国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

シベリア原油、対アジア輸出開始

2010年01月01日 | ロシア・北方領土
東シベリアの油田からパイプラインと鉄道と船でアジア太平洋地域へと原油を輸出するロシアのプロジェクトがとうとう動き始め、原油がタンカーで出荷され始めた。一部鉄道輸送区間があり、プロジェクトはまだ完成ではない。現状では年間1500万トン、最終的には年間5000万トンの輸出計画というから、その4割が日本に輸出されるとした場合、最終的には日本の原油需要2億トンの1割を占めることになるだろう。ホルムズ海峡やマラッカ海峡といったチョークポイントを経由しないで日本に輸出される点で、エネルギー安全保障の観点から見て利益が大きい。将来的には西シベリアや中央アジアのパイプラインと一体化してユーラシア大陸の石油を四方八方に運ぶシステムの一部となり、ロシアのランドパワーを大きく増大させることになると思われる。 しかし、日本にとって、またロシアにとって、最も有益なのはこの石油パイプライン計画ではない。石油は鉄道でも船でも容易に運べるので、パイプラインのメリットが小さいのだ。一方、天然ガスは鉄道では運べないし、船で運ぶには極低温で液化させる(LNG)必要があり高コストである。ロシアは天然ガスの埋蔵量世界一であり、二位・三位のイランやカタールにも近い位置にある。ロシア産や中東・中央アジア産の天然ガスをロシアのパイプライン経由で日本に輸出することができれば、日本の受けるメリットは計り知れない。現在は樺太の天然ガスすらLNGタンカーで輸入しており、日本のエネルギー輸入は全て海運に依存しているのに対して、新たにパイプラインという陸運の輸入手段ができることになるからだ。ロシアにとっても、富裕で社会が安定しておりガス代金の支払い能力の高い日本は中国や韓国と比較して好ましい顧客であり、輸出先の多角化の観点からも利益が大きいと思われる。 日本はエネルギーを含め貿易を全て海運・空運に依存している。米国の巨大な海軍力に日本の貿易は支配されており、大陸のパイプラインを日本に繋ぐことは米国が許さないのだろう。米国が更に弱体化してロシアと日本の接近(北方領土問題の解決)を認めるまでは、樺太から北海道への天然ガスパイプライン計画も現実化しないと思われるが、その時が徐々に近づいている。 . . . 本文を読む
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