東京オリンピック・パラリンピック組織委員会 様
森喜朗会長 様
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会・森喜朗会長による日本国憲法と「オリンピック憲章」に違反する、リオデジャネイロオリンピック選手団壮行会における「国歌・君が代」斉唱強制に抗議し発言撤回を求める!
1.私たち、<許すな!「日の丸・君が代」強制、止めよう!安倍政権の改憲・教育破壊 全国ネットワーク>は、全国各地の現職教員や退職教員、保護者、市民、労働者とともに、文部科学省・東京都教育委員会などによる「日の丸・君が代」の強制に反対してきた全国的グループです。
2.私たちは、日本国憲法で保障された「内心の自由・良心の自由・思想の自由・表現の自由・教育の自由」を侵害し、自分で考えずに指示に従う子どもや教職員にすることに繋がる「君が代」処分と「服務事故再発防止研修」という名で教職員の思想転向を強制する「研修」の廃止を強く求めて運動を進めてきた。
3.2016年7月3日、東京・代々木の体育館であったリオデジャネイロ五輪の代表選手団の壮行会で、2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が来賓のあいさつで、壇上に、選手ら約300人が登壇し、来賓挨拶直前の陸上自衛隊中央音楽隊の松永美智子陸士長による国歌独唱時の様子を振り返って「どうしてみんなそろって国歌を歌わないのでしょうか」「口をモゴモゴしているだけじゃなくて、声を大きく上げ、表彰台に立ったら、国歌を歌ってください」「国歌を歌えないような選手は日本の代表ではない」と選手団に呼びかけた。また、「サッカー女子の澤穂希さんや、ラグビーの五郎丸歩選手が「君が代」を歌い、その様子を見て国民が感動した」と述べた。
なお、場内ではみんなで声を合わせて歌う「斉唱」ではなく「国歌独唱」とアナウンスされ、ステージ上のモニターにも「国歌独唱」と表示されていた。
4.私たちは、日本国憲法で保障された「内心の自由・良心の自由・思想の自由・表現の自由・教育の自由」を守る立場から、そして、「オリンピック憲章」では、表彰式や開会式などの旗と曲は、「選手団の旗と歌」でしかないと明記されていることからも、2016年7月3日、リオデジャネイロ日本代表選手団壮行会で、五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が、直前の陸上自衛隊中央音楽隊の松永美智子陸士長による国歌独唱時の様子を振り返り、「どうしてみんなそろって国歌を歌わないのでしょうか」「国歌を歌えないような選手は日本の代表ではない」「口をモゴモゴしているだけじゃなくて、声を大きく上げ、表彰台に立ったら、国歌を歌ってください」と選手団に呼びかけたことに対し、日本国憲法で保障された「内心の自由・良心の自由・思想の自由・表現の自由・教育の自由」を侵害し、リオ・オリンピックの代表選手に対し、「選手団の歌」とされ、強制もされていない「国歌(「君が代」)」を斉唱することを強制し、自分で考えずに指示に従うスポーツ選手の姿を通して、子どもたちや市民に「君が代」斉唱を強制することに強い抗議の意思を表明し、今回の森喜朗会長による「君が代」斉唱発言の撤回を求めるものである。
5.オリンピック選手が「君が代」を斉唱する姿を見せることによって、スポーツ選手にもならず、子どもたちや市民に「日の丸・君が代」の尊重を刷り込むことは、「個人の尊厳を重んじ、真理と正義を希求する人間の育成」を目的とする教育条理に反し到底許されるものではない。
日本オリンピック委員会(JOC)のホームページには、世界オリンピック委員会(IOC)の「五輪憲章」が掲載されているが、五輪憲章の「規則付属細則」では、「歌と旗」は以下のように規定されている。
開会式の項では、「(選手団は)『選手団の旗』とともに行進する」と規定されている。国・・が出てくるのは開会式の最後にだけ「開催国の国歌」が演奏される、と記載されている。閉会式の項では、「ギリシャ国旗、国歌」「開催国の国旗、国歌」「次期開催国の国旗、国歌」が使用される。表彰式では、「競技者の所属する団体の旗と歌」が使用されることになっている。
