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朝霞駐屯地訪問記~地下指揮所

2014-07-19 | 博物館・資料館・テーマパーク

ヘリのシミュレータを体験し、そのAHコブラの実機を見学したわたしたち。
次にK1佐が提案して下さったのは3Dシアター。
3D眼鏡をかけて、10分前後の映像を鑑賞できるコーナーです。

「何がいいですか」

差し出されたのはいくつかのタイトルが書かれたメニュー。
おお、好きなタイトルを選ばせて下さるのですね。

「えー、じゃこの『精強無比』を」

操作してくれる自衛官(というかずっと同じ人)は、

他の人に声をかけてきます」

といって、二組の見学者を連れて戻ってきました。
そして上映開始。

見終わって、その映像が、第一空挺団の降下始めのとき、
会場にある大きなスクリーンで開始までの間流されていた

「強くなければ 自衛隊ではない」
「優しくなければ 自衛隊ではない」
「賢くなければ 自衛隊ではない」

というモットーを元に(シャレ?)制作されたのと
同じ作品であることに気がつきました。

K1佐も付き合い良くならんで一緒に観ておられたわけですが、
わたしでも何回目かなのだから、自衛官はおそらく何百回も?観ているでしょう。
「広報」もまた自衛官の重要な任務の一つとはいえ、ご苦労様なことです。 
 



ヘリの横のガラスケースにミリめしが展示してありました。

豚角煮、生姜焼き、鴨肉じゃが、かつおカレー煮、野菜麻婆、さんま蒲焼き。 

いろいろメニューが書かれていますが、どれもこれもパックのままで
これじゃ展示する意味がほとんどないのではないかと・・。
(この写真もこんなに大きくする必要もないですね)

余裕があればロウで見本を作ったりするのでしょうが、
さすがにそれもならず、字の横に写真があって辛うじて
その実態がわかるという状態。 



一つだけアップにしてみました。
ん?

なんだこのお弁当は。

おかずは野菜麻婆と・・・・ドライカレー?

ドライカレーっておかずなんですか?
ドライカレーで白飯食べるんですか?

わざわざ「戦闘糧食」となっているからには、これは自衛隊の活動を
熟知した自衛隊の栄養士が考案したメニューだと思うのですが、
これはあまりにも炭水化物多くないか?


食べてから即体を激しく動かし、エネルギーとして燃える
炭水化物を多く取る、というのが目的だとはわかりますが、
これは、それ以前のメニューとしてどうなのよ、と・・。

でも、驚いてよくよく観ると(笑)、他のメニューも
たとえば鴨肉じゃがでもなんでも、「白飯2個」が基準だし、
「肉団子」は白飯と「焼き飯」のダブルコンボ。
これはどうも、ご飯は二人前、というのが基準だと見た。
糧食だけに生野菜系が食べられないのは当然としても、
こういうのが戦闘糧食の基本形なのね。

せめて白米ではなく玄米だったらビタミンも豊富なんだけどなあ・・。


ところで、この「味ご飯をおかずに白飯を食べる」というノリで、
昔は赤飯も「おかず」としてこの戦闘糧食に採用されていたのですが、
被災地等では被災者に遠慮して赤飯を食べなかった、というニュースがありましたね。
そのことを何気なくK1佐に言ったところ、

「そう、そうなんですよ。
そういう事態が予想されるので、糧食から赤飯は廃止されました」

とおっしゃるではないですか。
わたしはなぜ糧食に赤飯がついているのか、まずそれが不思議だったのですが、
実はこの赤飯は、今知ったところによると「おかず」だったのです。
炭水化物大量摂取を目的とした、「エキストラご飯」としての赤飯だったと。

「被災者のいるところで赤飯は食べられない」

これも実に日本人的な自粛の仕方だという気がしますが、
その前提にはこのミリめしのメニューの特異さがあったのです。

なるほど・・・・。


しかし、前回(お洗濯の匂い付き迷彩服)に続き、この件にも
実に自衛隊らしい「気配り」を感じます。
世界にこれほど国民の公僕としての意識が徹底した軍隊が

他にあるのでしょうか。





などと、主婦らしいお節介なことを考えつつ館内を見回すと、

ひっそりと偵察機がとまっているのが見えました。

丸いシェイプがちょっと可愛らしくて萌えるわけですが、

この偵察機を見たときに、世間話として

「そういえば北朝鮮から偵察機が飛んできて韓国側に落ちたそうですね」

と(どんな世間話だよ)いうと、K1佐と広報館の係の自衛官が

「あれとは違います」
「これは偵察機と言っても着弾観測用で」

と同時に否定に入ったので少しおかしかったです。
なんだか、2人ともが

「いや、北朝鮮と同じにしないでくださいよ」

と言いたげな口調だったので・・・。


ちなみに、この偵察機は可視・赤外線カメラを搭載し、
地上とデータ送受信ができ、車載のためのトラックなど、
計6台の車両が運用に必要です。

因みに、韓国に墜落した北朝鮮からの無人機は、
カメラ等を韓国の通りがかりの人がネコババして、
データを上書きしてしまったため、情報は確認できませんでしたが(笑)
もし万が一、そのような状況になったときにはこの無人偵察機、
自動的に爆発し消滅するようになっています。

