読んでくださっている皆さん、タイトルの「大銀杏」、どんなイメージが湧きましたか?
18日、朝日新聞夕刊の第1面に大きくこの文字がありました。続いて「土俵際」と。私の頭には、紅葉の時期とて、銀杏並木が美しく色づいている風景が浮かびました。何?銀杏が土俵際?どこの並木だろう?何かの事情で切り倒されそうになっているのかしらん、と思ってしまったのでした。
とんでもない。大銀杏はその時佳境の大相撲、力士の髷の別名「大銀杏」でした。長く伸ばした力士の髪を縛る「元結(もっとい)」を作る職人が後継者がいないんだそうです。長野県飯田町に住む、祖父と父から学んだ技術を受け継いでいる職人が現状では一人なのだそうです。
また、大銀杏には欠かせない「びんつけ油」の製造も、同じような現状と言います。
大銀杏と言えば、思い出す名勝負があります。貴乃花(父親)が土俵を沸かせる人気力士でした。相手は誰だったでしょうか、(ごめんなさい)、土俵際に追い詰められ、俵ギリギリに踏ん張って、身体をそらしたのです。相手も体はほとんどありません。二人ひと固まりでどうと倒れました。貴乃花に勝ちの軍配が挙げられましたが、物言い(だったと思います)。結局、貴乃花の髷の先が地面についたのが一瞬早かったと、行司差し違えになりました。
インタビューで「髷がなかったら・・・勝っていましたよね。惜しかったですね」とアナウンサー。「髷がなければ力士じゃあありませんよ」と貴乃花。未練のかけらも見せない潔さでした。
その髷の根元を縛る元結がピンチなのです。