これはIOCが1980年総会で、「表彰式等に国旗・国歌を使用するのは五輪の理念に反する」として、憲章を改正したことによるものである。日本は、「日の丸」と「君が代」を「選手団の旗、歌」として申請し、それが認められ登録されているのである。これはJOC事務局も「同じ見解である」と表明している。今回の森喜朗会長の発言が、オリンピック憲章に違反することは明白である。
6.森喜朗会長による「君が代」斉唱強制が、オリンピック憲章に違反することは明白であり、国際社会に通用するものではないことは自明の理である。
国際基準については、2014年7月24日に発表された国連・自由権規約委員会の「総括所見」においては、「日の丸・君が代」に関して、以下のように表明されていることも確認されなければならない。この見解は、委員会が18条だけでなく、19条にも言及した背景に、学校における「日の丸」掲揚、「君が代」斉唱に抵抗した教員に対する懲戒処分が、思想、良心、宗教の自由を侵害するものであるという主張について考慮された見解である。
国連・自由権規約18条第3項に該当しない「思想・良心・宗教の自由」に対する制約は、国際規約上許されるものではない。
★2014年7月24日に発表された国連・自由権規約委員会の「総括所見」
「公共の福祉」を理由とした基本的自由の制約
22 本委員会は、「公共の福祉」の概念はあいまいであり、無制限であるということ、そして、規約(arts. 2, 18 and19)の下で許容されるものを大きく超える制約を許容するかもしれないということへの懸念を改めて表明する。
本委員会は、以前の最終所見(CCPR/C/JPN/CO/5, para.10)を想起し、第18、19条の第3項における厳しい条件を満たさない限り、思想、良心、宗教の自由や表現の自由の権利に対するいかなる制約をも押し付けることを差し控えるように締約国に要求する。
Restriction of fundamental freedoms on grounds of “public welfare”
22.The Committee reiterates its concern that the concept of “public welfare” is vague and open-ended and may permit restrictions exceeding those permissible under the Covenant (arts. 2, 18 and 19).
The Committee recalls its previous concluding observations (CCPR/C/JPN/CO/5, para. 10) and urges the State party to refrain from imposing any restriction on the rights to freedom of thought, conscience and religion or freedom of expression unless they fulfil the strict conditions set out in paragraph 3 of articles 18 and 19.
7.オリンピック教育に関しては、2020年開催の東京五輪に向けて、東京都教育委員会は、2016年4月から、東京都の全公立学校に五輪教育実施を義務化している。東京都教委は「重点的に育成すべき資質」の一つとして「日本人としての自覚と誇りを身に付ける」と明記している。東京都教委は、2016年1月14日、『東京都五輪教育実施方針』を策定した。全都の公立小中高・特別支援学校等に、この4月から年間35時間程度の五輪教育実施を義務化し、「日本人としての自覚と誇りを持てるような教育を進める」と明記した。
