パリ3区の遺産相続人」を観た。
マギー・スミスの家族再生の物語だというので、録画してあった。
50代後半の男性がニューヨークからパリへやって来る。
父親の遺産であるパリ3区のアパルトマンにやって来たのだ。
負け続きの人生を送って来たらしい彼は、
遺産のアパルトマンを売り払って再出発するつもりだった。
ところが、来てみると、そこには90歳の老婦人とその娘が住み着いていた。
そのアパルトマンは、ヴィアジェという契約物件だった。
ヴィアジェとは、リバースモゲージに似た制度だけれど、違いは、
売却価格が低いこと、売主が死ぬまでその家に住み続けられること、
月々のローンを売主が生きている限り、払い続けなければならないことだ。
契約後に売主が早く亡くなれば買主はラッキー、長生きすればアンラッキー、
一種の賭けだ。
彼が相続したのは、老婦人付きのアパルトマンだったのだ。
彼女が死ぬまで、売ることができないばかりか、
毎月2400ユーロのローンまで払わなければならない。
しかも、その老婦人は彼に滞在中の家賃まで要求する。
行く先のない彼は、それに従うしかない。
不本意ながらもそこで暮らしているうちに、
父親とその老婦人の関係がだんだんとわかってくる。
かつて、彼らはともに配偶者のあるW不倫の関係だったのだ。
それを知ってなじる彼に、
「それがそれほど悪いことなのかしら」
開き直る老婦人
まあ、そこまでは良いとして、
「私は夫と結婚するしかなかったのよ。あなたのお父様は当時お金がなかったの。」
あんたはお宮か!
パリの愛人に心を奪われた父に愛された記憶のない彼、
自分の子ではないのではないかという疑惑で、父に愛されなかった老婦人の娘。
同じ境遇に二人の心は通い合う。
これは、お決まりの結末に行きついてハッピーエンドなのだろうなと思わせる。
でも、二人は、自分たちが同じ父親を持つ兄妹ではないかという恐れで
前へ踏み出せない。
娘は、自分の本当の父が誰なのか、母に問いただす。
その時の老婦人のセリフがスゴイ。
「私にだってわからないのよ。
そうだとしても、気にすることないじゃないの、その年では子供もできないんだし。」
唖然、でも、この人なら言うと思ったわ。
だけど、そういう問題か!
画面の前で思わず突っ込んでしまう私。
しかたなく、彼らは意を決して遺伝子検査に臨む。
その結果、二人に血縁はないと判明する。
ついにめでたしめでたしだ。
やっぱりね。
3人はこのアパルトマンで仲良く暮らすのだろう。
二つの家庭に不幸をもたらした女は、こうして幸せな老後をおくるのだ。
これって、家族再生と言えるのかしらね~。
したいことをした者勝ちだということなんじゃないのかな~。
書き忘れていたけれど、老婦人はもちろんマギー・スミス。
ニューヨークから来た男性はケヴィン・クライン。
老婦人の娘はクリスティン・スコット・マーティン。
3人ともアカデミー賞俳優だそうです。