今、ボストンにいます。
昨日の長いフライトでようやくたどり着きました。
例年アメリカで夏を過ごしている私と息子ですが、今年は原発のこともあって早めに日本を出国。
到着してまず思ったことは、
「思いっきり外で深呼吸して、かつ運動できる」
「食べ物が(比較的)安心して食べられる」
3月11日まで当たり前だったことがこんなに解放感を感じることだったとは。
やはり今関東、東北地域というのは「非常時」なのだなあとあらためて実感しました。
そして、荷物をトランクから出して驚いたのが、全てのものがまるで濡れているかのように湿気を含んでいたこと。
出国した日は蒸し暑かったのですが、これほど酷いとは思いませんでした。
ここは今のところ朝晩寒く、昼はからりと暑い気候です。
さて、まさかこれを読んでいる方で、エリス中尉が去年の夏アメリカ滞在し、その往路、トランジットのワシントンD・Cダラス空港で乗り継ぎ便に乗り遅れえらい目にあった、という話を覚えておられる方はいないと思いますが、アメリカ国内の乗り継ぎをこの夏控えている方は、ぜひ参考になさってください。
去年、利用したユナイテッド便のダラス着が遅れ、ボストン行きの国内便に乗り遅れました。
今年のフライトを決めるとき、乗り継ぎ時間が1時間半とデスクの方がおっしゃるので
「それは少し心配ですね」
「しかし、この便の後は6時間後しかなくて」
「うーん・・・。去年のように遅れないことを祈るしかないですね」
などという、いかにもドラマ的には伏線としか思えない不吉な会話をしたのです。
今年はなぜか15分搭乗時間が早くなり、機内アナウンスでも
「10分早い到着になります」
ということだったので少し安心しつつ、それでも飛行機を真っ先に飛び降りて小走りで入国審査へ。
しかしそこでわたしの見たものは・・・・・・!
そう、入国審査ブース前に群れをなす
「どこの国やらわからん東欧系の便から降りたばかりの乗客の群れ」。
こ、この光景は・・・・・・・・!!!
そう、まさか覚えている方はおられますまいが、去年のトランジットで観た光景そのまま。
要するに、去年と全く同じフライトだったわけですね。
限りなく嫌な予感を覚えつつも、入国審査の後ああ行ってこう行って、と頭の中でイメージトレーニングをし、
できるだけその後の展開をスムーズにしようと心の準備をします。
山のような前フライト客がようやく捌けて審査ブースが近づいたとき、前にいたのは
「アラブ系の顔をして山のようにビザ書類を抱えた一人の男性」。
隣りは我々と同じくESTAで入国申請を済ませずみ、パスポートしか持っていない日本人。
ご存知でしょうか。
ESTA導入以降、我々日本人入国者は審査書類を書かなくてもよくなったのです。
今は一分を争う事態、我々は迷わずその後ろに列を変えました。
ご存知の方は多いと思いますが、国際的に我々日本人の信用度の高さは確固たるもので、
それを実感するのがこのようなときに審査官のかける時間の異常な少なさ。
あの「菊の御紋」を見せたとたん、さくさくと手続きを進めゲートを通してくれるのですから
(話好きの係官にあたったらその限りにあらず)まさに「日本人でよかった」と感じる瞬間です。
審査ブースを出たときはすでにゲートを降りてから一時間経過。
出発時間30分前。もう搭乗は始まっています。しかし、
「何とか間に合いそう!」
喜び勇んで税関を抜けようとしたそのとき、
女性の係官が呼びとめ、抜き打ち無作為で行う荷物審査を受けろというではありませんか。
ちょちょちょっと、私にはそんな時間ないんです。
これでも今ぎりぎりなんです。
「5時2分の便に乗らないといけないんですけど!」
必死に抵抗してみました。
しかし、御存じでしょうか。
こういうチンケな権力をかさにきた、大義名分によって自分の力を誇示する立場の人間が、
時としていかに意地悪で融通が効かないか。
日本にもいますよね。
駐車場の係なんかで、やたら意味も無くえらそうにしているおじさんが。
あるいは、少し前の羽田の国内線荷物検査の
「荷物はベルトの先で受け取ってください!」
とか叫んで手近の荷物を取ろうとしたらさっと取り上げてわざわざ遠くに置く係の女の子とかね。
あまりにクレーム続出だったようで、最近はしなくなりましたが。
アメリカでも、女性の係官はほとんどまず間違いなくこのタイプに属します。
案の定
「そんなことは我々には関係ありません」ときた。
「もし乗り遅れたらどうしてくれるんですか」
「次の便に乗ればよろしい」
よろしい、って次の便に乗れるかどうか、保証してくれるんですか。
カウンターにいるのもまた女性係官。ここでも
「乗り遅れたら(以下略)」
と言ってみました。
さすがに少しはすまぬと思ったのかどうか、書類を書くだけで免除してくれたものの、
その部屋の出口のデスクに座っていたのがまたも女性。
「タックスフォーム出して」
「さっきの人が持っています」
「そんなはずはない。それ出さなきゃ出れません」
(-_-メ)ムカ
そこにさっきのデスクの係員が
「ごめーん、返すの忘れてたー」とフォームを持って走ってきました。
・・・ざけんなよ。
さて、それからというもの、浮気がばれて殺そうとする奥さんから逃げるワンジルのような勢いで、
CゲートからDゲートまで全力疾走するエリス中尉と息子。
距離にして約一キロ。(アメリカの空港って、広いんです(T_T)
そしてD2ゲートに辿りついたそのとき目に映ったのはまさに今ドアを閉めようとする係員の姿。
「うぇーーーーーーーーーーいとぉっ!」
必死で叫ぶエリス中尉。
ぜいぜいと肩で息をしながら、こんなに全力疾走したのって一年ぶり(つまり去年のトランジット以来)かも、
と思い起こしつつ、震える手でチケットを見せました。
「ご安心ください、乗れますよ」
間にあった・・・・・・。
もう皆すでに席に着いており、当然のことのように我々の上部物入れには周りの客がトランクを入れていて、
ここで息子の2分の一チェロをどこに収納するかでFA総出の大騒ぎを演じてやっと席に着いた時には、
安堵と疲労感のためぐったりしていたわたしです。
というわけで、今年は何とかなったわけですが、何かとセキュリティが厳しくなっているその理由は、
ご存知のようにアメリカによるビンラディン殺害に関係しています。
アルカイダによる「アメリカへの報復テロ宣言」以降、
当然のこととして入国審査、手荷物検査、ゲートでの身体検査も大変厳重になっています。
セキュリティ強化は勿論、空港内の撮影は勿論、携帯電話の使用すら禁止されたそうです。
これは、もし乗り継ぎに遅れても、対処のためにどこかに電話することすらできない、ということです。
実は私はこのビンラディン殺害そのものが本当にあったことなのか疑っているのです。
そのうち何かしらの自演テロをやらかして、それを口実に「正義の戦争」を始めるための布石ではないかと勘ぐっているというくらい、アメリカという国を信用していません。
まあ、いずれそうなのかどうかわかるような事件が起こるのかもしれませんが、
とりあえず我々にとって当面の現実的な問題は、
アメリカ及びその同盟国訪問の際は時間を十分考慮しないといけない、ということ。
トランジットにかける時間は最低二時間半見ておいてもいいかと思いますのでご参考までに。