箱根旧街道 芦ノ湖から畑宿へ
授業を抜け出すという学生の心理は、知的障害の有無ではないようで、「そんなもんだろう」とも思う。
でも、本校の生徒は校外に出て、安全確保の判断力があるとは限らない。
渡り廊下から校外へ駆け出した生徒を、たまたま2階の窓から見ていた先生があり、
「〇〇君!、左に行った!。黒い上下のジャージ!!。」
すぐに自転車で追いかける。援軍?を呼ぶための携帯電話がポケットで踊る。遠くに行かないうちに。
坂の下まで来てみたが、見えない。
ベランダで布団を干しているおかあさんに尋ねると、「あっち、あっち」と2度指をさしいる。
「スミマセン!!」
と叫びながら、ペダルと踏みなおす。
あの指さしのジェスチャーだときっと走って通過していったのだろう。
次の角に着くと、キャップをかぶったおじさんと犬の散歩をつれたフリースの女性が立ち話をしている。
ここに人がいてくれてよかった。十字路になっており方向が分からない。
「歩いてこっち側に行ったわよ」
さすがに疲れて歩きだしたのかな。
今度はゆっくり進みながら、入り組んだ住宅地を注意深く探す。
午前中、洗濯干し、家の前の掃除、保育園の送迎の待ち合せ、犬の散歩の人などに躊躇している余裕もなく「黒いジャージの生徒」の行方を聞いた。
皆さんこっちの慌てている立場を理解してくれていてありがたい。
それにしてもどこにったのだろう思っていると、携帯が鳴り、もう少し先で自転車2号の先生が見つけたという。
やれやれ、バイパスの手前でとにかくよかった。心配ないというのでお役御免。
学校に戻る途中、まだ生徒の行方を尋ねた人たちがいて、自転車を引きながら丁重にお礼を言って回らねばならない。
「お騒がせしました…。」
元来、学校は地域の皆さんにご迷惑をかけることが多い、と思っている。
生徒が通学路で無軌道な行動をとることもある。校内放送がうるさいこともある。校庭の砂煙が舞うこともある。スクールバスの往来の騒音、来校者の迷惑駐車もあるかもしれない。
そんなことが固定観念になり、今日も恐縮しならが通常より丁重?にお礼である。
ところがである。反応が想定と少し違っていた。
「どこにいたの?」
と庭を掃いていた人。
「コンビニで雑誌読んでいたらしいんです」
「ああ、そう。高校生だかねえ」
と声を立てて笑っている。
また、別の人とは、話がそれて、
「いつも大きな声であいさつする子、随分大きくなったですね」
という。中学部の生徒を知っているらしい。
「いつも、うちの車を眺めていた男の子、もう卒業したの?」
「文化祭の時のバザーには毎年行っているよ」
など、こちらも丁寧にお礼を言ったし、切羽詰まった捜索の同情もあろうけど、こんな感じではないと思っていた。
地域には「懐」のようなものがある。
授業を抜け出すという学生の心理は、知的障害の有無ではないようで、「そんなもんだろう」とも思う。
でも、本校の生徒は校外に出て、安全確保の判断力があるとは限らない。
渡り廊下から校外へ駆け出した生徒を、たまたま2階の窓から見ていた先生があり、
「〇〇君!、左に行った!。黒い上下のジャージ!!。」
すぐに自転車で追いかける。援軍?を呼ぶための携帯電話がポケットで踊る。遠くに行かないうちに。
坂の下まで来てみたが、見えない。
ベランダで布団を干しているおかあさんに尋ねると、「あっち、あっち」と2度指をさしいる。
「スミマセン!!」
と叫びながら、ペダルと踏みなおす。
あの指さしのジェスチャーだときっと走って通過していったのだろう。
次の角に着くと、キャップをかぶったおじさんと犬の散歩をつれたフリースの女性が立ち話をしている。
ここに人がいてくれてよかった。十字路になっており方向が分からない。
「歩いてこっち側に行ったわよ」
さすがに疲れて歩きだしたのかな。
今度はゆっくり進みながら、入り組んだ住宅地を注意深く探す。
午前中、洗濯干し、家の前の掃除、保育園の送迎の待ち合せ、犬の散歩の人などに躊躇している余裕もなく「黒いジャージの生徒」の行方を聞いた。
皆さんこっちの慌てている立場を理解してくれていてありがたい。
それにしてもどこにったのだろう思っていると、携帯が鳴り、もう少し先で自転車2号の先生が見つけたという。
やれやれ、バイパスの手前でとにかくよかった。心配ないというのでお役御免。
学校に戻る途中、まだ生徒の行方を尋ねた人たちがいて、自転車を引きながら丁重にお礼を言って回らねばならない。
「お騒がせしました…。」
元来、学校は地域の皆さんにご迷惑をかけることが多い、と思っている。
生徒が通学路で無軌道な行動をとることもある。校内放送がうるさいこともある。校庭の砂煙が舞うこともある。スクールバスの往来の騒音、来校者の迷惑駐車もあるかもしれない。
そんなことが固定観念になり、今日も恐縮しならが通常より丁重?にお礼である。
ところがである。反応が想定と少し違っていた。
「どこにいたの?」
と庭を掃いていた人。
「コンビニで雑誌読んでいたらしいんです」
「ああ、そう。高校生だかねえ」
と声を立てて笑っている。
また、別の人とは、話がそれて、
「いつも大きな声であいさつする子、随分大きくなったですね」
という。中学部の生徒を知っているらしい。
「いつも、うちの車を眺めていた男の子、もう卒業したの?」
「文化祭の時のバザーには毎年行っているよ」
など、こちらも丁寧にお礼を言ったし、切羽詰まった捜索の同情もあろうけど、こんな感じではないと思っていた。
地域には「懐」のようなものがある。