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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

★ 次期教育振興基本計画に、「ウェルビーイング」と「国家主義」との矛盾

2023年04月05日 | 「日の丸・君が代」強制反対

 ★ 文科省が「教育計画」に国家主義を3箇所も加筆
  ~経団連副会長の言いなり(紙の爆弾)

教育ジャーナリスト・永野厚男

 文部科学大臣の諮問機関・中央教育審議会の渡邉光一郎会長(当時)は3月8日の総会で、次期教育振興基本計画(改悪教育基本法で政府に策定を義務付け、全国の教育委員会を縛る。以下、計画)の答申を簗和生副大臣に手交した。
 答申は「社会の幸福」とともに本来「個人の幸福、生きがい」を意味する「ウェルビーイング」をコンセプトだとする一方、“国を愛する態度”など国家主義を3箇所強制する矛盾ぶり。
 計画を審議した部会の最初の頃の資料には、”国を愛する態度”は皆無だった。

 だが昨年11月22日の第10回部会で、委員の吉田信解埼玉県本庄市長が、「日本国をしょっていくことを書き込むべき。地域からいきなり世界に行くのではない。日本という文言が少ない」などと発言。
 文科省総合教育政策局政策課の森友浩史課長と川村匡教育企画調整官は12月12日、第11回部会に出した答申素案の「グローバル社会における人材育成」の項に、“国を愛する態度”を加筆した。

 今年1月13日には『審議経過報告』の「伝統文化教育の推進」の項にも、森友・川村両氏は「日本人としての美徳やよさを生かし」という、排外的・国粋主義的な文言を加筆。
 これに対し日教組は1月の団体ヒアリングで「価値の押し付けにならないよう留意する必要がある」と述べる一方、反日教組の全日教連は“美しい日本人の心を育てる。国を愛する心”を主張した。
 森友・川村両氏は吉田氏や全日教連の主張等に偏し、加筆したのだ。

 ところで第1次安倍晋三政権は06年、反対意見を無視し、教育の“目標”に“国を愛する態度”を盛り込む等、教育基本法改悪を強行した。
 渡邉会長は2月24日までの計14回の部会で複数回、「(国を愛する態度を含む同法の)目標の実現を目指すことは教育の『不易』、普遍的使命だ。社会や時代の『流行』の中で、我が国の教育という大きな船の羅針盤となるもの。答申に教育基本法の条文記載を」などと主張。
 森友・川村両氏は2月24日、答申案冒頭の「教育の普遍的な使命」にも、“国を愛する態度”を加筆した。

 「30年のウェルビーイング達成」を目標としている経済協力開発機構(OECD)の『ラーニング・コンパス(学びの羅針盤)2030』は、「生徒が教師の決まりきった指導や指示をそのまま受け入れるのではなく、未知なる環境の中を自力で歩みを進め(略)進むべき方向を見出す必要性」(仮訳)を示している。
 文科省が学習指導要領で”国を愛する態度・心情”を強制しているのは、これに反しており支離滅裂だ。

 教育基本法改悪後、財界からの中教審会長三村明夫経団連副会長(新日本製鐵会長)北山禎介経済同友会教育問題委員会委員長(三井住友銀行会長。以上役職は当時)経団連副会長の渡邉氏(第一生命ホールディングス会長)3名もいる。

 3月15日の第12期中教審の初の総会では、高校校長出身の荒瀬克己教職員支援機構理事長が新会長となった。一方、副会長には橋本雅博経団連教育・大学改革推進委員長(住友生命保険会長)が新任委員なのに就任している。
 ロシアのプーチン政権は小学生に「祖国のために武器をとれ」等、“愛国心教育”を一層強化している。
 傘下に軍需産業を多く持つ経団連の幹部が中教審の有力メンバーになり“愛国心教育”を強制する流れを、変える必要がある。

『紙の爆弾』(2023年5月号)【NEWSレスQ(ニュースの裏側すくいあげます)】

 


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