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9.15東京「君が代」裁判四次訴訟地裁一部勝訴判決に対する原告団・弁護団声明

2017年09月16日 | 日の丸・君が代関連ニュース
 ◎ 声 明

1 本日,東京地方裁判所民事第11部(佐々木宗啓裁判長)は,都立学校の教職員14名に対する卒業式・入学式の国歌斉唱時の起立斉唱の強制にかかわる懲戒処分(停職6月・1名1件,減給10分の1・6月2名2件、同1月3名4件,戒告9名12件)の取消しを求めていた事件について,原告らに対する懲戒処分のうち,6名7件の減給及び停職処分について,東京都教育委員会の裁量権逸脱・濫用に当たり違法であるとして取り消す原告ら勝訴の判決を言い渡した。
2 本件は,東京都教育委員会(都教委)が,2003年10月23日に「入学式,卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について」との通達(10・23通達)を発令し,全ての都立学校の校長に対し,教職員に「国旗に向かって起立し国歌を斉唱すること」を命じる職務命令を出すことを強制し,さらに,国歌の起立斉唱命令に違反した教職員に対して懲戒処分を科すことで,教職員らに対して国歌の起立斉唱の義務付けを押し進める中で起きた事件である。
 原告らは,自己の歴史観・人生観・宗教観等や長年の教育経験などから,国歌の起立斉唱は,国家に対して敬意を表する態度を示すことであり,教育の場で画一的に国家への敬意を表す態度を強制されることは,教育の本質に反し,許されないという思いから,校長の職務命令に従って国歌を起立斉唱することが出来なかったものである。
 このような原告ら教職員に対し,都教委は,起立斉唱命令に従わなかったことだけを理由として原告らに対し戒告・減給等の懲戒処分を科してきた。
 なお,このような懲戒処分は,毎年,卒業式・入学式のたびに繰り返され,10・23通達以降,本日まで,職務命令違反として懲戒処分が科された教職員は,のべ480名余にのぼる。
3 本判決は,本件の先行事件である東京「君が代∫裁判1次訴訟,2次訴訟の最高裁判決(1次訴訟につき2012年1月16日,2次訴訟につき2013年9月6日)の示した「戒告を超えてより重い減給以上の処分を選択することについては,本件事案の性質等を踏まえた慎重な考慮が必要となる」とした基準に従って,原告らに科された「減給」及び「停職」処分には,処分の相当性を基礎づける具体的な事情がなく,社会通念上著しく妥当を欠き,懲戒権の範囲を逸脱・濫用しており違法であるとの判断を示した。
 一方で,本判決は,戒告処分については、懲戒処分のうち最も軽い戒告処分をすることが裁量権の範囲の逸脱または濫用には当たらないとし,その取消を認めなかった。
4 また,本判決は,10・23通達・職務命令・懲戒処分が,思想良心の自由を保障する憲法19条,信仰の自由を保障する20条,教育の自由を保障する23条,26条に違反し,教育基本法16条(不当な支配の禁止)に該当し,違憲・違法であるとの原告ら教職員の主張については,従前の判決を維持し,これを認めなかった。
 さらに,処分が取り消されれば原告ら教職員の精神的苦痛は慰謝されるとして,国家賠償請求も棄却した。
5 本判決が,戒告処分がもたらす実質的な不利益を十分に検討しないまま,懲戒処分の形式的な効力に拘泥して,戒告処分を容認した点は,司法が担うべき行政権の裁量統制の役割を放棄したものであって受け容れることはできない。
 また,従前の最高裁判決に漫然と従い,憲法違反,教育基本法違反を認めなかった点,国家賠償請求を棄却した点はきわめて遺憾である。
 しかしながら,わたしたちは,本判決が,減給および停職処分を違法としたことは最高裁に引き続き,都教委による不起立の回数のみを理由とする加重処分を断罪したものであって,全国で唯一停職処分まで選択した都教委の暴走に歯止めをかける判断であり,司法が,明らかに行き過ぎであり違法であると評価し,その懲戒処分の取消しを命じたことを評価したい。
 2012年の最高裁判決において2回目以降の不起立に対する減給以上の処分が取り消されて以降,都教委は3回目までを戒告とし4回目以降の不起立に対して減給処分とする取り扱いをしてきた。
 本判決では,4回目・5回目の不起立に対して減給処分を科された原告について,当該減給処分も都教委の懲戒権の逸脱・濫用にあたり違法であるとの判断が示された。この点は,不起立の回数が減給処分の相当性を基礎づける具体的な事情には当たらないとの判断を示したものであって,回数のみを理由とした処分の加重を否定した点は高く評価できる。
6 都教委は,10・23通達発出後,不起立を理由とする懲戒処分や,不起立を理由にした再雇用拒否,再発防止研修命令等を毎年繰り返してきた。
 本判決は,国歌斉唱時の不起立を理由とする教職員に対する減給以上の懲戒処分が違法となることを明らかにしたものであり,都教委に対して国歌の起立斉唱の義務付けに対する反省と撤回を強く求めるものである。
 今度こそ,都教委は司法判断を受け入れ,教職員に対するすべての懲戒処分を撤回するとともに,直ちに10・23通達を撤回し,教育現場での「国旗・国歌」の強制と,「国旗・国歌」強制に象徴される教職員に対する管理統制を改めなければならない。
 特に,都教委は,先行する訴訟において処分の取消しを命じる司法判断が確定した現職の教職員に対して,再度,同一の職務命令違反の事実について懲戒処分を科してきたが,都教委がした違法な懲戒処分が取り消された事実を重く受け止め,原告らに対して重ねての懲戒処分はやめるべきである。
 わたしたちは,本判決を機会に,都教委による「国旗・国歌」強制を撤廃させ,児童・生徒のために真に自由闊達で自主的な教育を取り戻すための闘いにまい進する決意であることを改めてここに宣言する。
 この判決を機会に,教育現場での「国旗・国歌」の強制に反対するわたしたちの訴えに対し,皆様のご支援をぜひともいただきたく,広く呼びかける次第である。
2017年9月15日
東京「君が代」裁判(4次訴訟)原告団・弁護団

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