この実施方針には、「国旗・国歌を尊重する態度」も明記されている。東京都教委は約9500万円をかけて『五輪学習読本』を作成し、2016年3月末までに都の公立小学校4年生以上の全児童、生徒約66万4000人分と、映像教材DVD(約7500万円)、教師用指導書(約392万円)を合わせ、全公立2168校に発送し終えた。『五輪学習読本』は見開き4ページを使い荒川静香選手らの華麗なカラー写真を満載し、「過去大会マスコット」を載せるなど、憧れや親しみを持たせる工夫をしているが、小中高とも、国旗・国歌に関する記述が見開き2ページずつに規律や敬意表明まで強制している。
小学校向けでは、「オリンピック・パラリンピックでは、開会式で自国の国旗を先頭に行進します。表彰式では、優勝した選手の国の国旗を掲げ、国家を演奏します。国旗と国歌には、その国を築いてきた人々の理想や文化、ほこりなどがこめられており、その国を象ちょうするものとして大切にされています」とし、次のページの「国旗と国歌には、どのような意味や思いがこめられているでしょうか。調べてみましょう。」という『学習のとびら』は、次のように記されている。「君が代には日本の国がいつまでもはん栄し続け、平和であることを願う気持ちがこめられています。表彰式の国旗けいようでは、国歌が流されます」。
しかし、この記述には意図的な大きなウソがある。
事実は、次の通りである。日本オリンピック委員会(JOC)のホームページには、世界オリンピック委員会(IOC)の「五輪憲章」が掲載されている。五輪憲章の「規則付属細則」で、歌と旗は以下のように規定されている。
開会式の項では、「(選手団は)『選手団の旗』とともに行進する」と規定されている。国・・が出てくるのは開会式の最後にだけ「開催国の国歌」が演奏される、と記載されている。
閉会式の項では、「ギリシャ国旗、国歌」「開催国の国旗、国歌」「次期開催国の国旗、国歌」が使用される。
表彰式では、「競技者の所属する団体の旗と歌」が使用されることになっている。これはIOCが1980年総会で、「表彰式等に国旗・国歌を使用するのは五輪の理念に反する」として、憲章を改正したことによるものである。
日本は、「日の丸」と「君が代」を「選手団の旗、歌」として申請し、それが認められ登録されている。これはJOC事務局も「同じ見解である」と表明している。このように東京都教委は、五輪を利用して、ナショナリズム教育を強力に推進しているのである。オリンピックをナショナリズムに利用することは「オリンピック精神」に反することを忘れてはならない。
8.私たちは、今回の森喜朗会長によるによる「君が代」斉唱の強制が、東京都教委・大阪府市教委等による「日の丸・君が代」強制、文部科学省による国立大学「日の丸・君が代」強制、・「日の丸・君が代」不起立処分、「日の丸・君が代」被処分者への思想転向強制研修をセットにした権力的行為が、人間の尊厳を奪い、「思想・信条・良心・教育の自由」を全面的に破壊し、「権力の命令・行為にひとりの不服従者も許さない」「もの言わぬ教員」づくりという暴挙であり、「新たなる戦前」に向かう日本の「軍国主義教育」の新たなる始まりと繋がっていることも重視している。
9.東京・大阪等の地方首長の教育介入、「競争」「強制」の教育、道徳の「教科化」、道徳副読本『わたしたちの道徳』使用強制や道徳教育強化、政府見解押し付け等の教科書検定基準改悪、学習指導要領の改訂、教科書検定制度の改悪、教科用図書検定規則実施細則の改定、文科省・各自治体の教科書採択制度改悪、「地教行法」・教育委員会制度の全面改悪(2014.6)、大学自治破壊の大学法制度改悪、「改正教科書無償措置法」の成立、「教科書法」制定の動き、高校教科書採択への教育委員会による採択教科書の変更強制、教科書採択への政治的介入、教員の支配統制のための「教特法」・「教育免許法」等改悪企図。教員管理・教員評価制度の実施、厳しい教育破壊・教職員序列化の学校現場で、精神的疾患や困難な状況に追い込まれる教職員も多くなっている。
子どもの「教育への権利」の侵害、いじめの拡大、子どもたちと学校現場の序列化教育破壊の「全国学力テスト」の悉皆実施や成績公開、「生活指導統一基準」実施がなされ、さらに、愛国心教育・道徳教育の強化、道徳の教科化、『わたし(私)たちの道徳』小中学生全員配布と授業強制、教科「奉仕」「公共」設置、強制的な「奉仕活動」、「防災教育」の名による自衛隊連携教育(体験学習・宿泊研修等)も行われている。
