母を連れて頭痛外来へ行ってきた。
長年の母の頭痛に何か対処法はないものかと、ほぼ無駄足だろうと思いながらも
行ってみたのだ。
診察も無事終わり、会計のために診療券を返してもらうのを待っていた。
そこへ、杖を突いたご70代前半と思しき男性が私の隣に座った。
左半身がやや不自由そうだ。
少ししてその男性が、遠方からですか?と話しかけてきた。
この病院は札幌では有名で、道内各地から患者さんがやってくる。
「いいえ、市内です。ここは遠くからの患者さんが多いみたいですけど、
やっぱり良いんでしょうか?」
と、私が答えると、そうですね~、患者の扱いは札幌の病院にしては良いですよ。
と言う。
少し引っかかるものがあったけれど、ああそうですか。
とこたえると、彼は更に続ける。
「医大や北大は酷いですよ。何かと言えばここは大学病院ですからと上から目線ですからね。
三流大学のくせに」
ここでカチンときた私、「ほう三流ですか、ではあなた様は東大出ですか?」
もちろん胸のなかで呟いただけで、「ああそうですか」と言っておいた。
私が通っている病院の先生は、ほとんどが医大か北大出身だが、みなさん、とても親切だ。
医大病院にもかかったことがあるけれど、ひどい扱いをされた覚えはない。
その男性の悪口は更に勢いづく。
「所詮札幌なんか田舎なんですよ。自分たちは勝手に大都会と思っているようだけど」
だんだんムカついてきている私。
「そうですか、私は札幌が大都会だとは思っていませんよ。 札幌は大きな田舎です。
そこがいいところだと思いますけど」
「だいたい札幌の若者は道外へでたがりませんね。意気地がないんですよ。井の中の蛙です」
「そうですか、うちの子供たちはみんな道外で働いていますけど」
聞こえなかったのか、
「札幌がどれだけ良いんだか、どこでだって生きていけるんですよ」
ここで、辟易した私、
「そんなことばかり言っているとお友達ができませんよ」と、ちょっと冗談ぽく言ってみた。
「友達になりたい奴なんか一人もいませんよ」と吐き出すように言う。
重症だ。
あなたと友達になりたい人も一人もいないでしょうね。
そんなに嫌な札幌なら、どこでも好きなところに移住なさったらいかがですか?
と、いってやろうかと思ったが、相手は杖を突いた高年者だ。
さすがにやめておいた。
でも、その男性にはうんざりで、母のほうを向いて彼のことは無視していたら、
そのうち、どこかへ消えていった。
確かに道外に出たがらない若い人は多い。
でも、大都会に出て行って、就職する子もたくさんいる。
私は、若い人には一生に一度は東京の空気を吸って来てほしいと思っている。
エネルギー、あの大きさ、複雑さとでもいうのか、やはり札幌にいてはわからないものがある。
でも、出る人留まる人、いろいろな人がいていいじゃないの。
地元にとどまる人がいなければ、地方都市は衰退する一方だ。
札幌市民は郷土愛が強い。
道外に出た人も、札幌出身ですと胸を張って言う。
思うことはいろいろあるかもしれないが、地元で地元を罵るような言い方はしないほうが良い。