「伯爵夫人」と聞くだけでなんとなくエロ映画のような気がしてしまいますが・・・おれだけでしょうか・・・
でも、そんな映画じゃありません。チャップリン監督の81作目で遺作だとのことです。
昔からチャップリンの本を見ていて存在は知っていたのですが、見る機会はありませんでした。チャップリン自身もほんのちょっとおまけで出ているだけです。でも、チャップリンの息子が友達役で、娘さんも出ているようです。
香港の映像や海の上の映像なんかは、倉庫にしまってあったフィルムを使いましたって感じの映像ですが、それはそれでまた趣が・・・
話の中身は普通のお話ですが、そこはやっぱりチャップリン的なお遊びはところどころにちりばめてあります。
必要以上のあわてぶりなどは、当時だったら笑いがあるかもしれませんが、今となっては・・・というところもあります。そこは仕方のない部分でもあります。でも、それでも、間の取り方というか、タイミングはさすが!と思うところもあります。
チャップリン的といえば、何かのメッセージ性を考えてしまいますが、それほどのものはありません。こじつけ的にいえば、アメリカの外交官がロシアからの亡命者と恋をする話で、体面に縛られ、または人生を壊された2人の恋を描いているということになるのかもしれません。
それを強く感じたのは、自分の地位を捨ててしまいたいと告白するシーンですが、そのときに、「いけない」と言ったナターシャの言葉に重みを感じました。彼女は自分の置かれた地位のおかげで国を追い出され、つらい人生を送ってきたわけだから、その体面というものの前に個人の思いなどは無力であることをよく知っているわけですよね。そしてそれがまた彼女の前に立ちはだかるわけですから。
男の方はただの一時の気の迷いとも取れる・・・女に溺れて人生を変えるといってもおかしくない話になるわけですけれど・・・恋愛ってそういうものだと言いたいのかな?それこそまわりがどう思うかやその選択が結果的に失敗かどうかじゃないんじゃないの?といいたいのかもしれません。
共産主義者のレッテルを貼られ、アメリカにいられなくなったチャップリンの思いもあるのかもしれません。
最近、かもが多いかも。
それにしても、形式上の結婚をさせられた男の人はかわいそうです。
あと、最初と最後のダンスのシーンの対比は面白いです。