《金曜アンテナ》
◆ 教員の定年後再任用拒否裁判 都に損害賠償の判決
職員会議での発言を「学校運営に反発した」とされ、定年退職後の再任用更新を東京都教育委員会に拒否された杉浦孝雄氏(64歳)が損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁(古久保正人裁判長)は3月6日、計70万円の支払いを都側に命じた。損害賠償に加え、慰謝料20万円が認められた画期的な判決となった。
杉浦氏は2010年3月、都立杉並工業高校教諭を定年退職。その後、同校で再任用され、再任用2年目の11年10月に、3年目の更新申込書を提出した。だが細川清次校長(当時)は、面接要領に則った選考面接を行なわないまま、評定票と都教委宛推薦書の総合評定をCとし、不採用とした。
細川氏は、杉浦氏が①11年7、9月の職員会議で海外修学旅行の実施について全教職員にアンケート調査する必要がある旨の意見を述べ、②教職員全体で係を決め、12年度の校務分担希望結果を提出した--など、「校長(主導)の学校運営への反発が強く、円滑な運営に支障がある」と主張した。
しかし判決は、①について、都教委が海外修学旅行の実施条件として3年間の継続を指導していることから、当該学年以外の全教職員から広く意見聴取し検討する必要性があったとしたほか、職員会議で異論続出の中、杉浦氏は校長の意思決定を円滑にする打開策として提案したなどと、判じた。
②には、調査内容を職員会議で決定した事実はなく(そもそも杉浦氏は係ではなかった)、校長の人事権の侵害とはいえない、とした。
判決はこれらを踏まえ、前記・細川氏の推薦書などのC評定を「著しく合理性、社会的相当性を欠く判断」と認定。都教委の不採用決定の判断も「裁量権の逸脱、濫用があり、国賠法上違法」と断じた。
職員会議が上意下達の伝達機関と化す中、教員が発言する必要性が認められた意義は大きい。
『週刊金曜日 984号』(2014.3.21)
◆ 教員の定年後再任用拒否裁判 都に損害賠償の判決
永野厚男(教育ライター)
職員会議での発言を「学校運営に反発した」とされ、定年退職後の再任用更新を東京都教育委員会に拒否された杉浦孝雄氏(64歳)が損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁(古久保正人裁判長)は3月6日、計70万円の支払いを都側に命じた。損害賠償に加え、慰謝料20万円が認められた画期的な判決となった。
杉浦氏は2010年3月、都立杉並工業高校教諭を定年退職。その後、同校で再任用され、再任用2年目の11年10月に、3年目の更新申込書を提出した。だが細川清次校長(当時)は、面接要領に則った選考面接を行なわないまま、評定票と都教委宛推薦書の総合評定をCとし、不採用とした。
細川氏は、杉浦氏が①11年7、9月の職員会議で海外修学旅行の実施について全教職員にアンケート調査する必要がある旨の意見を述べ、②教職員全体で係を決め、12年度の校務分担希望結果を提出した--など、「校長(主導)の学校運営への反発が強く、円滑な運営に支障がある」と主張した。
しかし判決は、①について、都教委が海外修学旅行の実施条件として3年間の継続を指導していることから、当該学年以外の全教職員から広く意見聴取し検討する必要性があったとしたほか、職員会議で異論続出の中、杉浦氏は校長の意思決定を円滑にする打開策として提案したなどと、判じた。
②には、調査内容を職員会議で決定した事実はなく(そもそも杉浦氏は係ではなかった)、校長の人事権の侵害とはいえない、とした。
判決はこれらを踏まえ、前記・細川氏の推薦書などのC評定を「著しく合理性、社会的相当性を欠く判断」と認定。都教委の不採用決定の判断も「裁量権の逸脱、濫用があり、国賠法上違法」と断じた。
職員会議が上意下達の伝達機関と化す中、教員が発言する必要性が認められた意義は大きい。
『週刊金曜日 984号』(2014.3.21)
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