バッファローネイバルパークに展示されている、
USS「リトルロック」内の海軍資料をご紹介しています。
USS「リトルロック」内の海軍資料をご紹介しています。
ここで、シリーズ最初に一度紹介している、
「ブルーノーズ勲章
The Order of The Blue Nose」
の正式な認定書らしいものがまたしても登場しました。
ただし、こちらは1962年に北極圏通過したことを示すもので、
「リトルロック」にとっては2度目のブルーノーズオーダーとなります。
繰り返しになりますがもう一度説明すると、ブルーノーズオーダーは、
北極圏を本艦が通過したことを証明する公式の証明書です。
北極圏を本艦が通過したことを証明する公式の証明書です。
「リトルロック」艦首のリーダーは、ブルーノーズ受賞艦として、
このように青くペイントされていることも以前お話ししましたね。
これは艦「リトルロック」に対して与えられたものですが、
その時その時に勤務していた乗組員全員にも、この証明として
「ブルーノーズカード」は与えられました。
このように青くペイントされていることも以前お話ししましたね。
これは艦「リトルロック」に対して与えられたものですが、
その時その時に勤務していた乗組員全員にも、この証明として
「ブルーノーズカード」は与えられました。
CL92(軽巡洋艦)だった頃の1946年のブルーノーズメンバーシップ。
持ち主のジェームズ・ホールはRDM3つまり3等レーダーマン、
レイティングで言うとE-4となります。
これを認定する士官は当時の「リトルロック」艦長です。
CLG(ミサイル巡洋艦)となった「リトルロック」が、
1965年9月29日に北極圏に達したとき乗務していた
R・W・ピーターソンに対して与えられたブルーノーズ証明書です。
この証明書は、
Boreas Rex
Ruler of the North Wind
1965年9月29日に北極圏に達したとき乗務していた
R・W・ピーターソンに対して与えられたブルーノーズ証明書です。
この証明書は、
Boreas Rex
Ruler of the North Wind
から送られたということになっています。
ボレアス王は強大な北風の王として、彼の兄弟たちに、
タイタンに北風を、
エウロスに東風を、
ゼピュロスに西風を、
ノトスに南風を、
それぞれ恒久的に繰る権力を与えました。
ボレアス王は強大な北風の王として、彼の兄弟たちに、
タイタンに北風を、
エウロスに東風を、
ゼピュロスに西風を、
ノトスに南風を、
それぞれ恒久的に繰る権力を与えました。
彼はノースポール(北極)を支配しており、故に、
ここに到達した人間にもその証明を与える権限を持っているのです。
3回目となる1972年、北極到達で発行された証明書は、
C・H・ケンジンガー 三等兵曹
Petty Officer Third Class (PO3)
が取得した北極点到達の証です。
C・H・ケンジンガー 三等兵曹
Petty Officer Third Class (PO3)
が取得した北極点到達の証です。
これによって、すべての男性に、そして、
すべてのセイウチ、ハスキー、キツネ、オオカミ、ホッキョクグマ、
クジラ、テン、トナカイ、カリブー、そして、
北極圏の凍てついた荒れ地に生息するそ
の他のすべての生き物たちに知らしめる
すべてのセイウチ、ハスキー、キツネ、オオカミ、ホッキョクグマ、
クジラ、テン、トナカイ、カリブー、そして、
北極圏の凍てついた荒れ地に生息するそ
の他のすべての生き物たちに知らしめる
PN-3C.H. Kensingerは、北極圏を横断することで
世界の頂点への入り口を開くことになろう
さらに理解されるべきである:
それは、USSリトルロック(CLG4)という良き船に乗り込み、
つらら、ブリザード、ウィリワウ Williwaw、
(=海岸沿いの山から海に向かって吹き降ろす突風、颪)
そして無数の雪片の土地に入った
1972年9月14日、北風の支配者であり、
凍てつく領域のすべてを統べるボレアス・レックスは、
この地を真の信頼できる氷と塩水のブルーノーズである
私の王家の領土であると宣言する
世界の頂点への入り口を開くことになろう
さらに理解されるべきである:
それは、USSリトルロック(CLG4)という良き船に乗り込み、
つらら、ブリザード、ウィリワウ Williwaw、
(=海岸沿いの山から海に向かって吹き降ろす突風、颪)
そして無数の雪片の土地に入った
1972年9月14日、北風の支配者であり、
凍てつく領域のすべてを統べるボレアス・レックスは、
この地を真の信頼できる氷と塩水のブルーノーズである
私の王家の領土であると宣言する
ここに宣言する
