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キャッスル航空博物館~カワサキ・ドローンとドローン・パイロットの憂鬱

2013-12-12 | アメリカ

KAWASAKI KAQ-1 DORONE

このカワサキKAQ-1ドローンを検索すると、英語のウィキでも
この、キャッスル航空博物館の映像しか出てきません。

もしかしたら、これが世界でただ一つ残ったカワサキ・ドローンでしょうか。

だとしたら、非常に貴重なものを実際に見たことになります。

ドローン、という言葉を今まで聞いたことがない、という方も、
「無人機」という言葉は、防空識別圏の一件以前にニュースで頻繁にお聞きになったでしょう。

何ヶ月も前のことになりますが、国籍不明の機体が尖閣諸島上空での領空接近を行いました。
空自の戦闘機がスクランブルをかけたところ、確認されたのは無人機。
後日、中国国防部の無人機であることが判明したものです。


それを受けて、防衛省は無人機が日本の領空侵犯をした際には撃墜すると発表。
とたんに、黙っていればいいものを中国国防部、防衛省に対し

「憶測が前提であり、意図的に挑発することが目的でアル」

と反発してしまいました。

憶測ってことは、中国は「領空侵犯してない」って言いたいわけですか?
だったら何もそこまで怖がらなくてもいいはずなんですけどね。


さらに語るに落ちて中国さんたら、

「日本が中国軍の無人機を撃墜すれば、戦闘行動とみなす」

あくまでも訓練活動というなら、領空侵犯しなきゃいいんじゃないかな。
安倍政権はそれに対し、

「脅しには屈しない」

と、毅然とした対応をすることを表明しましたが、当時はさすがの左巻きメディアも
「国籍不明の領空侵犯機撃墜」を批難することは、語るに落ちた中国の矛盾を
さらに肯定するに過ぎないと珍しく悟ったのか、これに関しては沈黙していましたね。

その後、国内で何が起こったのか、防空識別圏のいきなりの設定で
中国はアメリカ始め世界を敵に回して自爆してしまいましたが、
今にして思えばこの無人機問題あたりから、すでに中国内部では意見が分裂しており、
伝統の内輪もめもあって、今回最悪の選択へところがり落ちていったのではなかったでしょうか。


永世中立国のスイスは、第二次世界大戦中、領空侵犯する航空機を全て撃墜しました。
ときには連合軍戦闘機との空戦も行ったわけですが、
つまり何人たりとも我が国の領空に入ることは許さん、という原則を貫いたわけです。

海保の巡視船に体当たりした中国船の船長を、司法介入して釈放させたり、
「中国船に15カイリ以内には近づくな」と自衛隊に指令を出したり、
さらに尖閣領海に入ることを禁じたり、(自衛隊にですよ)スクランブルを自粛するように
要請したりするようなどこぞの人治政権とは違い、これが本当の国防です。

日本から民主党という人治政権が去り、
ようやく法原則に則って防衛権を行使する当たり前の状態に戻った途端、
中国がこのたびのように攻撃を始めた、というのは、いかに前政権の「配慮」があったか、
ということの証明となっているような気がいたします。

もちろんこういう前政権が秘匿して来たことについてマスコミはだんまりを決め込み、
今回成立した「スパイ締め出し法案」たる特別秘密保護法案では、

「今世の中では『ひみつのアッコちゃん』をもじって、
『ひみつのあべちゃん」という歌が口ずさまれている」

などという、反吐が出そうなでっち上げまでして、
何とか『独裁安倍』を印象づけようと必死です。

昔「わたしアベしちゃおかな」というでっち上げを流行らせるのに失敗し、
良識あるネット閲覧者の白眼視を浴びたと言うのに全く懲りておりません。
安定のアサヒは

「法案に反対なら記事にするからインタビューさせろ」

と東国原議員に申し入れたところ、それをツィッターで暴露されていましたしね。
全くマスゴミは、

恥を知りなさい。(三原じゅん子議員の声で)


さて、今日は無人機についてのお話です。

このカワサキKAQ-1ドローンは1950年代に生産開始ししました。
無線でコントロールする微塵機で、打ち上げられた後はパラシュートで降下してきます。

おもに対空砲や、空対空ミサイル(air-to-air-missle、AAM)の標的、
または偵察機などとしても使用されました。

ミサイルの標的なのですから、いくらパラシュートで降りてくるといっても、
使用後は必ず修理しなければリサイクルできません。
それに、クリーンヒットしてしまったら、回収しようがないですよね。

この現物が今現在、たった一機ここにあるだけなのも、ほとんどは
標的として消耗されてしまったからではないかと思われます。


ところで、このドローンは、アメリカ軍と自衛隊で使用されていました。
カワサキ製ですが、研究開発は防衛省です。

防衛省の公報に、「防衛省航空装備研究所」のHPがあります。

このHPの26ページを見ていただければ、1950年代から始まった
無人機の開発の歴史がまとめられています。

一番左端が、このターゲットドローン。

後は年代を追って、

VTOL(垂直離陸)の無人機、

遠隔操縦観測機、

高高度対空型無人機など。

今のところ最新式のドローンは、携帯型のものみたいですね。


確かに、無人機というのはパイロットがいないため、特に

領空を侵犯してでも適地を偵察したい

というような目的にはもってこいです。
人間が乗っていないのですから、たとえ捕獲されても、
どこの国のものか証拠は無し。
また、昔のように「標的機を間違って撃墜してしまう」
という、うっかりさんが起こす人的被害も避けられます。

もちろん、わが防衛省でも無人機をそういう位置づけて開発しているわけですが、
武器兵器では常に世界の先端を行くアメリカでは、
とっくの昔にドローンによる戦闘、つまり殺傷が行われているわけです。

