☆ 再雇用拒否撤回2次裁判、地裁で勝訴判決!
「東京地裁前旗出し」 《撮影:gamou》
本日、東京地方裁判所民事第36部(吉田徹裁判長)は、都立高校の教職員22名(提所時25名)が、卒業式等において日の丸に向かって起立して君が代を斉唱しなかったこと「のみ」を理由に、定年退職後の再雇用職員ないし日勤講師としての採用を拒否された事件について、上記採用拒否をその裁量権を逸脱・濫用する違法なものと認定し、東京都に対し、採用された場合の1年間の賃金に相当する金額を賠償させる判決を言い渡した。
本件は、通達から採用拒否に至る「一連の仕組み」により、原告らが被った損害(慰謝料および逸失利益)の賠償を求める事件である。
訴訟の中で、原告らは、被告が国歌斉唱時に起立しない原告らを教壇から排除するために、「10.23通達~職務命令~懲戒処分~採用拒否」という不可分一体の「一連の仕組み」を栂築したことを強調した上で、その「一連の仕組み」の違憲性(憲法14条、19条、憲法26条・23条)、違法性(改正前教基法10条、学習指導要領、裁量権の逸脱濫用)、条約違反(国際人権B規約18条、子どもの権利条約12条1項等)にも力点をおいて主張した。
また、本件所訟で原告らは、高齢者雇用安定法をはじめとする近年の高齢者の雇用確保・継続雇用の政策的・社会的要請を踏まえて公務員の定年退職後の再雇用を保護しようとする裁判例を援用し、これまでの先行訴訟とは異なる視点から違憲・違法性を争い、それに対する裁判所の判断が注目された。
判決は、いわゆる10.23通達の発出前後で不起立等の実態に変化がないにも関わらず、10.23通達の発出後には、不起立等「のみ」を理由として不採用とするのは、10.23通達の発出前までの取扱いと著しく権衡を欠くと判断し、被告東京都の主張を一蹴している。
さらに、判決は、本件の不採用について「思想信条等に従ってされた行為を理由に大きな不利益を課すこと」であり「とりわけ慎重な考慮を要する」として、原告らの思想良心の自由にも配慮した。
その上で、不採用について、「定年退職者の生活保障並びに教職を長く経験してきた者の知職及び経験等の活用と言う再雇用制度、非常勤教員制度等の趣旨に・・・反し」などと指摘して、都教委の判断は裁量権の範囲を逸脱・濫用し違法であると結輪づけている。
なお、判決は、賠償の対象として採用された場合の1年間の賃金に相当する金額を認めているが、原告らに精神的苦痛が生じたことを認めていることにも留意すべきである。
判決が、「君が代」斉唱時の不起立「のみ」を理由とした本件採用拒否を都教委の裁量権の逸脱・濫用にあたり違法であると判示したことは、都教委の10.23通達以後の「日の丸・君が代」の強制に、司法府が一定の「歯止め」を掛けたものと評価できる。
また、原告らの被った損害について、近年の高齢者の雇用確保・継続雇用の政策的・社会的要請を適切に踏まえて、再雇用がなされていた場合に得られた賃金相当額の賠償を認めたことは、東京都のなりふり構わぬ締め付けに対する強い警告となり、妥当な判断である。
2015年5月25日
「東京地裁前旗出し」 《撮影:gamou》
◎ 原告団・弁護団声明文
本日、東京地方裁判所民事第36部(吉田徹裁判長)は、都立高校の教職員22名(提所時25名)が、卒業式等において日の丸に向かって起立して君が代を斉唱しなかったこと「のみ」を理由に、定年退職後の再雇用職員ないし日勤講師としての採用を拒否された事件について、上記採用拒否をその裁量権を逸脱・濫用する違法なものと認定し、東京都に対し、採用された場合の1年間の賃金に相当する金額を賠償させる判決を言い渡した。
本件は、通達から採用拒否に至る「一連の仕組み」により、原告らが被った損害(慰謝料および逸失利益)の賠償を求める事件である。
訴訟の中で、原告らは、被告が国歌斉唱時に起立しない原告らを教壇から排除するために、「10.23通達~職務命令~懲戒処分~採用拒否」という不可分一体の「一連の仕組み」を栂築したことを強調した上で、その「一連の仕組み」の違憲性(憲法14条、19条、憲法26条・23条)、違法性(改正前教基法10条、学習指導要領、裁量権の逸脱濫用)、条約違反(国際人権B規約18条、子どもの権利条約12条1項等)にも力点をおいて主張した。
また、本件所訟で原告らは、高齢者雇用安定法をはじめとする近年の高齢者の雇用確保・継続雇用の政策的・社会的要請を踏まえて公務員の定年退職後の再雇用を保護しようとする裁判例を援用し、これまでの先行訴訟とは異なる視点から違憲・違法性を争い、それに対する裁判所の判断が注目された。
判決は、いわゆる10.23通達の発出前後で不起立等の実態に変化がないにも関わらず、10.23通達の発出後には、不起立等「のみ」を理由として不採用とするのは、10.23通達の発出前までの取扱いと著しく権衡を欠くと判断し、被告東京都の主張を一蹴している。
さらに、判決は、本件の不採用について「思想信条等に従ってされた行為を理由に大きな不利益を課すこと」であり「とりわけ慎重な考慮を要する」として、原告らの思想良心の自由にも配慮した。
その上で、不採用について、「定年退職者の生活保障並びに教職を長く経験してきた者の知職及び経験等の活用と言う再雇用制度、非常勤教員制度等の趣旨に・・・反し」などと指摘して、都教委の判断は裁量権の範囲を逸脱・濫用し違法であると結輪づけている。
なお、判決は、賠償の対象として採用された場合の1年間の賃金に相当する金額を認めているが、原告らに精神的苦痛が生じたことを認めていることにも留意すべきである。
判決が、「君が代」斉唱時の不起立「のみ」を理由とした本件採用拒否を都教委の裁量権の逸脱・濫用にあたり違法であると判示したことは、都教委の10.23通達以後の「日の丸・君が代」の強制に、司法府が一定の「歯止め」を掛けたものと評価できる。
また、原告らの被った損害について、近年の高齢者の雇用確保・継続雇用の政策的・社会的要請を適切に踏まえて、再雇用がなされていた場合に得られた賃金相当額の賠償を認めたことは、東京都のなりふり構わぬ締め付けに対する強い警告となり、妥当な判断である。
2015年5月25日
再雇用拒否撤回を求める第二次原告団・弁護団
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