国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

バブル崩壊後の中国に生まれる鉄のカーテン

2010年01月10日 | 中国
米国の投資家であるジェームズ・シャノス氏が中国経済のバブル崩壊を予測している。巨大な不動産バブルが存在すること、公式統計の数字が疑わしいこと、解消されない生産設備の余剰などが列挙されている。上海万博は2010年5月1日―10月31日に開催されるが、多くの人々が万博後に高度成長の反動が起きることを予想している。だとすれば、バブルが崩壊するのは恐らく万博の後ではなく前になるだろう。 バブルが崩壊した後の中国は、これまで以上に輸出(外需)に頼ろうとするだろう。しかし、欧州は恐らくエマニュエル・トッドの予測するように保護主義化する。米国は、中国が米国債を買い支える限りは中国の輸出を受け入れるだろうが、米国経済が先行きの見通しが暗い以上、対米輸出の増加は期待できない。内需もダメ、外需もダメという状態になれば、経済成長という中国共産党の唯一の正統性が失われることになる。その後に起きるのは大混乱であろう。(この混乱は、中国による米国債買い支えを終焉させ、それによって米国もまた経済的・政治的に大混乱に突入することだろう。) 混乱の中で、富裕な沿海部の省は北京政府から続々と独立し、福祉を重視した社会民主主義の国を目指す。その一方で、貧困な内陸部の省は混乱状態が続き、行政は麻痺してやがて軍閥が支配する様になる。中国大陸が沿海部と内陸部の二つの地域に分断され、その境界には人やモノの移動を遮る障壁が引かれることになるだろう。20世紀の鉄のカーテンは欧州に生まれたが、21世紀の鉄のカーテンは中国に出来る、と言うのが私の予想である。 . . . 本文を読む
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