ぽかぽかと行きましょう

急がず、後れず。自分の歩幅でぽかぽか行くようなブログです。

2007年08月04日 | 一字の母

          「静」

「靜如林」(静かなること林の如し)

静寂の境地。何が静かか。

「閑(しず)かさや岩にしみいる蝉の声」   芭蕉

芭蕉ならではのこの一句。「奥の細道」の旅で、初案から三案の推敲を経てこの句に行きついたと言う。

①「山寺や石にしみつく蝉の声」

②「さびしさの岩にしみこむ蝉の声」

③「さびしさや岩にしみこむ蝉の声」

そして完成したのが、「閑(しず)かさや岩にしみ入る蝉の声」

我ら凡人ならば、一句目で良しとするところ。

染み入るとは、色がしみこむ、かおりがうつるで、心にまで深く感じ入る世界。

一方薄い蝉の羽の連想から「衣」の仕事に携わるものは、「夏衣」の、「絽」や、「紗」の薄絹に心をはせる。(無粋な職業意識か)

「蝉の羽のひとえに薄き夏衣なればよりなむものにやはあらむ」

 凡河内自躬恒  (『古今集』巻十九雑体、一〇三五)

拾っては見たが、浅学の身でよくわからん。(無責任)(各自自習せよ)

ようは、「蝉の羽」は、「薄し」、「衣」、「一重」にかかる枕詞として用いられるということじゃテ。

さてさて。

このうだるような暑さ、せめて「涼」の字の入った句を探そう。

「蝉涼し朴の広葉に風の吹く」   河東碧梧桐

「蝉涼し絵馬の天神身を横に」   松本たかし