東京都の『江戸から東京へ』など自治体による歴史教材や地域教材・道徳教材の発行、『はだしのゲン』の学校図書館からの撤去要請、「ピースおおさか」の加害展示撤去、埼玉県など全国各地の博物館からの戦争加害事実展示の後退など、学校教育・社会教育・マスコミなどの全分野で、地方自治体をも取り込んだ安倍政権による憲法改悪・軍国主義教育が展開されている。日本の子どもの6人に1人が貧困家庭(「子どもの貧困率」16.7%)と増加し続ける中、子どもたちを「戦争をする国」の担い手にするための新自由主義的教育政策と軍国主義的愛国心教育が同時進行し、「経済的徴兵制」・「貧困徴兵制」への道が進められている。
全国の高校生に自衛隊募集の「君の決意が国の力に!」の大見出しのパンフレットが送られ、戦車の写真には「平和を、仕事にする」と書かれている。日本全国各地156陸上自衛隊駐屯地で、「総合的学習」としての「職場体験学習」が小中学生に頻繁に行われ、2000年より現在まで累計1万件を超える。戦車や戦闘機に乗り銃を持つ体験、隊員と格闘してゴム製のナイフで殺害する体験も行われている。
東京都では、教育現場に「銃剣道」が浸透し、銃剣道を普及させるために高校生も出場させられ、高校生の突く場所は喉と左胸(心臓)である。半強制の「宿泊防災訓練」は、2013年7月の東京都立田無工業高校の東京朝霞駐屯地が始まり、2014年2月東京スポーツ文化館では、迷彩服を着た自衛隊員が生徒たちの前に姿を現した。都教委から16人が参加している。都教委は経費236万2720円支払い、領収書には「生徒食事代」と計上している。
2014年度には、東京都立大島高校が、11月26日(水)~28日(金)、神奈川県横須賀自衛隊武山駐屯地で「防災訓練」を予定している。自衛隊連携で防災訓練を実施する学校や、特別支援学校も2014年から「宿泊防災訓練」(学校で)行った。また、東京都立高校では、2013年度の『防災教育推進校実施に関するガイドライン』により「防災活動支援隊」の組織化が進められている。ここでは、都立高校生徒会やクラス代表などで結成し、自校の災害時の生徒リーダーになることが要請されている。これは、日常的な「生徒組織による指揮命令の確立」であり、「支援隊」は地域との防災活動のリーダーを期待され、東京都の指導部長は「(災害派遣の)活動は、防衛の際にも求められ、自衛隊の所掌事務である防衛に含まれる」と、「戦争」を前提の組織と述べている。このように、政府の集団的自衛権の行使容認閣議決定、「安保法制」を前提に、戦争準備体制の強化と軍国主義教育の開始とが密接に結びついた事実を積み重ねているのである。
日本の戦前の教育は国家が教育を全面支配し、学校は「教育勅語」に基づく教育によって、忠君愛国の精神で天皇のために命を捧げる「少国民」を育成する場として、子どもたちと普通の市民を侵略戦争に動員する上で決定的な役割を果たしたことを、歴史的事実としてだけでなく、現在の話として想起しなければならない。
「教室から戦争は始まる」「スポーツから戦争は始まる」
11.「君が代」強制は、日本国憲法で保障された「内心の自由・良心の自由・思想の自由・表現の自由・教育の自由」を侵害するものであり、「君が代」不起立は、日本国憲法で認められた「個人の良心からの行動」であり、憲法違反の「君が代」強制に対する「思想・信条・良心・教育の自由」に基づく正当な権利行使としての「君が代」不起立だからである。
私たち、<許すな!「日の丸・君が代」強制、止めよう!安倍政権の改憲・教育破壊 全国ネットワーク>は、全国のスポーツ選手、市民とともに、今回の森喜朗会長による、日本国憲法で保障された「内心の自由・良心の自由・思想の自由・表現の自由・教育の自由」を侵害し、リオ・オリンピックの代表選手に対し「国歌(「君が代」)」を斉唱することを強制したことに抗議するとともに、今回の森喜朗会長の「君が代」斉唱強制発言を撤回させるまで、全国各地で抗議の意思を表明し、全国の市民とともに徹底して抗議行動を行っていくものである。
森喜朗会長 様
◎ 森喜朗会長によるリオ五輪選手団壮行会における
「国歌・君が代」斉唱強制に抗議し発言撤回を求める!
「国歌・君が代」斉唱強制に抗議し発言撤回を求める!
