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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

過労死店長と偽装?労組

2008年02月04日 | 格差社会
  ● 過労死遺族とすかいら一く労組との調停決裂
 「強い店長」求める企業内労組の罪

須田光照
 「私には会社と組合がグルになっていた印象しかありません」ファミリーレストラン最大手「すかいら一く」の店長だった夫を過労死で亡くした中島晴香さんが怒りに声を震わせた。向かい合った「すかいら一く労働組合」の吉田弘志委員長はうなだれたまま黙っていた。
 昨年一二月二一日、東京・武蔵野簡易裁判所。中島さんと、彼女を支援する全国一般東京東部労組が「すかいら一く労組」を相手取って申し立てた民事調停は、双方の見解の溝が埋まらず、三回目で不成立が決まった。
 過労死遺族が労組に法的措置を取るのは極めて異例だ。中島さん側は何度も組合に手紙を送ったが、「哀悼の意」を示すだけだった。すでに会社側は非を認め、遺族に謝罪と賠償をしている。遺族が組合側に求めているのはお金ではない。

 遺族が調停で求めたのは、①過労死について労働組合としての義務を十分に尽くさなかったことへの謝罪②今後、過労死が起きない労働環境改善への努力の確認③吉田委員長が過重な業務になるのは店長の責任という趣旨の発言をしたことへの謝罪の三点だった。

 とくに、③については「夫を冒涜された」と中島さんは憤りを隠さない。その発言とは中島さんの夫、富雄さん(享年四八)が二〇〇四年八月に亡くなって間もない時期に、同労組の吉田委員長が雑誌やインターネットなどで公表したものだ。
 「店長は誰の助けもなく、忙しさも半端ではありません。しかし、本当にできる店長、つまり強い店長は、その中でも休みを取れるのです。ここまで行くにはそれだけの人間的魅力がなくてはなりません」
 組合員が過労死で亡くなったことに対して、本来なら真っ先に会社側に抗議し改善を要求すべき労働組合の委員長が「もっと強い店長になれ」と組合員に迫っている。過労死するのはまるで、その人間に魅力がないからだと言わんばかりの発言である。
 さらに「たとえば今、一〇店舗につき、一一名の社員をつけています。これを一〇店舗に二人、強い店長一人が五店舗を見る体制ができればそれは労組にとっても、人材育成の究極の目標」と、労働強化を逆に提案している。
 調停で同労組はこれらの発言を撤回せず、謝罪拒否の姿勢を崩さなかった。
 「ああいう会社寄りの発言が当たり前と考えているところに、あの労組の本質が承されている」と、中島さん側の代理人を務めた過労死弁護団事務局長の玉木一成弁護士は指摘する。
 調停ではまた、同社の三六協定(残業時間の上限を定める労使協定)がまったく守られていないことも明らかになった。協定で「月四五時間」と定めておきながら、富雄さんの残業時間は月一八○時間を超えていた。こうした実態を放置し、過労死を招いた責任も組合側は最後まで認めなかった。

 「すかいら一くでは初代労働組合委員長が現社長に就任しているほか、三代目労組委員長は現ジョナサンの社長。最近でも私の前委員長が夢庵カンパニーの代表を、本社取締役と兼任で務めています」
 これは問題の発言の中にある吉田委員長の労使協調ぶりを誇示した、言葉だ。
 富雄さんの給与からは、毎月四五〇〇円の組合費が天引きされていた。一体、労働組合とは何であり、誰のためにあるのか。
 同労組の上部団体は、約一〇〇万人の組合員を擁する民間最大の労組「UIゼンセン同盟」。連合の高木剛会長の出身労組である。
 「組合は夫を助けてくれなかった」。中島さんの告発に、労働組合がどう応えるかが問われている。
  (すだ みつてる・ジャーナリスト)
『週刊金曜日』2008.2.1(688号)

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1 コメント

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Unknown (働き蜂店長)
2008-05-12 09:53:33
店長です。店長なって手当てがつくようになったが、割にあいません。休みも満足にとれません。いつも疲れてます。休みが取れないのは、店長の能力不足というのが会社の見解みたいです。私は40歳ですが、このままでは、過労死するのではないかと不安です。
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