つぼみな日々

いろんな花の蕾をもっていたい。たくさんの花を咲かせたい。
言葉を紡ぎたい私のブログです。

小学生みたいに

2014-11-07 01:27:49 | 日記
句会仲間であり、ブログ仲間であり、大学の先生であるたかじさんに俳句の書を渡しに行く。

今日私は、たかじさんに向かって二度の暴言を吐いた。
一つ目は、俳句を共著で出したら面白いですねという話のくだりで「何の共通点もない人と出すのはいいですね」と言ったこと、二つ目は、月末の展覧会に来て下さるということでそこでお会いする約束をしたというのに「良いお年を」と帰り際に言ったこと。
こんなに共通点が多くて、そしてかつての社会学の師であるというお方に。
「良いお年を」というには早すぎる11月初旬に。

私は、自覚的にも無自覚的にも失礼なことを言ってしまうことがよくある。
相手に突っ込まれた場合や自分で気が付いたときは、どうか、どうかお許しくださいと念じながら帰ったりする。
まったくの無自覚で、相手にも何も言ってもらえなければ、もう悩むことすらできないけれどたぶん自覚している件の4倍くらいあるのだろうなと思う。

たかじさんの句を私が書に起こして、研究室に飾っていただく。
書籍で埋もれた研究室は、見た目にも文字が溢れているので、書はよく合う。
ちなみにポップでキッチュでモロカンで花と観葉植物が多い私の部屋には、書はとても違和感があって景観を乱すので、ひとつも飾っていない。

額に書を収めると、途端に立派になる。
そのものだけで独り立ちできる良さを持っていることがその前提条件ということにしておきたいが、それにしても額の力はすごい。
“作品”になる。

私の作った句ではないので、それほど恥ずかしさはないのだけれど、やはり自分の書がそのように独り立ちして誰かに見られていることを思うと「嬉し恥ずかし」という気分になる。
そして私は、自分の言葉で自分を喋ることがどうにも恥ずかしくて怖いと思っているのだということも思ったりする。

「冬近し会いたき人の二三人」の句は、“二、三人”というところがミソで、私は「社交的な私とて、本当に会いたい人は二、三人くらいなものですよ」という意味合いで解釈していた。
この場合、別に“五、六人”でも良かったわけだけれど、“五、六人”より“二、三人”とした方が「それが誰なのか作り手しか知り得ないけれど、とにかく数少ない大切な誰か」というニュアンスが出るような気がする。

そんな解釈をしている私にたかじさんが「あなたもこの二、三人に入っているんですよ」、と言われたので私は少し照れてしまった。
毎年書作展の季節がこの時期で、たかじさんは毎年見に来て下さるので恒例的なものではあるのだけれど。
と、照れたところで、たかじさんはこの“二、三人”というところに私がしている解釈ほどの意味は持っていないようであった。

少し話は飛ぶけれど、「誰かの数少ない大切な誰か」に私がなれるとしたら、その誰かさんには、極めて独立的に、極めて勝手に、その誰かさんのメリットだけを考えてそう思ってもらえたらとても嬉しい。
ただ「誰かの数少ない大切な誰かになろうと努めること」はできないし、されたくもない。


出品していた東京書作展の結果通知が来た。
結果は「特選」、今までで最も上位賞である。
約3000点のうちの50番くらいには入ったことになる。

ヒロトの詞もマーシーの詞も展覧会ではもう書かないと決めて、中原中也「憔悴」という詩を書いた。
私の中での今回のテーマは、あの公募展における「技術力」への挑戦だった。

もちろん今までも技術力については私なりの研鑽をしてきたけれど、「思い」の表出の方を優先してきた。
出来得る限りの「思い」が滲むといいなと思って書いてきた。

同じ詩文を形違いで2点出品して、2点とも賞が付いていた。
その程度にはあの公募展における「技術力」が身についてきたと言ってもいいだろう。
ただ今回は明らかな目的の下にやっていたので、結果一歩及ばずと言ったところで残念な気持ちもしている。

とはいえ、「憔悴」という詩も気に入って書いたものだし、「思い」が入っていないというわけでは全然ない。
いつも、いつでも消せない自分はそこにいるし、そもそも完全に消そうと試みたわけでもないので、私という何かは無論滲んでいるものになってはいるはずだ。

展覧会に出品するものは事前に写真に残していないので私も作品の全貌を忘れかけている。
展覧会場できっと、思った以上に技術力より思いの方が出てしまっているではないか、ということになる気がする。


会期が短いですが、もしよろしければお足を運んでいただけますと幸いです。

○東京書作展
平成26年11月26日(水)~11月30日(日)
サンシャインシティ展示ホールA
東京都豊島区東池袋3-1-3ワールドインポートマート4階

※通常入場料が500円かかりますが、ご希望の方がいらっしゃればご招待券をお送りいたしますのでお知らせください。


桃缶とリップクリームの美味しさよ