誰も本当だと思っていないのにハワイのカメハメハ大王の末裔だと自称している例の友人だが、某大手の航空会社のロサンゼルス空港のステーション・マスターをやっていた時のことを思い出しながら私に話してくれたことがあった。以下はその時の話である。
日本からの便が着いた朝の10時ごろ、現地採用の従業員が「あそこで奇妙な言葉を話している日本人がいます。貴方がたの話す日本語とは違うようです」と云ってきた。興味を持った友人は云われた場所に行ってみると、半白髪の紳士が15人ほどの若い男女に向かって何かを話していた。最初は何を云っているのか分らなかったが、よく聞いてみると、どうやらその紳士は英語を使っているようだった。全体の言葉は意味不明だったが、時折 “and”とか“but”らしく聞こえる単語が聞こえた。それで、英語で話しているのではないかと解釈したのだ。それも、若者たちに“得意の英語”で訓示しているのではないかと判断した。だが、相変わらず内容は全く理解出来なかった。
後ろの方で退屈そうにしている若者の一人に聞いた。彼らは都内の名の知れた私立大学の英文科の学生で、話しているのは彼らのゼミの教授だそうだ。「教授の云っていること、君たちは理解出来ているのか?」と聞くと、ニヤッと笑って「僕には無理です。でも、前の方にいる女の子たちは理解しているようです」。それから彼は続けた「でも、入国審査の時、アメリカ人の係官の話す言葉は完全に理解出来ました。僕が皆に通訳してやりました」と云って、またニヤリと笑った。
私の時もそうだったが、中学、高校、大学と、10年も英語を学んで全く話せないし、相手の云っていることもわからない。だからと云って本や新聞をスラスラ読めたわけではなかった。私の中学は都内だったが、英語の教師は東北の出身で英語の教科書を読むときもなまっているように感じた。最初は分らなかったが、酒好きの教師は授業中によくウェスキーと云っていたので、教科書を読むときもそのように読んでいるのではなかろうかと考えた。この教師とは別にもう一人の教師がいた。元は在ロンドン日本大使館勤務だったとのことだ。教科書の他に我々には到底理解出来ない副読本を買わされた。「君たちには非常に難しいと思う。だから書いてあることを暗記してしまえ。暗記してしまう事から言葉は自然と理解し、話せるようになるのだ」。そして、二人の教科書を読む発音が全く違っていた。それで、我々生徒は二通りの発音で二人の教師の授業を乗り切った。忙しかったが懐かしい思い出だ。
落ち着いて写真を撮りたくなったときは日本民家園に足が向く。仮にいい写真が撮れなくとも、古民家群を観ているだけで心が落ち着く。北村家では年に一度、多い年でも二度しか竈に火を焚かない。二か月ぶりに行ったのに運よく竈に火をおこす日だった。最初の二枚がその写真である。

キヤノンEOS5DMkⅣにEF17-40mm、4Lを装着。 ISO:1,600、 f11、 1/20秒、 露出補正:-1、 WB:オート。

キヤノンEOS5DMkⅣにEF17-40mm、4Lを装着。 ISO:1,600、 f11、 1/30秒、 露出補正:-1、 WB:オート。

キヤノンEOS5DMkⅣにEF17-40mm、4Lを装着。 ISO:200、 f11、 1/20秒、 露出補正:-1、 WB:オート。

キヤノンEOS5DMkⅣにEF17-40mm、4Lを装着。 ISO:100、 f11、 1/13秒、 露出補正:-1、 WB:オート。

キヤノンEOS5DMkⅣにEF17-40mm、4Lを装着。 ISO:200、 f11、 1/40秒、 露出補正:-1、 WB:オート。

キヤノンEOS5DMkⅣにEF17-40mm、4Lを装着。 ISO:200、 f11、 1/30秒、 露出補正:-1、 WB:オート。
午前と午後では、当然のことであるが、陽の射す方向と影の文様が異なる。それが面白く、午前と午後に民家園を出るときにこの塀を撮る。愚にもつかぬこだわりとお笑いになる方が多くおいでになると思うが、写真とはそのようなものではなかろうか。
日本からの便が着いた朝の10時ごろ、現地採用の従業員が「あそこで奇妙な言葉を話している日本人がいます。貴方がたの話す日本語とは違うようです」と云ってきた。興味を持った友人は云われた場所に行ってみると、半白髪の紳士が15人ほどの若い男女に向かって何かを話していた。最初は何を云っているのか分らなかったが、よく聞いてみると、どうやらその紳士は英語を使っているようだった。全体の言葉は意味不明だったが、時折 “and”とか“but”らしく聞こえる単語が聞こえた。それで、英語で話しているのではないかと解釈したのだ。それも、若者たちに“得意の英語”で訓示しているのではないかと判断した。だが、相変わらず内容は全く理解出来なかった。
後ろの方で退屈そうにしている若者の一人に聞いた。彼らは都内の名の知れた私立大学の英文科の学生で、話しているのは彼らのゼミの教授だそうだ。「教授の云っていること、君たちは理解出来ているのか?」と聞くと、ニヤッと笑って「僕には無理です。でも、前の方にいる女の子たちは理解しているようです」。それから彼は続けた「でも、入国審査の時、アメリカ人の係官の話す言葉は完全に理解出来ました。僕が皆に通訳してやりました」と云って、またニヤリと笑った。
私の時もそうだったが、中学、高校、大学と、10年も英語を学んで全く話せないし、相手の云っていることもわからない。だからと云って本や新聞をスラスラ読めたわけではなかった。私の中学は都内だったが、英語の教師は東北の出身で英語の教科書を読むときもなまっているように感じた。最初は分らなかったが、酒好きの教師は授業中によくウェスキーと云っていたので、教科書を読むときもそのように読んでいるのではなかろうかと考えた。この教師とは別にもう一人の教師がいた。元は在ロンドン日本大使館勤務だったとのことだ。教科書の他に我々には到底理解出来ない副読本を買わされた。「君たちには非常に難しいと思う。だから書いてあることを暗記してしまえ。暗記してしまう事から言葉は自然と理解し、話せるようになるのだ」。そして、二人の教科書を読む発音が全く違っていた。それで、我々生徒は二通りの発音で二人の教師の授業を乗り切った。忙しかったが懐かしい思い出だ。
落ち着いて写真を撮りたくなったときは日本民家園に足が向く。仮にいい写真が撮れなくとも、古民家群を観ているだけで心が落ち着く。北村家では年に一度、多い年でも二度しか竈に火を焚かない。二か月ぶりに行ったのに運よく竈に火をおこす日だった。最初の二枚がその写真である。

キヤノンEOS5DMkⅣにEF17-40mm、4Lを装着。 ISO:1,600、 f11、 1/20秒、 露出補正:-1、 WB:オート。

キヤノンEOS5DMkⅣにEF17-40mm、4Lを装着。 ISO:1,600、 f11、 1/30秒、 露出補正:-1、 WB:オート。

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キヤノンEOS5DMkⅣにEF17-40mm、4Lを装着。 ISO:200、 f11、 1/30秒、 露出補正:-1、 WB:オート。
午前と午後では、当然のことであるが、陽の射す方向と影の文様が異なる。それが面白く、午前と午後に民家園を出るときにこの塀を撮る。愚にもつかぬこだわりとお笑いになる方が多くおいでになると思うが、写真とはそのようなものではなかろうか。