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橋と救出作戦

2007年08月11日 | 日常・身の回り

先日、アメリカでミシシッピに架かる橋が崩落しました。あの工業大国のアメリカの橋も弱いものです。

かの「マジソン郡の橋」は、いかならむ。すだれをかかげて見る。なァんちゃって。

映画で、クリント・イーストウッド演じるカメラマンが、汗になった体をポンプの水で洗って拭くシーンで、人妻がクラクラとなって不倫する。

そんな映画の、「マジソン郡の橋」。木製で屋根のある橋。あの橋も数年前に火災にあって、その後どうなったか。

これも映画「戦場にかける橋」の”クワイ河マーチ”も印象深いメロディだ。

近江の生まれで、育ちも近江ながら琵琶湖大橋も、近江大橋も知らない。東京に出てから出来た橋だ。

何の話しょうと思ったのか。

そうだ「蜘蛛の大事業」のつづきをやるんだった。

例の蜘蛛の「トム」が作った長大な橋は、今日も健在だ。

五メートル余の銀色に光る糸の大橋はところどころ支点でつなぎ雨風に耐えてきた。幸田露伴の「五重塔」を作った大工の棟梁のように暴風雨の後、「トム」は自分の作った橋とネットを、葉陰から見守っているに違いない。

そんな橋にも、巣にも毎日危機が来る。

日に、一、二匹の大小の蝉がかかる。トンボも蝶も飛び回っているのに、なぜ蝉だけがかかるのか。目が悪いのか、飛び方が悪いのか。生まれたての蝉は、まっしぐらに飛び立ち体当たりだ。あの不幸な戦争の特攻隊の若者をしのび、やるせない。吉天の五、六歳先輩の人たちが、お国のためにと一途に飛び立った。

巣を守る蜘蛛にとっても、激突する蝉にとっても双方が被害者であり、犠牲者だ。

蜘蛛は如何するかというと、餌にもならない蝉を、夜のうちに巣の半分とともに切り落としている。蝉の落ちたあたりの草叢を見ると、幾匹かの屍骸が蟻などに食われて胴、羽、頭ばらばらで、塚をなしている。

そして、朝を迎える前に、巣は修復されている。

ある朝、修復されたばかりのネットに、若蝉が今かかったばかりでバタバタもがいている。特に右羽がくっついて、左羽で飛ぼうとしている。左の羽がくっつく前に助ければ生還できる。

いざ、救出。吉天爺の出動だ。地上から3.5メートル。植木の支えに使う棒を持ち出し、蝉をネットから取る。右の羽に蜘蛛の糸がついたまま、蝉はタコ糸を引いて飛ぶ凧のように舞い上がった。

手元に残った粘っこい糸をたぐり寄せ、指で蝉をつまむことが出来た。指先でボンド付けになった羽から粘着糸を取り去り、薄い羽の点検を済ませ、梨畑の空に向けて思い切り投げてやった。

格別の礼を言う事もなく蝉は飛び去ったが、まだ今日ぐらいはどこかで元気で鳴いていることだろう。

「情けは人のためならず」か。ブログのネタになる。

隣の梨畑は、3,000坪。蝉の数は万といる。いっせいに鳴きだすと騒音に近い。短い一生の間に蜘蛛の巣にかかるような事故にあう確立は、万分の一。ロト・シックスの宝くじに当たる確立は600万分の一。

トムの作った橋は、夜間工事で直し続けている。たぶん彼女との愛の巣も捕虫網の巣とは別にあって、こちらは昼間ベタベタしていて、そのうち「蜘蛛の子を散らす」の言葉どおりに子宝に恵まれることであろう。

                                 おしまい


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
はい、立派なブログネタです。私も先日セミを1匹... (◆みどり様へ)
2007-08-11 16:14:13
はい、立派なブログネタです。私も先日セミを1匹、蜘蛛の巣から助けました。触ったら動いたのです。もう1匹はぐるぐる巻きにされて巣にツルされていました。蜘蛛がセミの上にいましたよ。体液を吸うのでしょう。それから2日後ぐらいに切り落とされていました。
毎夜、突貫工事ですか。補修は毎夜するのでしょうね。
奇しくも今日、蜘蛛の子を載せました。
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度々で申し訳ありません。上はkazuyoo60です。(ぺ... (kazuyoo60)
2007-08-11 16:14:50
度々で申し訳ありません。上はkazuyoo60です。(ぺこり)
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こんにちは。 (wakaboshi)
2007-08-12 12:35:31
こんにちは。
最後まで姿を見せず、見せないが為に、吉天さんの想像力はタイムマシンのように時間と場所を縦横無尽に駆け巡り、子作りの心配までなさって、素敵でしたよ(ニコニコ)!!
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wakaboshiさん。 (吉天爺)
2007-08-12 15:44:58
wakaboshiさん。
蜘蛛の「トム」は、夜ライトでも持ち出し当ててみないと、取材できません。
どうしても、昼間の会見には出ないと説得に応じない構えです。
秋になれば、いずれブリッジもネットも消え、次世代の蜘蛛の子が新しい世界を築くでしょうから、おしまいにさせていただきました。ご愛読有難うございました。
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