食と住の面倒はみてあげるということで、あとは卒業を待つだけとなった2月、殆ど大学へ行っていなかった娘が、事務に用があって、久しぶりに顔を出した。
すると、事務の方が、”良い募集がきてたよ、見に行ってごらん”と教えてくださったという。
すっかり就職活動に嫌気が差していた娘だけれど、たまたま登校してみたらそういう話、何となく縁があるような気もして、ダメもとで応募してみる気になった。
企業名は娘も私も知らなかったけれど、夫は知っていた。
あまり一般に知名度はないけれど、知る人ぞ知る企業だったのだ。
採用はたったの一人。
2月とはいえ、最後の望みで応募者はかなりいるはず、。
書類選考と筆記試験は通ったけれど、今までも一時面接までは殆ど通っていたから、それは予想のうちだった。
問題はこれからだ。
二次面接で三人に絞られ、最後の支店長面接 まで来た。
その三人は、娘と、同じ大学の違う学部の子が二人だった。
三人まで絞られたところで落ちたら、ここまで来れたと考えるべきかも知れないけれど、なまじ期待を持たされた分落胆も大きいだろうなと、先の心配をせずにいられなかった。
その面接を受けて3日後くらいか、その社の部長さんとおっしゃる方からお電話をいただいた。
娘に取り次ぎ、耳をダンボ並みに広げて、私もドキドキしながら会話を聞いていた。
その電話が終わった途端、”採用だって”と娘が弾んだ声で言った
当時現役だった夫にさっそく電話で報告、夫の、”そうか、良かったね”という声に喜びが滲んでいる。
筆記試験の結果では2番だった娘が採用された理由が、入社して少し経つとわかってきた。
会社側が採用決定にあたって最重要視したのは協調性だったそうだ。
何匹も猫を被るのが得意の娘、そのあたりは上手くやっていけるだろう。
その猫がはがれるごとに、”癒し系だと思ったのに・・・”と、支店長が嘆いたとか嘆かなかったとか
あ、大変!出かけなければ