んでいるかを知ることによって、
事件の真相を知り、解決に向かわせようとする。
八雲は少々ひねくれ物だけれど、かわいい。
そして、気の強い晴香、はみ出し刑事の後藤、
この3人のキャラクターが、絶妙!
怖さも味わえて、面白くて、ちょっとジーンと来て、
シリーズ化されているのを、どんどん読んでみたくなる。
4月からは、テレビドラマも始まるらしいので、見てみたい。
と、パンフに書かれていました。。。。
「寝ずの番」の試写会に行ってきました。
俳優・津川雅彦がマキノ雅彦として監督デビュー。
初監督作品に選んだのは、中島らもの原作「寝ずの番」。
キャスト:中井貴一・木村佳乃・富士純子・長門裕之など
落語界の重鎮・笑満亭橋鶴の通夜に集まった弟子とその家族たち。
彼らが寝ずの番をしながら繰り広げる楽しい(?)時間。
思い出話に花が咲き、飲めや歌えのにぎやかな夜。。。
そして、弔問客が、これまた、豪華!
桂三枝・米倉涼子・浅岡ルリ子・中村勘三郎などなど。。。
R-15というだけあって、ちょっとエッチな場面が多々あります。
時々、大笑いして、その後ちょっと退屈して。。。また笑って。。。と、
ま、けっこう楽しめたかな。。。って感じです。
最後は、「春歌」合戦になっていて、
巷で時々耳にする、聞くに堪えない、すごいのはないけど、
これは、おじさんが喜びそうな、映画なのかも。。。
「クローズド・ノート」 雫井脩介 読みました。
大学生・香恵は、
バイトに、クラブ活動にと忙しい日々を送っていた。
彼女は、少しおっとりとして、天然ボケタイプ。
そんな彼女が、
マンションのクローゼットから、見つけた1冊のノート。
最初は気に留めることもなく、
前の借主が忘れていったものだから、
いつか取りに来るだろうと、すっかり忘れていたのだが、
そのノートを開いたとき。。。彼女の平凡な日々は大きく変わりはじめる。。。
ノートには小学校の女性教師の日記がつづられていて、
香恵は、その教師の仕事や恋に対しての思いに共感を持ち、
彼女に会い行くことにしたのだが。。。
そこには思いがけない事実が待ち受けていた。。。
春の日の午後、ソファに寝転んで、
いい気持ちでこの本を読んでたはずが。。。
彼女の恋の行方も気になり、
ノートの持ち主の事も気になり、
どんどんのめりこんで。。。
そして、ラストでは、次から次へと涙があふれて。。。
涙でぐじゃぐじゃになってしまいました。
前半は、万年筆売り場でバイトをしている彼女ゆえに、
万年筆のうんちく事が描かれていて、
このままじゃ、万年筆物語になっちゃいそうとは思いつつ、
そういえば、私の万年筆は、どこにあったっけ???
と探してしまったのでありました。
なんとなく、万年筆で手紙を書きたい気分。。。
タイトルが面白そうなので、読んでみました。
この本は一昨年夏、77才で亡くなった作家の遺稿集だそう。。。
初めて読む作家さん、なんだけど、
芥川賞候補にも、直木賞候補にもなったことがあるとか。。。
短編が10篇収録されているのだけれど、
どれも、年代を感じさせない文章で、読みやすい。
「毒笑」では、建設会社の課長補佐が、自殺に追い込まれる、
「寂しい科学者」では、妻子と別居して暮らしていた科学者が、脳溢血で倒れる、
「消えた老人」では、いつも神社の境内のベンチに座っていた老人が、
突然、姿を消す。。。など、
どれも、社会の片隅で、小さな幸せを大切にしながら生きている人々を、
主人公とし、あたたかい目で見つめ描かれているのが解かる。
しかし、そこに忍び寄る影。。。
それが、物語の深みでもあり、切なさでもあり、どれも、心に残る作品。
地味。。。と言えなくもないが、落ち着いていて、
本格的というか、私は、すごく気に入った!
他の作品もぜひ、読んでみたいと思う。