「酒米の精米歩合の意味」
酒米って粒が大きく、心白があって、蛋白分たんぱくぶんが少ないものが良いのです。
というのは、粗蛋白分が多いと雑味が強く、味の多い酒質になりやすいからです。
米の外側は特に蛋白分が多いので精白します(削る)。
だから精米歩合が少ないほど、雑味の少ないきれいな酒になりやすいのです。
ここで、基本的なおさらい・・・
精米歩合80%は、酒米の外側20%を削って、中心部の80%を残している状態です。
(精白歩合20%=精米歩合80%)
ただ、米の中心部の白い部分(心白)が丸い形をした球状心白だと、精米歩合は50%が限界となってしまいます。
それ以上精白すると心白まで達することになるからです。
心白が剥き出しになると、麹菌が剥き出しになった心白部分に片寄って付いたり、また心白は溶けやすいので、米割れの原因や、米が溶けすぎて糊精の多い鈍重な質のお酒になりやすいのです。
これが細長い線状心白だと、心白を剥き出しにせずとも、35%ぐらいまでの精米歩合にできます。言い換えれば65%の精白歩合です。
蔵によっては20%未満まで精米歩合を低めて、精米歩合で日本一を争うところもあるのですが、精米歩合が低ければ必ず美味しい酒ができるか?
と言えばそうとも言えません。
精米歩合を低めれば低めるほど、醸すのが難しくなり、杜氏さんの卓越した技術と勘が必要になってきます。
さて、このような線状心白をもった酒米は
「山田錦」
「雄町」
「強力」
の3種類しかありません。
しかし「山田錦」に関しては、山田穂と短稈渡船をかけあわせて作った人工的な酒米の品種なので、実際に純系分離された品種で線状心白をもつのは、
「雄町」と「強力」
しかないと言えます。
この2品種は、互いに超長稈品種(背が高い品種であるということ)であり、不思議な事に、共に鳥取の大山の麓に起源を持つ原生種です。
そんな「雄町米」で醸したふっくらした米の旨味が特徴の日本酒を一つ紹介します。
「武蔵の里 山王 雄町純米」
田中酒造の地元の氏神様が祀られる「山王山」にちなんで名づけられた岡山産雄町純米酒。
まず、優しい旨味が口中を支配する。柔らかく口当たりの良い旨味だ。そのあとを追いかけて、大人しめに酸がたったかと思うと、口中で温度が上昇するとともに複雑な酸の舞いを踊り出す。
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