ぽてちの「人とはちがうモノ」日記

「人と同じことはしない」ぽてちが選んだ、いろいろなモノたちのお話。

「土曜日」

2008-04-15 13:28:15 | 読みモノ
「土曜日」(イアン・マキューアン)を読んだ。
「土曜の一日、優秀な脳神経外科医として幸せな生活を
送っている男に、さまざまな想念が去来する。」
一日でこれだけ多くのことを体験し、これだけいろんなことを
考える人もいないだろうけど、楽しく読めた。
外科手術の描写が生々しく、迫力あるなぁ。

一日の始まりを、「あたりの磁場を歪ませるほどの多幸感」で
迎えた主人公はしかし、「人間が実は何も所有したりできない
ことを理解した。すべては借り物なのだ。我々の所有物は我々よりも
長く保ち、我々は最後にはそれらを置いてどこかに行ってしまう。」と、
いささか悲観的に一日を終えることになる。
大変な一日だったこと。テロの恐怖。イラク戦争反対デモ。チンピラ。
スカッシュ・・・まだまだ続く。そこに家族のことも加わってきて、
とにかく盛りだくさん。

でも結局、このインテリで裕福な医者は静かに一日を終えるのだった。
ちょっとした不安感を抱いて・・・

つぎは、映画化で注目の「贖罪」を読む。