「日本酒の味の開かせ方」
今日は、「立冬」で暦の上では冬に突入です。
いよいよ本格的に「純米燗」の季節到来で、ワクワクが止まらない今日この頃です。
さて燗酒でスッキリ呑める完全発酵の純米酒の場合、
栓を開けたばかりの時、造りの強い純米酒ほど余韻の渋みが強いですよね。
これは、まだ味が開いてないのです。
そんな味が固いときの味の開かせ方ですが・・
1.ワイン同様、デキャンタージュして空気に触れさせて強引に味を目覚めさせる。
2.栓をせずに瓶の口にガーゼなど被せて3日から1週間常温放置する。
(これを通の間では放置プレイと呼びます。)
3. 60~70℃まで温度をあげて虐めた後に40~45℃まで冷まして呑んでみる。
4.わざと燗冷めさせた純米酒を、翌日もう一度燗につけてみる。(燗冷め燗)
これらの技を駆使することで味が開き純米酒が目覚めます。
また熟成純米酒の味の変化を如実に実感できるこんな方法もありますので試してみてください。
まず一升瓶を買ってきたら4合瓶2本に分けます。
余った分は開けたての味を楽しんでください。
そして4合瓶の1本は冷蔵庫へ、
もう1本は栓をせずに瓶の口をガーゼなどで覆い常温で放置しておいてください。
翌日からこの2本の味わいの変化を確認しながら呑みます。
冷蔵しているお酒は開けたての味と余り変わりないですが、
常温放置した純米酒については3、4日で味が開き、劇的に変化して美味しくなるはずです。
それぞれの純米酒を「冷や」と「燗」にして呑めば、1本の純米酒の味の変化を4倍、5倍に愉しめます。
試してみてください。
それでは今日は・・
まだ少し固い味わいで「放置プレイ」しながら呑んでほしい純米酒を紹介します。
「大正の鶴 百万年の一滴きもと雄町純米2020BY」
「きもと」特有の乳酸系の爽やかな香りが鼻孔をくすぐりワクワクする。口に含むと、穏やかで上品な旨味を感じ、温まるほどに膨らむが、期待値の手前で伸びが止まるのが口惜しい。すぐに柑橘系の酸が追いかけてきて、渋味とともにキリッと引き締まった強い酒質と透明感を演出する。「洋ナシ」に「甘い夏みかん」を足して2で割ったようなイメージの余韻がある。もっと旨味が開く1~2年後の酒質が愉しみだ。
「十旭日きもと改良雄町純米R 2BY」
旨味が艶やかで上品さがあり、柑橘系の酸もスッキリとキレて、非常に透明感がある酒質。余韻は渋味が強いのは若さからくるもの。蔵元としては、まだ出荷するには熟成が足りず不本意のようで、若さに応じた呑み方の提案をしてほしいとのことだが、現状で、冷やでも燗でも十分に愉しめる。もちろん虐めながら(放置プレイやデキャンタジュ、燗冷め燗など)強引に味を開かせるのも良いが、現在の若く精悍な酒質を愉しむのも良いと思う。
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