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「日の丸・君が代」は過去のものではない

2011年10月09日 | 日の丸・君が代関連ニュース
 《10・6予防訴訟第3回最高裁要請行動「要請書」から》
 ◎ 「日の丸・君が代」は過去のものではない
(国歌斉唱義務不存在確認等請求訴訟)上告人 岩木俊一

 私は本件の判決に際し最高裁が、「日の丸・君が代」の果たした歴史的役割、宗教性、政治性について深く検証し、「日の丸・君が代」の強制が思想・良心の自由を侵すものであることを判示して下さることを要請いたします。
 (1)中国や朝鮮の近現代史は、日本の侵略戦争や植民地支配の歴史、そしてそれらへの抵抗を通じて民族的・国家的独立を果たした歴史です。その際、「日の丸・君が代」は侵略戦争や植民地支配のシンボルでした。
 「君が代」はまた帝国憲法や教育勅語に規定された神権天皇制のもとで天皇崇拝を臣民に教化する装置として機能しました。戦前の尋常小学校等の教科書からも、「君が代」が「現人神」天皇への賛美歌であり、「日の丸」が対外的にも「国威発揚」の役割を担ったことは明らかです。
 (2)ドイツやイタリアは戦前の国旗や国歌を変更しましたが、日本は第二次大戦後も「日の丸・君が代」を使用し、1999年には国旗・国歌法を制定しました。ところがアジア諸国では「日の丸・君が代」は過去の事実と結び付いて、現在も忌まわしい記憶として継承されています
 1997年の中国の青年15000人への日本に対する意識調査での、「『日の丸』を見たら日本帝国主義の侵略戦争での暴行を思い出しますか」との問いに対する回答は「はい」76.4%、「時々そうです」20.2%の計96.6%にも達しています。韓国では「慰安婦」とされた女性達の描く絵に「日の丸」がしばしば登場しています。(上杉聡『知っていますか?君が代・日の丸一問一答』解放出版社参照)
 このような事実を踏まえるとき、国際サッカー試合の前の「君が代」演奏にその国の観客が起立しなかったことをもって「国際マナーに反する」と述べた外交官出身の竹内行夫補足意見(2011.5.30第ニ小法廷判決)が「君が代」の果たした歴史的役割についての無理解に基づくことは明らかです。
 (3)つまり、「日の丸・君が代」は戦争や植民地支配の歴史と不可分であり、過去のものでも「特定の国家像などが前提とされていない」(同上判決須藤正彦補足意見)ものでもないのです。
 本件一審判決(2006.9.21東京地裁・難波判決p56~57傍線引用者、以下同)はこの点につき、「ところで、わが国において、日の丸、君が代は、明治時代以後、第二次世界大戦終了までの間、皇国思想や軍国主思想の精神的支柱として用いられてきたことがあることは否定し難い歴史的事実であり、(中略)なお国民の間で宗教的・政治的にみて日の丸・君が代が価値中立的なものと認められるまでには至っていない…」と「日の丸・君が代」の宗教性、政治性を指摘し、
 「…このような式典において、国旗、国歌に対し、…。(中略)…懲戒処分をしてまで起立させ、斉唱させることは、いわば、少数者の思想良心の自由を侵害し、行き過ぎた措置であると思料する次第である。」(同p70)として「日の丸・君が代」の強制が思想良心の自由を侵害することを認定しています。
 しかし、本年1月の東京高裁判決は一審判決を取り消しました。また、5月以後の*一連の最高裁判決も、「日の丸・君が代」に対する裁判所としての判断を回避したまま、「…起立斉唱行為は、一般的、客観的に見て、これらの式典における慣例上の儀礼的所作としての性質を有するものであり・・。・・上告人らのする歴史観ないし世界観を否定することと不可分に結びつくものとは言えず・・」(2011.6.6第一小法廷判決p5)と「慣例上の儀礼的所作」を以って起立斉唱の強制を許容しました。
 しかし、私人間の挨拶や冠婚葬祭等の「儀礼的所作」と公権力の行う儀式における「儀礼的所作」とは本来位相が異なります。仮に「儀礼的所作」であっても公勧が行ないしかも処分を伴うならば、それは「慣例」などではなく「歴史観ないし世界観を否定する」行為の強制となります。
 そもそも戦前の教育勅語奉読や宮城遥拝・神社参拝、そしてナチス・ドイツの「ハイル・ヒトラー」の敬礼さえ「儀礼的所作」から始まり「慣例」となったのではないでしょうか。
 本件判決に際しては学校儀式における「儀礼的所作」それ自体がどのように形成され「慣例」化されて来たのかを検証して下さい。
 (4)最高裁が「直接的/間接的制約」といった「一般的・客観的」には理解し難い概念操作や、特別権力関係論的な公務員論により10.23通達や職務命令を追認するのではなく、「日の丸・君が代」の果たした歴史的役割、宗教性、政治性を厳密に検証・判断し、「日の丸・君が代」に対する起立斉唱が上告人らの思想良心の核心にかかわる問題であり、その強制は違憲であることを判示されるよう改めて要請いたします。
 違憲審査権を有する「最高裁判所」としての自覚の上に、国民の信頼に応え、歴史の審判に耐えうる判決を願って止みません。

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