2016年7月4日
許すな!「日の丸・君が代」強制、止めよう!安倍政権の改憲・教育破壊 全国ネットワーク
許すな!「日の丸・君が代」強制、止めよう!安倍政権の改憲・教育破壊 全国ネットワーク
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会・森喜朗会長による日本国憲法と「オリンピック憲章」に違反する、リオデジャネイロオリンピック選手団壮行会における「国歌・君が代」斉唱強制に抗議し発言撤回を求める!
1.私たち、<許すな!「日の丸・君が代」強制、止めよう!安倍政権の改憲・教育破壊 全国ネットワーク>は、全国各地の現職教員や退職教員、保護者、市民、労働者とともに、文部科学省・東京都教育委員会などによる「日の丸・君が代」の強制に反対してきた全国的グループです。
2.私たちは、日本国憲法で保障された「内心の自由・良心の自由・思想の自由・表現の自由・教育の自由」を侵害し、自分で考えずに指示に従う子どもや教職員にすることに繋がる「君が代」処分と「服務事故再発防止研修」という名で教職員の思想転向を強制する「研修」の廃止を強く求めて運動を進めてきた。
3.2016年7月3日、東京・代々木の体育館であったリオデジャネイロ五輪の代表選手団の壮行会で、2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が来賓のあいさつで、壇上に、選手ら約300人が登壇し、来賓挨拶直前の陸上自衛隊中央音楽隊の松永美智子陸士長による国歌独唱時の様子を振り返って「どうしてみんなそろって国歌を歌わないのでしょうか」「口をモゴモゴしているだけじゃなくて、声を大きく上げ、表彰台に立ったら、国歌を歌ってください」「国歌を歌えないような選手は日本の代表ではない」と選手団に呼びかけた。また、「サッカー女子の澤穂希さんや、ラグビーの五郎丸歩選手が「君が代」を歌い、その様子を見て国民が感動した」と述べた。
なお、場内ではみんなで声を合わせて歌う「斉唱」ではなく「国歌独唱」とアナウンスされ、ステージ上のモニターにも「国歌独唱」と表示されていた。
4.私たちは、日本国憲法で保障された「内心の自由・良心の自由・思想の自由・表現の自由・教育の自由」を守る立場から、そして、「オリンピック憲章」では、表彰式や開会式などの旗と曲は、「選手団の旗と歌」でしかないと明記されていることからも、2016年7月3日、リオデジャネイロ日本代表選手団壮行会で、五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が、直前の陸上自衛隊中央音楽隊の松永美智子陸士長による国歌独唱時の様子を振り返り、「どうしてみんなそろって国歌を歌わないのでしょうか」「国歌を歌えないような選手は日本の代表ではない」「口をモゴモゴしているだけじゃなくて、声を大きく上げ、表彰台に立ったら、国歌を歌ってください」と選手団に呼びかけたことに対し、日本国憲法で保障された「内心の自由・良心の自由・思想の自由・表現の自由・教育の自由」を侵害し、リオ・オリンピックの代表選手に対し、「選手団の歌」とされ、強制もされていない「国歌(「君が代」)」を斉唱することを強制し、自分で考えずに指示に従うスポーツ選手の姿を通して、子どもたちや市民に「君が代」斉唱を強制することに強い抗議の意思を表明し、今回の森喜朗会長による「君が代」斉唱発言の撤回を求めるものである。
5.オリンピック選手が「君が代」を斉唱する姿を見せることによって、スポーツ選手にもならず、子どもたちや市民に「日の丸・君が代」の尊重を刷り込むことは、「個人の尊厳を重んじ、真理と正義を希求する人間の育成」を目的とする教育条理に反し到底許されるものではない。
日本オリンピック委員会(JOC)のホームページには、世界オリンピック委員会(IOC)の「五輪憲章」が掲載されているが、五輪憲章の「規則付属細則」では、「歌と旗」は以下のように規定されている。
開会式の項では、「(選手団は)『選手団の旗』とともに行進する」と規定されている。国・・が出てくるのは開会式の最後にだけ「開催国の国歌」が演奏される、と記載されている。閉会式の項では、「ギリシャ国旗、国歌」「開催国の国旗、国歌」「次期開催国の国旗、国歌」が使用される。表彰式では、「競技者の所属する団体の旗と歌」が使用されることになっている。
