韓国ドラマ「ドクター・プリズナー」あらすじと感想、最終回。
2019年作品、全16話。
ナムグン・ミン扮する天才医師が刑務所で囚人の治療をする「ドクター・プリズナー」へと変身し自ら家族の復讐にはしる韓国で高視聴率を記録した新感覚メディカルドラマです。リアルな手術シーンよりも「刑務所の王」の座をかけてカリスマたちが静かなる闘争を繰り広げる男たちの権力争いが中心に描かれています。善良だった外科医のナムグン・ミンが復讐のため刑務所の医師ドクター・プリズナーとなって刑務所医療課長や財閥たちと頭脳戦を繰り広げていきますが、病気を治すはずの医師が収監された受刑者たちと手を組み、病気による刑の執行停止を狙ってあえて病気を作り出し刑務所から出してあげるという他とは異なる医者にちょっと驚きました。そんな天才外科医を「キム課長」のナムグン・ミンがクールに登場。彼は悪役からコメディまで何でもこなす俳優さんですが最近ヒット作が続いていますね。本作は常に深刻な顔をして一歩も引き下がれない復讐の鬼と化すダークヒーローを演じていますが、彼のリベンジは成功するのでしょうか?片時も目が離せません。また彼と熾烈に争う悪の権力者たちのチェ・ウォニョンとキム・ビョンチョルの二人も強烈な存在感があり悪の不気味な笑いの表情は腹立たしくもあり、その精度の高い役作りで復讐劇&権力争いが張り巡らされた本作に引き込まれていきます。また本作も主演俳優のラブストーリーがありませんでしたが、チョン検事役のチャン・ヒョンソクの熟年カップルが楽しく笑わせてくれました。韓国での高視聴率も納得、見る価値大いにあります。
あらすじ(ネタバレあり)
テガン大学病院に勤務する外科医のイジェ(ナムグン・ミン)は患者想いで誰からも信頼される医師でした。ある夜、交通事故に巻き込まれた妊婦を救うため緊急手術を行いますが、事故を起こした張本人であるテガングループ常務のジェファン(パク・ウンソク)に手術を妨害されて病院を追われてしまうのです。それから3年後、麻薬所持で逮捕されたジェファンは刑務所への移送中に交通事故に遭いますが、そこに現れたのはイジェでした。母を殺され自分を陥れた復讐のためイジェは壮大な計画を胸にジェファンが収監される西ソウル刑務所の医師(ドクター・プリズナー)の座を狙っていたのです。イジェは、服役中の財閥夫人ジョンヒがファンコニ貧血という病気だと嘘をつき、刑執行停止にして刑務所から出られるよう取り計らいます。その対価として、西ソウル刑務所の医療課長に推薦するよう頼むのです。
イジェ(ナムグン・ミン)は刑務所医療のソン課長の弱みを握り後任として刑務所医療課長の座に就きたいのです。その後、イジェは受刑者のサンチュンらと共謀しハウン病院から盗んだハウン病院の出資者名簿を利用してソン課長を脅すのです。ソン課長は名簿がイジェの手に渡ったと思い込み刑務所医療課長の座を退任することになります。ところが名簿がイジェのところにないことを知ったソン課長。二人の名簿を巡っての闘いは敵味方が分からないほど複雑になっていきます。ただ1つ言えることはソン課長には大勢の仲間という群れがありますが、イジェには群れも武器もないと言うことです。課長という役職を奪われたソン課長は猛烈な反発を見せ、「これから群れの力や怖さを思い知らせてやる」とイジェを陥れるべく行動に次々と動き出します。悪のソン課長は医者一族の出身ですが、1度重大な医療ミスを犯した過去がありますが政治家や財閥の囚人たちと裏取引をして刑務所内で絶大な権力を握る人物です。そして3年前イジェはソン課長が作成させた虚偽の診断書の責任を負わされ医業停止になったことを知り、ソン課長はイジェの狙いがテガングループ常務のジェファンではなく、自分だということを知り今度は息の根を止めてやるのが礼儀だなと一層激しい攻撃に出ます。
そんな中、二人の加速する行為を影から見守る人物たちがいます。それはジェファンの義理の兄でテガングループ後継者の本部長ジェジュン(チェ・ウォニョン)で、次期会長の地位を固めつつ、継母のモ・イラと腹違いの弟ジェファンに復讐する機会を狙っています。また継母のモ・イラは愛人から後妻になり二人の子供をもうけますが、息子のジェファンを刑務所から出して後継者にするためにいろいろ企んでいます。モ・イラと娘のジェインは兄のジェファンを刑執行停止にするためにイジェに協力し手を組むことにします。
