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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

石原ファミリーの都政私物化と自民、民主の党利党略

2011年03月31日 | 暴走する都教委
 ◆ 「石原四選出馬劇」の舞台裏

 石原慎太郎知事4選に出馬するのかどうか、都議会第1回定例会最終日ギリギリまで本当に分からず、スクープを飛ばしたいマスコミだけでなく、政党や都幹部も最後まで翻弄された。「110%引退するつもりでいた」と記者会見で繰り返し強調した石原氏が結局、出馬することになったのはなぜか。水面下の動きを検証した。
 ◆ 石原ファミリーの都政私物化と自民、民主の党利党略
 本人の弁と周辺取材を総合すると、石原氏が出馬を決断するまでの経緯は、次のようなものだ。
 3期限りと考えていた石原氏が、後継として白羽の矢を立てた「意中の人物」は、懇意の外交評論家・岡本行夫氏(65)だった。しかし、岡本氏は固辞。
 そこで石原氏は、「首都圏連合」の仲間である埼玉、千葉、神奈川の3県の知事と会い、後継は松沢成文神奈川県知事となった。
 石原都政の継続という形で、石原氏の引退表明を受けた後、松沢氏が出馬表明するという段取りだった。
 ところが、このシナリオが狂う。

 都議会は、自公の与党で過半数を得られていない。築地市場の豊洲移転関連予算案の可決が見通せない状況だったため、当初から石原氏は進退表明を都議会最終日の3月11日まで引っ張るつもりだった。
 しかし、現職知事である松沢氏は、自民党神奈川県連などから進退をせっつかれ、石原氏の引退表明を待たず、3月1日に出馬表明してしまったのだ。
 この動きに、石原4選を働きかけてきた自民党都連が激怒し、たとえ松沢氏が石原後継になっても支援しないことを決めた。自民党内で石原氏の長男である伸晃幹事長(都連会長)への風当たりが強くなったのもこの頃だ。伸晃氏の責任論まで浮上し、「青ざめた伸晃氏は、母親のところに駆け込んで、父(石原知事)を翻意させるよう頼んだ」(自民党関係者)という。
 さらに、松沢氏では東国原英夫・前宮崎県知事に勝てないという自民党の世論調査結果が出て、自民党の大島理森副総裁がこのデータを石原氏に見せ、最後の説得にあたった。
 自民党が裏で糸を引いたといわれる花輪智史都議の民主党離脱も効いた。花輪氏の変節により、築地市場の豊洲移転予算の可決が固まったのだ。
 こうした自民党の波状攻撃により、石原氏は出馬することになった。
 ◆ 秘書軍団内の権力闘争

 以上のような混沌の中で石原4選出馬劇となった今回の都知事選だが、あえて3点、指摘しておきたい。
 まずは石原ファミリー
 松沢氏擁立の背景には、石原氏側近の微妙な力学が見え隠れする。「殿が心を決めた時には、全てが整っているよう準備を進める」ー。これが石原氏の秘書軍団の基本的な行動原理だ。
 石原氏の国会議員時代からの主要な秘書は「六奉行」と呼ばれる。1人は故人なので今は5人。濱渦武生氏(元副知事)、兵藤茂氏(石原知事特別秘書)、今岡又彦氏(松沢知事特別秘書)、岩崎純氏(伸晃氏公設秘書)、栗原俊記氏(鹿島建設㈱執行役員)だ。
 しかし、彼らは一枚岩ではない。石原氏のヨット仲間でもある今岡氏、兵藤氏、岩崎氏の3人「海」とすれば、「陸」浜渦氏、栗原氏の2人とは以前から温度差がある。
 松沢氏後継を積極的に進めたのは今岡氏ら「海」だ。今岡氏は、松沢氏の立場を守ることも念頭に、出馬表明を早め、石原引退の流れを作ろうとした。だが、自民党の反発を読みきれず、「海」の思惑は失敗に終わった
 一方、濱渦氏ら「陸」は自民党の熱烈な出馬要請を鑑み、石原出馬・不出馬両にらみで動いた。4選出馬の陰には、「陸」と「海」の権力闘争もあったのだ
 次に自民党。
 石原氏が4選出馬に翻意したことで、表面的には自民党は粘り勝ちした。だが、本当にそうか。自民党都議たちは、石原氏がもはや都政への情熱を失っていることに気づいている。都政与党でいることを目的に、石原氏で妥協したのではないのか。
 最後に、独自候補を立てられなかった民主党のだらしなさ。
 石原都政を否定するのならば、都議会第1党になった2年前から、どうしてもっと戦略を練ってこなかったのか。個人の資質の問題とはいえ、花輪都議の変節を事前に察知できなかったことでも、民主党の力不足を露呈した。
 結局、石原4選出馬劇で見えたのは、石原ファミリーの都政私物化と、自民、民主の党利党略。そこに都民の姿はなかった。
 『都政新報』(2011/3/25)

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