ぽかぽかと行きましょう

急がず、後れず。自分の歩幅でぽかぽか行くようなブログです。

きもののお手入

2007年06月08日 | きものの現場

お客様が、茶会に行かれる際にタクシーに乗られましたら、そのタクシーのシートに何やら汚いものがついていて、腰掛けたきものの後身頃に、汚れがついてしまいました。

気が付かずに会場へ行かれましたが、お友達に教えられハンカチかタオルで拭きとって、そのまま二日間のお茶席に出られました。

かなりひどい汚れで、白い鳥の糞かクリームのようでもあり何だかわかりません。後ろ身頃二ヶ所に、拭いてこすったので膠着してしまったのです。

お電話があり、早速お伺いしてお預かりしてまいりました。プロの職人さんにお願いして、きれいに滲み落しをしていただきます。

濃い緑色地の、友禅の付け下げ一つ紋のお単衣です。白い汚れは目立ちます。さらによく点検しますと、帯下と胸のあたりに、うっすらと、白い粉が噴いたようになっています。  汗です。

二日間のお茶席では、この時季必ずといっていいほど汗がでて、きものに滲みます。 こちらも、汗ぬきのお手入をいたします。

時間が経つと、落ちにくくなりますので出来る限り、はやめのお手入れが肝要です。肌襦袢は、ご自分で洗えますが、長襦袢など黄ばんでしまって見えないからと、そのまま着ておられますが、黄ばんでしまったものは直りません。 相当古い汚れは、プロでも落ちません。

汚れの原因がわかっていて、迅速にプロの職人さんにゆだねれば、ほとんどのものは、きれいになります。

汚れの原因とは、油質のもの、蛋白質のもの、マヨネーズ、昔は母乳も、それに墨汁は膠がはいっています。ジュースは人工着色料も。 飲食物の食べこぼし、お酒がかかった、お皿のケチャップや、ソース。ホテルの宴会場や、レストラン。いろいろです。

お茶席では、お点前で袖が建水の水に浸かった。水はきものが縮みます。

お帰りになって、脱いだ着物の点検され、汚れの早期発見と、即お手入れです。

悉皆屋吉天は、救急車よろしく、緊急出動いたします。遠方の方は宅配便で送っていただいております。


水無月のきもの

2007年06月01日 | きものの現場

水無月(六月)のきもの

きもの     単衣  ・無双(紗合わせ)のきもの

長襦袢     絽

帯        月の前半は単帯、

          月の後半は絽、絽綴れ

半衿      絽・立しぼ

帯揚      絽・立しぼ

帯〆      厚みの少ない紐

         細めの丸組・冠組(ゆるぎ)

以上は、基本のおおざっぱな目安です。

単衣も、染めのきもの、織りのきもの、絽のきものにより帯も小物も取り合わせが違ってきます。色柄、素材まで含めて気を配ると「もうやめた」となります。

話は矛盾するようですが、あまり難しく考えないで、ようは楽しんで着ることが第一です。

特にTPOは、不安でしたら、よく知っている人に相談しましょう。

この時季、ゆかたも出揃います。きものビギナーの方は楽しんで着てください。「きもの美人」なんて褒められると、最高です。


「きものの現場」4 +帯つき

2007年04月21日 | きものの現場

爽やかな新緑、コートや羽織をとって、帯つきで歩けます。

春らしい付け下げきものに、袋帯を格調高くびしっと締めて居られました。

おやおや、後姿を見て驚きました。たれ先が普通の倍以上出ているのです。ご自分で着付けて帯も自分でちゃんと締められる方のようですが、鏡でチェックしないで急いでお出かけになったんでしょうね。

出ているたれ先を、帯の界切線が二分するように丸々出ているのです。ご自分の手加減で楽に帯結びできる方でしょうから、鏡でチェックしなくても大丈夫との自信で気が付かなかったのだと思います。

コートとか、隠れる物のない帯付きのころ、着付けや帯結びの気配りを怠りなく着ましょう。


「きものの現場」3 +杉村春子

2007年04月19日 | きものの現場

昨夜、NHKの衛星放送で、蔵出し杉村春子ショーを観た。

杉村春子さんの言葉から、

「人から見て、(きもの姿が)きれい美しいは 自分にとってきつく つらい。人が見て きたないは、自分にとって楽だ。」

いつも きもの姿が美しく楽に着ているようだった杉村春子さん、舞台で観客の目にさらされて見られていると言う緊張感がすきのない美しさのもと。

苦もなく きものを着こなして居られた杉村さんにして、きものを着ることに、このような気の張りを持っておられた。

この気の張りが、内面の美しさまで引き出し 美しいが上に美しいと、人は見る。

美容にかけては、最優先の現代女性も杉村春子さんのように、気の張りを持って、きもの着用に挑戦してみては如何。


「きものの現場」2 +展示会

2007年04月17日 | きものの現場

前記事と同日。

東京の呉服屋さんの連盟(呉盟会)の伝統行事の赤札市で春秋2回行われる。今回は、50回記念で衰えぬ人気の会。

呉服小売店が、在庫商品を特価にして持ち寄り、それぞれの顧客を呼ぶ。市価の、2,3割方安く、半額以下の黄札商品もあり高額品もこの機会にと、金、土、日の三日間お客が切れない。