一方、精神科医のソグム(クォン・ナラ)は刑務所に収監された後に行方不明となった弟ハン・ビッを探すため、奉仕医師として西ソウル刑務所にやってきます。そこでイジェと弟ハン・ビッがかつて刑務所内で出会っていた過去を知ります。ソグムは弟と一緒だった服役囚ナム・ジュンギに面会し、弟とイジェはかつて同房におり、イジェが注射を打ったことで弟は病院に運ばれて失踪したのだと聞かされます。 ソグムはイジェが犯罪者の味方だったり、正義感の強い医者だったり善人なのか?悪人なのか?分からなくなり頭の中が混乱しています。
また、受刑者のサンチュンに裏切られたイジェでしたが、サンチュンが病気の子供に会いたいという願いを叶えてあげたお礼にハウン病院から持ち出した資料をイジェのパソコンに送るのです。イジェは今度、JH鉄鋼会長の息子キム・ソグの勾留の執行停止を任されることになり、望みどおりの診断書をモ・イラのテガン病院で発行してもらいます。その時の医師として精神科医のソグムを利用し成功しますが、ソグムは納得がいきません。イジェはウィルソン病による双極性障害と診断し、ソグの勾留の執行停止を進めるイジェにかつてソグをサイコパスと判定していたソグムは疑問を抱くのです。イジェは「俺は復讐のために全てを捨てた。君は弟を見つけるために何を手放した?それでも弟を見つけたいのか?」と真剣に伝えます。
また、テガングループ本部長ジェジュンはソグの診断に動員した医師たちの共通点が3年前にソン課長がチョン議員を陥れた時虚偽の診断書にサインをした医師たちだということを知り、モ・イラに協力を求めておいて以前から診断書を偽造し利用してきたのはソン課長だと暴く計画だったと知り、ナ・イジェは意外に危険な奴かもしれないと感じるのです。
そしてイジェの策略で中央地検のチョン検事は3年前から西ソウル刑務所で虚偽の診断書に関与していたのはナ・イジェではなく、ソン課長であるかのように探るように仕向けます。
更に刑務所の薬剤を転売し利益を得ていたソン課長は監察局に連行されますが転売の裏にはソン課長の一族が絡んでいて検察もソン課長に目をつけ動き出します。そして西ソウル刑務所ではイジェの医療課長任命式が行われます。特別棟VIPの把握を急ぐイジェですが、釈放されたソン課長がイジェの邪魔をしようと、あるVIPに接近し、そこでイジェの刑執行停止のやり方の秘密を知るのです。イジェは3年間で32人の刑執行停止を成功させ、2人しか死なせなかったという彼らを実験台にしていたとソン課長はチョン検事に告げます。 イジェに勝つための切り札を見つけたソン課長でしたが、死んだ2人はソン課長の一族のハウン病院の保険患者で保険金を半分病院が受けとる荒稼ぎをしていました。すべてイジェは知っていたことで、ソン課長とその一族が経営するハウン病院をつぶす復讐がどんどん進んでいきます。
チョン検事はソン課長とイジェのどちらを追及すべきか悩みますが、イジェに手を結ぼうと電話をかけます。ハウン病院は最大の医療保険詐欺でニュースになり捜査が始まります。
そんな時、ソグムに弟のハン・ビッから電話がかかってきます・・・
3年前、本部長のジェジュンが父親である会長を襲った現場を目撃していた弟のビッは、会長から自分に何かあった時は会長の株券をチョン・ミンジェ議員に渡し、決して本部長のジェジュンの手に渡してはいけないという指示を守り本部長のジェジュンの手から逃れるため姿を消していたのです。そのビッから連絡が入り、ソグムは会いに行きますが本部長のジェジュンとモ・イラたちが駆けつけ追走劇となり弟のビッは再び消えてしまいますが実はイジェがかくまっていたのです。とにかく弟のビッが持ち去った株券が誰の手に渡るかでテガングループの主が決まるので皆が彼を捜すわけです。その株券はチョン・ミンジェ議員がイジェの仲間の財閥夫人ジョンヒのところに送ってあります。ここが一番安全な場所なんでしょう!一方、逮捕されたソン課長はイジェにハウン病院をだまし取られます。そして本部長のジェジュンに助けを求めますが、北部刑務所から西ソウル刑務所に移送されるチョン・ミンジェ議員を始末するよう指示されます。