これはIOCが1980年総会で、「表彰式等に国旗・国歌を使用するのは五輪の理念に反する」として、憲章を改正したことによるものである。日本は、「日の丸」と「君が代」を「選手団の旗、歌」として申請し、それが認められ登録されているのである。これはJOC事務局も「同じ見解である」と表明している。今回の森喜朗会長の発言が、オリンピック憲章に違反することは明白である。
6.森喜朗会長による「君が代」斉唱強制が、オリンピック憲章に違反することは明白であり、国際社会に通用するものではないことは自明の理である。
国際基準については、2014年7月24日に発表された国連・自由権規約委員会の「総括所見」においては、「日の丸・君が代」に関して、以下のように表明されていることも確認されなければならない。この見解は、委員会が18条だけでなく、19条にも言及した背景に、学校における「日の丸」掲揚、「君が代」斉唱に抵抗した教員に対する懲戒処分が、思想、良心、宗教の自由を侵害するものであるという主張について考慮された見解である。
国連・自由権規約18条第3項に該当しない「思想・良心・宗教の自由」に対する制約は、国際規約上許されるものではない。
★2014年7月24日に発表された国連・自由権規約委員会の「総括所見」
「公共の福祉」を理由とした基本的自由の制約
22 本委員会は、「公共の福祉」の概念はあいまいであり、無制限であるということ、そして、規約(arts. 2, 18 and19)の下で許容されるものを大きく超える制約を許容するかもしれないということへの懸念を改めて表明する。
本委員会は、以前の最終所見(CCPR/C/JPN/CO/5, para.10)を想起し、第18、19条の第3項における厳しい条件を満たさない限り、思想、良心、宗教の自由や表現の自由の権利に対するいかなる制約をも押し付けることを差し控えるように締約国に要求する。
Restriction of fundamental freedoms on grounds of “public welfare”
22.The Committee reiterates its concern that the concept of “public welfare” is vague and open-ended and may permit restrictions exceeding those permissible under the Covenant (arts. 2, 18 and 19).
The Committee recalls its previous concluding observations (CCPR/C/JPN/CO/5, para. 10) and urges the State party to refrain from imposing any restriction on the rights to freedom of thought, conscience and religion or freedom of expression unless they fulfil the strict conditions set out in paragraph 3 of articles 18 and 19.
7.オリンピック教育に関しては、2020年開催の東京五輪に向けて、東京都教育委員会は、2016年4月から、東京都の全公立学校に五輪教育実施を義務化している。東京都教委は「重点的に育成すべき資質」の一つとして「日本人としての自覚と誇りを身に付ける」と明記している。東京都教委は、2016年1月14日、『東京都五輪教育実施方針』を策定した。全都の公立小中高・特別支援学校等に、この4月から年間35時間程度の五輪教育実施を義務化し、「日本人としての自覚と誇りを持てるような教育を進める」と明記した。