商品は安いばかりでなく、高級呉服店の店主や、目利きの仕入れ係が選んだ逸品ぞろい。

お客も日ごろから、目の肥えた上顧客主体である。一方娘の成人式の振袖を選びに来る人もいる。

来場客の3割が、和服姿で買いものに来る人たちで、よい着物をきちんと着こなしている。というのも、仕事柄きものを着る人たちで、きものが必要な人たちが多いからだ。吉天の分類で行けば、職業的にきものを着る人たちに当たる。つまり趣味と仕事が一致した人たちともいえる。 茶道や、邦楽、邦舞、華道、着付け教室の講師、和事に携わる人々。

呉服屋が、無理に勧めなくても自分に似合う着物を自分で選べる人で、本物の良さをよく知っている。安くてもB反市の品ではない。

もちろん、きものが好きで日常的にきものを着ている愛好家も多いと思うが、東京一円の広い地域からすれば僅かであろう。

この会に限って、需要と供給のバランスが保たれて長続きしているゆえんである。


「きものの現場」 1+ 茶会

2007年04月16日 | きものの現場

4月25日(日)大安

茶会にお出かけの人

30台はじめの女性お二人、浅緑色(萌黄色よりもやや薄い)の紋綸子色無地のきものに、帯は黒地に有職風桐菱文様の袋帯。帯揚げは洗朱色の絞り染め、帯締めは、同じような朱色。草履の鼻緒も薄い朱色で統一感あって色彩的にはよくまとまっている。残念ながら長襦袢の袖が一寸ほど短くちょっと出てきそう。

もう一人の方、きものはろうけつ染めの線描に紅型風の彩色の御所解模様の小紋。更紗でもない、あまり見かけないきもの。帯は樺色(かばいろ)に、箔使いの正倉院模様の袋帯。

ややあって、駅のコンコース急ぎ足の方。薄墨色の地色の訪問着に桜の花木の模様。帯は黒地。

四人目の方、電車の中。鮮やかな萌黄色の色無地のきもの。短い道行きのコートは、濃い臙脂色か、ワインレッドか。帯不明。コートときものの色がかけ離れてしまった。

気温高め、まずまずの天気で、いずれの方も茶会に赴くところ。

お日柄もよく、明治記念館などに行けば、きっと多くの和服姿の人々が見られたことであろう。


「きものの現場」レポートにあたって

2007年04月14日 | きものの現場

過日、六本木の東京ミッドタウンに出向いたときのこと。ミッドタウン半日歩き回ってきものを着ている人に出会ったのは、帰りがけに出入り口での中高年女性一人であった。何十万人に、一人と言うことになる。

粋な着こなしのその女性に声をかけてみると、少し太ってきたから体形を隠す為にきものを着ているとのことであった。

当節、日常に街なかで普通に行き交う人の中で和服姿の人は誠にまれである。

婦人雑誌や、きもの関連雑誌などで、モデルさんや、女優さんが きれいにきものを着ているのは、編集者の作り事で、絵になるように出来ている。

現実の世界と著しく乖離しているように思える。

現実の着物姿が、そのまま映し出されて まともなのは、小津安二郎監督の映画に見るような場面で、昔の大女優がごく自然に着ている姿だ。

現代の映画やドラマでも、女優さんのきもの姿のシーンは出てくるが毎日きものを着て生活をしてない人の場合は、着物を着せられて演技をしているように見て取れる。

そこえ行くと、さすがに歌舞伎界の人たち(役者夫人)は、文句なしに着物姿が板についていて何の違和感もない。むしろオーラさえ感じられる。

素人の女性も、きものが好きで毎日の生活をきもので通している人は、そのまま「きもの美人」の称号を差し上げたいほどである。

これから「きものの現場」では、次の事柄で展開して行こうと考えます。(単なるきものウオッチングで、大上段に構えて論じる事でもないのでお気軽にどうぞ。)

1)きものを着ている人と、その場面。

2)きものの流行、(主として、昭和30年代以降の)。

3)きものの着こなしと、コーディネイトを見る。

4)きもののこれから。

    1)のきものを着ている人と、その場面について

     イ、職業的にきものを着ている人。

     ロ、習い事できものを着る人。

     ハ、きものが好きで、毎日のようにきもので生活している人

     ニ、冠婚葬祭できものを着る人。

     ホ、リサイクルきものを買ってアンティークに着る人。

場面の例・観劇、相撲見物、和食レストラン、和の場面、茶会、舞踊の発表会、一流デパートや、呉服店の顧客としてショッピング、夏の花火大会などでの若い人のゆかた、結婚式場、神社仏閣、観光などなど。

鳥の目、虫の目できものを見てゆきます。次回から具体的に記事にしてまいります。


新カテゴリ「きものの現場」オープン

2007年04月13日 | きものの現場

このたび当ブログでは、カテゴリに新しく「きものの現場」を開設いたします。

当面、土日を中心に不定期で更新いたしますので、ご期待ください。

ゆくゆくは、現在の「色の世界」いろ波と、「きものの現場」をコアにして、爺問題と併せて構成してまいります。

ゲストの皆様の変らぬご来訪をお待ち申し上げております。