この記事をご覧ください。

The Woes of an American Drone Operator


アメリカ軍ドローン・オペレーターの不幸、とでも訳しておきましょうか。

クラスでも最優秀で卒業した成功者は、ニューメキシコにある空軍基地の
「ドローンパイロット」とよばれる特殊部隊の任務に就く。
そして、何ダースもの人間を殺すのだ。
しかし、彼はある日突然、それを行うことができなくなる。


もう5年以上、ブランドン・ブライアントは、摂氏17度に空調された
トレーラーくらいの大きさの楕円形の窓のない部屋で働いている。
彼と同僚は、14のモニターとキーボードの並ぶ前に座る。
ニューメキシコの彼がボタンを押した瞬間、地球の裏側で誰かが死ぬ。


コンテナにぎっしりと満載したコンピュータは空軍用語でいうと
「ドローンの脳」だ。
ドローンのパイロットは空を飛ばない。座っているだけだ。

アフガニスタンの空を、8の字を描いて1000キロの高度で飛ぶ
「プレデター・ドローン」のことを覚えているのはブライアンだけではない。
彼の記憶によると、そこには土でできた平たい屋根の家、
山羊のための囲いが斜線のなかに見えた。
「撃て」の命令があり、彼は左手でその屋根を目標にレーザーを放つ。
彼の隣に座っているパイロットはヘルファイアー・ミサイル搭載のドローンを起動し、
その操作レバーに付いたトリガーを押した。

インパクトまで16秒だった。

スローモーションのようだったよ」

彼は言う。
ドローンに取り付けたカメラが人工衛星を通じて2~5秒遅れで
彼のモニターに映像を送ってきた。
7秒が過ぎたとき、地面には誰もいなかった。
そのときにはブライアンはすでに次のミサイルを発射していた。
それは三秒後に落ち、ブライアンは、あたかもモニターの画素が
一つ一つ数えられるかに感じられた。

そのとき急に、子供が角を曲がってきたんだ、と彼は言う。

彼の行った二回目の照準は、バグランとマザリシャリフ村の間で、彼の
「電脳世界」と現実が衝突した瞬間だった。
ブライアンは画面に閃光を見た。爆発だ。建物の一部が崩壊した。

子供は消えていた。

ブライアンは胃に悪寒のようなものを感じた。

「今殺したのは・・・・・・子供だよな」

隣に座っている男に尋ねた。

ああ、子供だったと思う」

パイロットは答えた。

それは子供だったか」

彼らはこうモニターのチャットウインドウに書き込んでいる。
そのとき、彼らが全く知らない誰かが、この世界のどこかの軍司令部で、
彼らの攻撃を座って監視していた。
そしてその人物はこう書いてよこした。

「違う。それは犬である」

彼らはビデオでそのシーンを見直した。

「二本脚なのに?」


このストーリーでインタビューを受けたブランドンは、ある日、
仕事の後に大量の血を吐き、ドクターストップを命じられます。
しかし療養生活から彼が仕事に復活することはありませんでした。
医師の判断は post-traumatic stress disorder
PTSDつまり心的障害です。

彼が空軍をやめることになった理由は、ある一日の出来事にありました。
いつものようにコクピットに入っていった彼に、同僚がこういったのです、

「おい、今日はどの間抜け野郎(Mother fucker)が死ぬんだろうな」

ドレスデンや東京爆撃のパイロットも、広島と長崎に原子爆弾を落としたパイロットも、
その被害を、つまり自分の手で殺した人間をその時は見ずに済みました。

しかし、動かぬ証拠としての被害を目にする頃には、その行為は

「自国を護るために行った英雄的な行為である」

という理由によって正当化され、それを以て彼らは心的外傷から自分を護ろうとしました。

ポール・ティベッツは「軍人だから同じことを命じられればもう一度やる」
と公言しましたが、それはそんなことには決してならないからこそ言ったにすぎません。

この言葉は彼が

「何十万人もの無辜の人間を殺戮した」

という事実から目をそむけ、彼自身の精神を防御しようとするシールドのようなもので、
それは、彼が生涯広島に訪れることは無かった、ということが証明していると思います。

いかに公言しようとも、ポール・ティベッツは、きっと、
一晩ならず苦悶に眠れない夜を過ごしたはずなのです。

まともな、善良な一人の人間である限り。


あるいは、自分が殺している人間を「ろくでもないマザーファッカー」や「人間以下のジャップ」
「殲滅するべき下等なユダヤ人」、そのように思うことによって
良心の呵責と「自分がろくでもない殺人者だ思うこと」から身を守ろうとする。


ブランドンのように精神をやられなかった者は、おおよそこのように思うことで
自我の崩壊から身を守ろうとするするもので、程度とやり方の違いこそあれ
これはすべての人間に備わっている自己防衛の本能というものではないでしょうか。


無人機による殺戮は、「殺人者が誰であるか」をあいまいにするどころか、
逆に自分の行っている殺戮を、全く安全なところでコーヒーを飲みながら仔細に眺めることになり、
そのため、昔の爆撃などとは桁違いの精神的打撃をパイロットに与えることになりました。

パイロットたちの精神的「敗退」がもっと大掛かりになってくると、
アメリカという国はそのうち「攻撃の意思決定」さえ、コンピュータにやらせようとするかもしれません。


そして、いつの間にかそのコンピュータたちは意志を持ち、
ある日人工知能を持つ存在が人間に造反し、
「ターミネート」(終結)させんと・・・・。




・・・・・あれ?

どこかで聞いたなこの話。