唐茄子はカボチャ

映画と音楽と・・・

生きたい

2007年09月03日 | 映画 あ行
生きたい

パイオニアLDC

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不思議な映画です。
午後の遺言状を見たときにも思いましたが、小説的で舞台的で、新藤兼人さんの作風なのかな?どこか滑稽です。

現代のカラーのところも、白黒の姥捨て山の物語のところも、両方味があっていいです。

陸に上がった・・・のときに新藤さんは、「性」が人間の本性みたいなことをいっていたと思いますが、まさにそれを表現した「性交」です。求め合ってる感じが生々しい。人間のエネルギーが一番発揮されるところはここ!といわんばかりの映像です。

と同時に、午後の遺言状での足入れ式もそうですが、SEXをすることが2人だけの問題でなく、社会の当然の営みとして表現されている気がします。・・・とうより、結婚が子孫をつくって社会を残す社会的に大事なことだということなんでしょう。新藤さんの考えかたがそうだ。ということではなくて、昔のしきたりが・・・ということですけど。

姥捨て山にお母さんを捨てに行くのも昔からのしきたりで村にとっては当り前にやられてきたことですが、それだけでなく、後家さんの行く先をくじ引きで決めるのも村のしきたり。いろいろなしきたりによって村を維持していったのかもしれません。

老人ホームを現代の姥捨て山に見立てていますが、だからと言ってそれを批判的に撮っているということではなくて、それぞれの家族の選択があってもいいということなんでしょうか。

お父さんをあれだけ嫌がっていた娘が、お父さんを老人ホームに入所させ、一人きりになった時にやっぱりお父さんと一緒にき暮らすことを決めるのは泣けるところです。でも、それも、こうあるべき!という話ではありません。

三國連太郎と大竹しのぶの演技がすごいです。
津川雅彦さんも面白い。あと、お婆ちゃん役の人も、後家さん役の人もいいです。

エンディングでも流れますが、姥捨て山に行く途中の音楽がすごいいいです。

娘が他の人と結婚してしまう好きな人にカーネーションをそっとドアのところに指しておいたという話がなんか切ないです。この先、彼も私も死んで、カーネーションのことなんて誰も知らなくなって、歴史に飲み込まれていくことを「素敵」と思うなんて・・
そのあとに悲しい感情がこみ上げて動揺する大竹しのぶさんの演技は本当にすごい。やっぱりこの人、プロですね。