ソン課長はチョン・ミンジェ議員を殺そうと刑務所内の医療課に忍び込みますが、チョン・ミンジェ議員は既に死んでいて犯人として逮捕されます。イジェはチョン検事に黒幕がいることをほのめかして協力を求めるのです。そして、障がい者夫婦の事故もテガンケミカル労働者遺族の事故も、ビッを脅していた証拠もそろえ黒幕は本部長のジェジュンだったとチョン検事に告発状を提出するイジェです。更に父親の株式を狙っていた本部長のジェジュンでしたが、株式は父のイ・ドクソンとチョン・ミンジェ議員の株式贈与契約書によって、ジェジュンが設立したナムチョン財団に、株の管理は二人が指定したハン・ビッが管理することになりました。ジェジュンは株を取り返す方法を考えます。イジェの敵が黒幕だった本部長のジェジュンに・・・
終盤、本部長のジェジュンとテガン病院センター長のミンソクは病床のイ・ドクソン会長の命を狙いますが、イジェが現れて間一髪で阻止します。ソン課長と手を組んだイジェは、ソン課長をテガン病院のVIPセンター長にするため、ライバルのセンター長ミンソクを持病のクローン病を利用し蹴落とそうと画策しますが、実はソン課長は裏でジェジュンとも取り引きをしていました。そしてついにセンター長選当日、ミンソクは倒れますが、その手術をイジェがすることになり、そのあいだにイ・ドクソン会長は殺されてしまいます。一方、西ソウル刑務所のコ・ヨンチョル医務官がチョン・ミンジェ議員殺害容疑で逮捕されますが、あくまで単独行動だと言い張ります。コ・ヨンチョルはやっと開業した自分の病院や家族を壊されたのがチョン・ミンジェ議員だと思っていました。
終盤、会長を殺されたモ・イラは息子のジェファンを刑務所から出してほしいとイジェに頼みますが、横紋筋融解症による急性腎不全でジェファンの刑を執行停止にしようと動き出します。本部長のジェジュンと通じるソン課長は手下のドンフンを医務官として西ソウル刑務所に送り込み、ジェファンの刑執行停止の工作を阻止しようとしますが失敗に終わりジェファンはついに腎不全となり病院に搬送されます。
その後、本部長のジェジュンは死んだ父ドクソンと同じ遺伝子疾患のハンチントン病を発病していたことが分かり、イジェはジェファンの刑執行停止にも同じハンチントン病を利用することを決めるのです。とうとう本部長のジェジュンを追い込むカードができたわけです。そして弟ジェファンの身体も同じハンチントン病がすでに発病していると本部長のジェジュンに思わせ、自分の病が明るみに出ることを恐れた本部長のジェジュンが、自ら義弟ジェファン殺害に動くことを狙った作戦を立てます。しかし、本部長のジェジュンも全て罠だと察知し、監視カメラを操作して弟ジェファンのリハビリ中を襲い注射を打ち危険な状態にします。
最終回、
本部長のジェジュンがリハビリ室でジェファンを襲う様子を全て盗聴し録音していたイジェはそのファイルを持って本部長室に乗り込みケタミンを注射しますが、自らもジェジュンにペーパーナイフで刺されてしまい大怪我をおいます。実は全てイジェの作戦どおりで待機していたソン課長が応急処置を施し、チョン検事ら検察が本部長のジェジュンを殺人未遂で現行犯逮捕します。
ソン課長も最後はイジェと手を組むなんて調子いいですね!本部長のジェジュンは西ソウル刑務所に収監され、イジェとの最後の闘いがはじまりますが、体調に異変がでているジェジュンは釈放になります。
その後テガン医療財団の次期理事長を選出する定期理事会が行われます。そこで弟ジェファンの殺害証拠の録音データが流され、脳死状態だと思っていたジェファンが現れます。そこでまた本部長のジェジュンは親族間殺人未遂で逮捕され西ソウル刑務所に収監されます。「死ぬまであんたをここから出さないのが俺の正義だ」と言うイジェ。
そしてテガングループの新会長にモ・イラが満場一致で選出されました。
収監されたジェジュンは自殺未遂を口実に刑務所から出ようとしますが、すでにイジェに計画を読まれています。ジェジュンが「もし私が病気で刑の執行停止を申し込めば、君は受け入る?」と質問するとイジェは「大人しくここで刑を受けるがいいだろう。あなたのような奴をそうさせるのが僕の正義だ」と厳しく非難します。
ジェジュンは「誰が勝とうと、正義は勝利する。私がどう勝利するか見せてあげる」ときっぱりと言い放つのです。宣戦布告を告げて余韻の残る意味深なラストで終わりました。