自治体の臨時、非常勤職員の低賃金の実態を紹介した9月3日のはたらく面「“公務員”でも不安定」の記事<リンク>に、読者から多くの反響が寄せられた。同じ業務内容で待遇に差があることや、公共性の高い仕事なのに不安定な雇用形態で継続性がない現状を疑問視する切実な声が多かった。その一部を紹介する。 (福沢英里)
<はたらく> 『“公務員”でも不安定』に反響
◇ 同じ業務で賃金や待遇差 『現場を見てほしい』
東海地方にある高齢者のための集会施設の職員からは、公務員OBとの待遇の違いを訴える投稿が寄せられた。「業務は全く同じなのに」とこぼす。
この地域には同様の施設が数十カ所あり、二人の職員が一施設で一カ月の半分ずつ、交代勤務している。公務員OBは、十三日勤務で月給十六万円弱。交通費などの諸手当がつき、健康保険にも加入できる。
一方、投稿者のような非常勤の臨時職員の収入は、十五日で月九万円ほど。交通費も健康保険もない。公務員OBと違って頻繁に異動させられる。
施設は高齢者が無料で使え、利用者が二百人を超える日も。浴室が開く正午から午後一時半ごろまでが最も忙しく、緊急時も一人で対応する。だが昼の一時間は「休憩時間」で、一時間分の給料が自動的に引かれる。「一日中、休む暇はほとんどない。行政は現場を見て待遇を考えてほしい」と話す。
◇
公共性の高い仕事にもかかわらず、不安定な待遇で働く人も。生活保護受給者の就労支援員をしている愛知県内の四十代男性は、受給者から「仕事に就けというが、あんたは解雇されないしボーナスも退職金ももらえて、私たちの気持ちなんて分かるわけない」と怒鳴られることがあるという。だが男性は一年契約の嘱託職員。ボーナスも退職金もない。
仕事はケースワーカーの補助業務。産業カウンセラーの資格を持ち、受給者に面接の受け方や履歴書の書き方を指導したり、就労意欲を持ってもらうためのカウンセリングをしたりする。受給者の就労率を上げようと、自主的にカウンセリングの勉強に行くことも。「引きこもりの人の支援には一年以上かかり、継続性が欠かせない。不安定な待遇ではなく、長期間安心して働けるようにしてほしい」と訴える。
◇
東京都内の公的施設で期限付き職員として九月まで働いていた女性(52)は「公的機関がワーキングプアをつくり出している自覚がない」と憤る。
勤務先では、出向の公務員、正規職員、期限付き職員、期限付き非常勤職員、短期間臨時職員、派遣社員などさまざまな雇用形態が入り乱れていた。例えば、短期間臨時職員は主婦パートが大半。
雇用保険法改正で今年四月から、雇用見込みが三十一日以上なら雇用保険に加入できるようになったが、加入させていなかった。同じ施設の中でも、雇用保険に加入させている部署もあり、正規職員に改善を進言したが、「仕事が増えるだけ」と聞き入れられなかった。
女性は「雇用される側も、労働者の権利にもっと関心を持つべきだ」と訴える。「低賃金で労働力を補う方法では、継続性や蓄積がない。もったいない税金の使われ方をしていることに、非常勤公務員側も気付いて声を上げないと何も改善されない」
◇
公務員の臨時・非常勤問題に詳しい地方自治総合研究所(東京)の上林陽治研究員は「常勤職員と同じ勤務実態にある非常勤職員を地方自治法上の常勤職員とみなす、といった判例が出ている」と指摘。「低賃金で継続雇用を保障しないまま非常勤職員に*基幹的役割を担わせる現状が続けば、自治体も訴訟リスクを抱えることになる」と警鐘を鳴らす。
まず、法的位置付けがない非常勤職員の地位や勤務条件を保障する法整備を行い、「政労使が知恵を出し合って考えていく必要がある」と提言する。
『東京新聞』(2010年10月1日【暮らし】)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/CK2010100102000101.html
<はたらく> 『“公務員”でも不安定』に反響
◇ 同じ業務で賃金や待遇差 『現場を見てほしい』
東海地方にある高齢者のための集会施設の職員からは、公務員OBとの待遇の違いを訴える投稿が寄せられた。「業務は全く同じなのに」とこぼす。
この地域には同様の施設が数十カ所あり、二人の職員が一施設で一カ月の半分ずつ、交代勤務している。公務員OBは、十三日勤務で月給十六万円弱。交通費などの諸手当がつき、健康保険にも加入できる。
一方、投稿者のような非常勤の臨時職員の収入は、十五日で月九万円ほど。交通費も健康保険もない。公務員OBと違って頻繁に異動させられる。
施設は高齢者が無料で使え、利用者が二百人を超える日も。浴室が開く正午から午後一時半ごろまでが最も忙しく、緊急時も一人で対応する。だが昼の一時間は「休憩時間」で、一時間分の給料が自動的に引かれる。「一日中、休む暇はほとんどない。行政は現場を見て待遇を考えてほしい」と話す。
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公共性の高い仕事にもかかわらず、不安定な待遇で働く人も。生活保護受給者の就労支援員をしている愛知県内の四十代男性は、受給者から「仕事に就けというが、あんたは解雇されないしボーナスも退職金ももらえて、私たちの気持ちなんて分かるわけない」と怒鳴られることがあるという。だが男性は一年契約の嘱託職員。ボーナスも退職金もない。
仕事はケースワーカーの補助業務。産業カウンセラーの資格を持ち、受給者に面接の受け方や履歴書の書き方を指導したり、就労意欲を持ってもらうためのカウンセリングをしたりする。受給者の就労率を上げようと、自主的にカウンセリングの勉強に行くことも。「引きこもりの人の支援には一年以上かかり、継続性が欠かせない。不安定な待遇ではなく、長期間安心して働けるようにしてほしい」と訴える。
◇
東京都内の公的施設で期限付き職員として九月まで働いていた女性(52)は「公的機関がワーキングプアをつくり出している自覚がない」と憤る。
勤務先では、出向の公務員、正規職員、期限付き職員、期限付き非常勤職員、短期間臨時職員、派遣社員などさまざまな雇用形態が入り乱れていた。例えば、短期間臨時職員は主婦パートが大半。
雇用保険法改正で今年四月から、雇用見込みが三十一日以上なら雇用保険に加入できるようになったが、加入させていなかった。同じ施設の中でも、雇用保険に加入させている部署もあり、正規職員に改善を進言したが、「仕事が増えるだけ」と聞き入れられなかった。
女性は「雇用される側も、労働者の権利にもっと関心を持つべきだ」と訴える。「低賃金で労働力を補う方法では、継続性や蓄積がない。もったいない税金の使われ方をしていることに、非常勤公務員側も気付いて声を上げないと何も改善されない」
◇
公務員の臨時・非常勤問題に詳しい地方自治総合研究所(東京)の上林陽治研究員は「常勤職員と同じ勤務実態にある非常勤職員を地方自治法上の常勤職員とみなす、といった判例が出ている」と指摘。「低賃金で継続雇用を保障しないまま非常勤職員に*基幹的役割を担わせる現状が続けば、自治体も訴訟リスクを抱えることになる」と警鐘を鳴らす。
まず、法的位置付けがない非常勤職員の地位や勤務条件を保障する法整備を行い、「政労使が知恵を出し合って考えていく必要がある」と提言する。
『東京新聞』(2010年10月1日【暮らし】)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/CK2010100102000101.html
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