この実施方針には、「国旗・国歌を尊重する態度」も明記されている。東京都教委は約9500万円をかけて『五輪学習読本』を作成し、2016年3月末までに都の公立小学校4年生以上の全児童、生徒約66万4000人分と、映像教材DVD(約7500万円)、教師用指導書(約392万円)を合わせ、全公立2168校に発送し終えた。『五輪学習読本』は見開き4ページを使い荒川静香選手らの華麗なカラー写真を満載し、「過去大会マスコット」を載せるなど、憧れや親しみを持たせる工夫をしているが、小中高とも、国旗・国歌に関する記述が見開き2ページずつに規律や敬意表明まで強制している。
小学校向けでは、「オリンピック・パラリンピックでは、開会式で自国の国旗を先頭に行進します。表彰式では、優勝した選手の国の国旗を掲げ、国家を演奏します。国旗と国歌には、その国を築いてきた人々の理想や文化、ほこりなどがこめられており、その国を象ちょうするものとして大切にされています」とし、次のページの「国旗と国歌には、どのような意味や思いがこめられているでしょうか。調べてみましょう。」という『学習のとびら』は、次のように記されている。「君が代には日本の国がいつまでもはん栄し続け、平和であることを願う気持ちがこめられています。表彰式の国旗けいようでは、国歌が流されます」。
しかし、この記述には意図的な大きなウソがある。
事実は、次の通りである。日本オリンピック委員会(JOC)のホームページには、世界オリンピック委員会(IOC)の「五輪憲章」が掲載されている。五輪憲章の「規則付属細則」で、歌と旗は以下のように規定されている。
開会式の項では、「(選手団は)『選手団の旗』とともに行進する」と規定されている。国・・が出てくるのは開会式の最後にだけ「開催国の国歌」が演奏される、と記載されている。
閉会式の項では、「ギリシャ国旗、国歌」「開催国の国旗、国歌」「次期開催国の国旗、国歌」が使用される。
表彰式では、「競技者の所属する団体の旗と歌」が使用されることになっている。これはIOCが1980年総会で、「表彰式等に国旗・国歌を使用するのは五輪の理念に反する」として、憲章を改正したことによるものである。
日本は、「日の丸」と「君が代」を「選手団の旗、歌」として申請し、それが認められ登録されている。これはJOC事務局も「同じ見解である」と表明している。このように東京都教委は、五輪を利用して、ナショナリズム教育を強力に推進しているのである。オリンピックをナショナリズムに利用することは「オリンピック精神」に反することを忘れてはならない。
8.私たちは、今回の森喜朗会長によるによる「君が代」斉唱の強制が、東京都教委・大阪府市教委等による「日の丸・君が代」強制、文部科学省による国立大学「日の丸・君が代」強制、・「日の丸・君が代」不起立処分、「日の丸・君が代」被処分者への思想転向強制研修をセットにした権力的行為が、人間の尊厳を奪い、「思想・信条・良心・教育の自由」を全面的に破壊し、「権力の命令・行為にひとりの不服従者も許さない」「もの言わぬ教員」づくりという暴挙であり、「新たなる戦前」に向かう日本の「軍国主義教育」の新たなる始まりと繋がっていることも重視している。
9.東京・大阪等の地方首長の教育介入、「競争」「強制」の教育、道徳の「教科化」、道徳副読本『わたしたちの道徳』使用強制や道徳教育強化、政府見解押し付け等の教科書検定基準改悪、学習指導要領の改訂、教科書検定制度の改悪、教科用図書検定規則実施細則の改定、文科省・各自治体の教科書採択制度改悪、「地教行法」・教育委員会制度の全面改悪(2014.6)、大学自治破壊の大学法制度改悪、「改正教科書無償措置法」の成立、「教科書法」制定の動き、高校教科書採択への教育委員会による採択教科書の変更強制、教科書採択への政治的介入、教員の支配統制のための「教特法」・「教育免許法」等改悪企図。教員管理・教員評価制度の実施、厳しい教育破壊・教職員序列化の学校現場で、精神的疾患や困難な状況に追い込まれる教職員も多くなっている。
子どもの「教育への権利」の侵害、いじめの拡大、子どもたちと学校現場の序列化教育破壊の「全国学力テスト」の悉皆実施や成績公開、「生活指導統一基準」実施がなされ、さらに、愛国心教育・道徳教育の強化、道徳の教科化、『わたし(私)たちの道徳』小中学生全員配布と授業強制、教科「奉仕」「公共」設置、強制的な「奉仕活動」、「防災教育」の名による自衛隊連携教育(体験学習・宿泊研修等)も行われている。
