国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

北京五輪中止、共産中国崩壊、上海の特別行政区化というシナリオについて考える

2007年02月14日 | 中国
昨年秋以降、中国では江沢民前総書記につながる上海派閥を一掃する権力闘争が本格化しているという。しかし、その一方で中国政府は羽田空港と上海虹橋空港(国内線専用)の間のシャトル便の開設に前向きである。上海閥が敗北し北京閥が勝利しているのならば、このシャトル便構想は羽田北京間に変更されてしかるべきだがその様な動きはない。私は、上海閥と北京閥の対立というのは演出されたものであり、実際には上海閥が今も実権を握っているのではないかと想像する。胡錦濤は北京の清華大出身で北京出身の妻をもつ為に北京閥とされているが、彼自身は上海近郊の生まれで上海に縁の深い人物でもあるのだ。上海は日本からの多額の援助や投資に支えられ繁栄を極めているが、その発展故に他の地域の中国人からは妬まれ反感を買っている。上海閥としては、北京を生贄にして中国政府への庶民の不満を解消させ、その上で上海を香港のような特別行政区に格上げすることを狙っているのではないか。「特別行政区」は「高度な自治権を有するが、外交と防衛権を有しない」行政単位であり、かつての李氏朝鮮、あるいは清時代の藩部(チベット・ウイグル・モンゴルなど)と似ている。現在香港のみが指定されている「特別行政区」に、上海に加えて西部の少数民族地域が指定されることは十分考えられるだろう。具体的には、「北京閥の弾圧に上海閥が反撃し始めた」という触れ込みで、「北京閥は北京の繁栄のために五輪を開催し、農民の疲弊を放置している!」「北京閥は五輪を直ちに中止し、その施設と費用を疲弊した出稼ぎ農民の為に使え!」との上海発の政府批判が政府自身によって大々的に広められる。そして、地方政府の腐敗、農民の疲弊などの全ての社会問題の責任が全て架空の「北京閥」に負わされ、ソ連崩壊と同様に中国政府も自ら崩壊することになると想像する。その後、西部の少数民族地域と上海が香港と同様の「特別行政区」に指定され、高度な自治権を得ることになる。これらの地域は将来の住民投票で独立も可能ということにしてもよいだろう。上海にとってこれほど大きな利益はない。そして、新しい中国政府も上海閥が支配し続けることになるだろう。江田島孔明氏は、ソ連崩壊はKGBが自ら計画し演出した謀略であると述べている。中国もまたソ連を見習い、自国を自ら崩壊させることを狙っているのではないだろうか? . . . 本文を読む
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