これまた「折々のことば」。
料理研究家の土井善晴。
「一人言うんは厳しいんです。ある意味で苦しみを伴う。だけれども、そこに食べる人が重なり合うことが、ものすごく重要なのです」食べる人が料理する人を気に掛ける、手伝う。「ちょっとだけ」でいい。それだけで「救われる」と。どんな仕事でも、皆のことを思い頑張っていても、して当たり前と受け取られると、自分の存在が否定されたような気になる。
消えてしまった古いブログでたびたび書きましたが、私は料理嫌いの料理下手、今日は何にしようか、上手くできるか、喜んで食べてもらえるか、夕食を作る時間になると気が重いのです。
こんな非優秀主婦になったのは、もちろん私が悪いのだろうけれど、一つには物心ついたころが、戦後の食糧難時代、まともな料理というものが、生活の中になかったことが原因の一つだと思います。母から料理というものを生活の場で学ぶことが少なかったのだと思います。食べられればそれだけでありがたい、料理のレパートリーなど広がりようがない生活だったのです。
それに、今土井氏の言葉を読んで、男子厨房に・・・そのもので育ち、座っていれば目の前にある程度のご馳走が(それが作れない女房でしたが)並ぶものと思い込んでいる夫は原因の一つか、とひそかに自己弁護をしたことでした。よくぞ言ってくださったとこれもひそかに拍手したことでした。
11月24日、朝日新聞広告面に同じ土井善晴さんが答えていました。
「子どもに白いご飯を美味しいと思ってもらう秘訣はありますか」という質問に答えてです。
料理研究家とも思えない答えです。
「おかずをたくさん作らないことです」。おかずが沢山あれば、子どもはおかずばかり食べてご飯抜きでお腹いっぱいになってしまうのです。お腹を空かせて美味しいご飯が炊きあがったらまずご飯だけでいいのです。実だくさんのお味噌汁と白いご飯で、全部バランスがとれているということです。おかずは楽しみのために作るということが大事で、メインディッシュを何にして・・・などという所から考えると悩んでしまいますよ。それはシェフが悩んだらいいのです。家庭料理を作る人が悩む必要はないのです。
う~ん、気が楽になりますね。気楽に考えれば、料理は案外楽しくなるのかな。食品30種をとか、タンパク質は何グラムとか、野菜は色とりどりをなどと考えすぎないことが、返って食事を豊かにするかもしれない。1週間とか、10日とか少し長いスパンで、美味しく食べておれば、栄養はおのずからバランスが取れていくかも。
非優秀主婦が、都合の良いように解釈して、ほくそえんでいます。