東京都の『江戸から東京へ』など自治体による歴史教材や地域教材・道徳教材の発行、『はだしのゲン』の学校図書館からの撤去要請、「ピースおおさか」の加害展示撤去、埼玉県など全国各地の博物館からの戦争加害事実展示の後退など、学校教育・社会教育・マスコミなどの全分野で、地方自治体をも取り込んだ安倍政権による憲法改悪・軍国主義教育が展開されている。日本の子どもの6人に1人が貧困家庭(「子どもの貧困率」16.7%)と増加し続ける中、子どもたちを「戦争をする国」の担い手にするための新自由主義的教育政策と軍国主義的愛国心教育が同時進行し、「経済的徴兵制」・「貧困徴兵制」への道が進められている。
全国の高校生に自衛隊募集の「君の決意が国の力に!」の大見出しのパンフレットが送られ、戦車の写真には「平和を、仕事にする」と書かれている。日本全国各地156陸上自衛隊駐屯地で、「総合的学習」としての「職場体験学習」が小中学生に頻繁に行われ、2000年より現在まで累計1万件を超える。戦車や戦闘機に乗り銃を持つ体験、隊員と格闘してゴム製のナイフで殺害する体験も行われている。
東京都では、教育現場に「銃剣道」が浸透し、銃剣道を普及させるために高校生も出場させられ、高校生の突く場所は喉と左胸(心臓)である。半強制の「宿泊防災訓練」は、2013年7月の東京都立田無工業高校の東京朝霞駐屯地が始まり、2014年2月東京スポーツ文化館では、迷彩服を着た自衛隊員が生徒たちの前に姿を現した。都教委から16人が参加している。都教委は経費236万2720円支払い、領収書には「生徒食事代」と計上している。
2014年度には、東京都立大島高校が、11月26日(水)~28日(金)、神奈川県横須賀自衛隊武山駐屯地で「防災訓練」を予定している。自衛隊連携で防災訓練を実施する学校や、特別支援学校も2014年から「宿泊防災訓練」(学校で)行った。また、東京都立高校では、2013年度の『防災教育推進校実施に関するガイドライン』により「防災活動支援隊」の組織化が進められている。ここでは、都立高校生徒会やクラス代表などで結成し、自校の災害時の生徒リーダーになることが要請されている。これは、日常的な「生徒組織による指揮命令の確立」であり、「支援隊」は地域との防災活動のリーダーを期待され、東京都の指導部長は「(災害派遣の)活動は、防衛の際にも求められ、自衛隊の所掌事務である防衛に含まれる」と、「戦争」を前提の組織と述べている。このように、政府の集団的自衛権の行使容認閣議決定、「安保法制」を前提に、戦争準備体制の強化と軍国主義教育の開始とが密接に結びついた事実を積み重ねているのである。
日本の戦前の教育は国家が教育を全面支配し、学校は「教育勅語」に基づく教育によって、忠君愛国の精神で天皇のために命を捧げる「少国民」を育成する場として、子どもたちと普通の市民を侵略戦争に動員する上で決定的な役割を果たしたことを、歴史的事実としてだけでなく、現在の話として想起しなければならない。
「教室から戦争は始まる」「スポーツから戦争は始まる」
11.「君が代」強制は、日本国憲法で保障された「内心の自由・良心の自由・思想の自由・表現の自由・教育の自由」を侵害するものであり、「君が代」不起立は、日本国憲法で認められた「個人の良心からの行動」であり、憲法違反の「君が代」強制に対する「思想・信条・良心・教育の自由」に基づく正当な権利行使としての「君が代」不起立だからである。
私たち、<許すな!「日の丸・君が代」強制、止めよう!安倍政権の改憲・教育破壊 全国ネットワーク>は、全国のスポーツ選手、市民とともに、今回の森喜朗会長による、日本国憲法で保障された「内心の自由・良心の自由・思想の自由・表現の自由・教育の自由」を侵害し、リオ・オリンピックの代表選手に対し「国歌(「君が代」)」を斉唱することを強制したことに抗議するとともに、今回の森喜朗会長の「君が代」斉唱強制発言を撤回させるまで、全国各地で抗議の意思を表明し、全国の市民とともに徹底して抗議行動を行っていくものである。
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