2人の自衛官が言下に「違う」といったわけがわかりますね。

違うかな。




天井には開いた状態の落下傘が。

こうして室内で見るとすごい大きさに見えます。

後から気づいたのですが、この広報館、二階もあって、

二階には陸上自衛隊の歴史に付いての資料があったようです。

もしかしたら来たばかりのK1佐はご存じなかったのかもしれません。



室内を一通り見終わってから、外に出ることにしました。

ここでなぜか、

「制服は館内のみの着用となりますので、脱いで返却して下さい」

うーむ・・・・なぜだ。
この庭のような部分も館内なのではないのか。

1、外は係員の目が届かないので、こっそり鞄に入れて持ち帰る輩がいるから

2、柵の外から見えるので、一般人の公道での制服着用禁止の規則に反する

3、雨が降ったりしていた場合汚れるから

4、戦車の前で撮られた一般人の制服姿の写真が出回るとまずいから


たぶん、そのわけはこの中のどれかだと思います。


というわけで、制服を係の隊員にお返しし、まずは


「地下指揮所」

を見学することになりました。




地下指揮所というのは、戦地に臨時に作られる司令部の基地です。

小さいときに裏山で「基地ごっこ」をした覚えのある男子には
もうこれだけで心がワクワクしてくるのを止められないでしょう。(煽り)

K1佐が説明していますが、この壁の部分は土嚢を積んで作られています。
敵の砲弾が飛んできても指揮所だけは被害を受けないように、
かまぼこ型のドームを据え、その上に土嚢をこのように積んで緩衝剤とするのです。

「これを作るのが・・・・大変なんですよ」

お、なんだか真に迫った声音。
さてはK1佐、これを作って酷い目にあったことがおありですね?




お邪魔しまーす。


中に入っていくと、迷彩服の幹部がヘルメットや防弾装備着用でおられます。
後ろのボードには

任務

侵攻する敵を4月6日まで
A山~B山以北に阻止

地位

師団から先遣され独立的に行動する
増強普通科連隊

役割

師団のC平地への進出を擁護

と書いてあります。 



何かこういう電話、旧軍の映画でも出てきた覚えが・・・。

携帯電話1号、だそうです。
今時、なんで普通の携帯を使わないのかと思ったら、
どうやら電話はいくらでも盗聴が可能なのだそうですね。
おそらくですが、この電話は盗聴されにくいシステムなのでしょう。

ちなみに陸自の使用する無線は全て暗号化されています。



先日シリーズでお伝えした「空挺レンジャー」の反省会でも、

このような地形を模した作戦盤が登場しましたが、
こういう場合は砂で地形を作るようです。

これを「砂盤」といい、こういった指揮所で簡易に作れます。



お好きな方向けに兵棋判例をアップで。
海上自衛隊の兵棋もぜひ見てみたい・・・。



指揮所に予定表が!

敵がどう出て来るかわからないのにどうやって予定が立てられるのか、
と思ったら、そういう予定じゃなくて単なる戦闘訓練の予定表でした。

なーんだ。

しかしこれ、どのように陸自が戦闘訓練を行うのかよくわかります。


まず1日目、

作戦会議・幕僚会議・火力調整会議

2日目、戦闘陣地構築 障害構成 として

0500 戦闘予行(偵察警戒部隊)

0800 連隊長現場指導(第一線地域)

1300 連隊長現場指導(後方地域)

1900~2400 幕僚・作戦・火力調整会議

3日目、

戦闘陣地構築・後方陣地構築など。


ふーむ、陸自ではこうやって演習場での戦闘訓練を進めるわけですね。

装備や観閲式だけでは決して一般人には目にすることもない
このような活動内容の片鱗を見ることができるこの広報館、
本当に良く考えられた、レンホー的にいうところの「努力」が
隅々まで行き渡った素晴らしい内容だと思います。

何度も何度もいわせてもらうけど、全く何を見ていたんだあの議員は・・。
つくづく、あの仕分けは最初から結論ありきで、

「広報館を実際に見てどうするか決める」

なんてのはしょせんポーズに過ぎなかったってことがよくわかります(呆)


ところで、調べるために広報館のHPを見たところ、この広報館には
「90式戦車触り放題!」としてコブラの横に本物の90式が展示してある、
となっているのですが、わたしにはここでそんなものを見た
覚えがないのです。

戦車が室内にあれば当然K1佐も説明してくれるでしょうし、

見逃したとも思えないのですが・・・。

そう思って、もう一回念のために写真を点検してみたところ、



ありました!



・・・・・ってこれじゃないだろこれじゃ。



続く。