私に与えられた権限により、私はここに、我が臣民すべてに命ずる
彼がどこにいようとも、彼に敬意と尊厳を示すことを
この命令に背く者は、王家の不興を買うことを覚悟せよ
そして、左からボレアス・レックス、「リトルロック」艦長、
第二艦隊&北極打撃艦隊司令官のサインがあります。
第二艦隊&北極打撃艦隊司令官のサインがあります。
右上に描かれているのが、おそらくボレアス・レックスでしょう。
「リトルロック」はこうやって3回ブルーノーズの証明を得ましたが、
後になるほどその証明書の仕様が凝っていっています。
■ USS「リトルロック」の誕生
「リトルロック」はこうやって3回ブルーノーズの証明を得ましたが、
後になるほどその証明書の仕様が凝っていっています。
■ USS「リトルロック」の誕生
進水式から始まる「リトルロック」の写真が展示されているコーナーです。
「リトルロック」C L-92は、1942年3月6日、フィラデルフィアの
クランプ・シップビルディング・カンパニーで起工されました。
「リトルロック」C L-92は、1942年3月6日、フィラデルフィアの
クランプ・シップビルディング・カンパニーで起工されました。
この造船所で建造された他の艦としては「オクラホマシティ」があります。
進水式は1944年8月27日、リトルロック市会議員夫人、
ルース・ワッセルをスポンサーとして行われています。
進水式は1944年8月27日、リトルロック市会議員夫人、
ルース・ワッセルをスポンサーとして行われています。
1945年6月17日、ウィリアム・ミラー大佐(壇上)を艦長として
コミッショニング・セレモニー(就役)が行われました。
コミッショニング・セレモニー(就役)が行われました。
日本の降伏によって戦争が終結する二ヶ月までのことです。
「リトルロック」は習熟訓練の最中に終戦の知らせを受けました。
「リトルロック」は習熟訓練の最中に終戦の知らせを受けました。
就役式の招待状。
末尾のR.S.V.Pは、フランス語で「Repondez s'il vous plait.」の略で、
出欠に対して「ご返答お願いいたします」 という意味です。
1945年7月アンダーウェイに向かう「リトルロック」。
物資、弾薬、航空機、燃料が積まれているので喫水線が低くなっています。
1945年7月アンダーウェイに向かう「リトルロック」。
物資、弾薬、航空機、燃料が積まれているので喫水線が低くなっています。
1945年9月、艦尾側からの空撮。
■ 航海用ツール
■ 航海用ツール
実際に「リトルロック」で仕様されていた各種用具です。
立派な木製の持ち運び用取手付き六分儀、セクスタント。
六分儀は天測をして天体と地平線の間の角度を測定することで
航海の際現在位置を知ることができるツールです。
六分儀は天測をして天体と地平線の間の角度を測定することで
航海の際現在位置を知ることができるツールです。
なぜ「六分」なのかというと、枠の角度が60度だからで、
歴史上、同様のツールとしては八分儀というのも存在しました。
こちらは、測定できる角度が小さいため、廃れて六分儀に移行しました。
この六分儀は、1946年から1949年まで「リトルロック」勤務であった、
Allan Yoder FC2/C
歴史上、同様のツールとしては八分儀というのも存在しました。
こちらは、測定できる角度が小さいため、廃れて六分儀に移行しました。
この六分儀は、1946年から1949年まで「リトルロック」勤務であった、
Allan Yoder FC2/C
が寄付をした、と書かれています。
名前の後のFC2は、
名前の後のFC2は、
Fire Controlman Petty Officer 2nd class
であり、/の後のCは「カーペンター」であるらしいので、
彼は消防とビルダーのレイティングを持つ下士官ということになりますが、
六分儀のケースには、
Capt. Allan L. Yoder
USCG
と記されていて、この人、沿岸警備隊にいたの?
しかもキャプテンとは?と色々謎です。
珍しい苗字なので検索したら、お葬式の通知などと共に、2007年、
「リトルロック」のオーラルヒストリーのページが見つかりました。
それによると、ヨーダー氏は高校卒業後海軍に新兵として入隊し、
最初に赴任したのが「リトルロック」で、海軍にいたのは3年。
そのあいだ操舵手を務めていたということです。(本人談)
沿岸警備隊のキャプテン、というのは、退役後に取った多くの
船舶関係の資格の中に、「沿岸警備隊の船長資格」があったという意味です。
退役後には海洋関係の調査がありましたが、
そのとき手がけた多くの機密プロジェクトには、
当時極秘扱いだったトム・クランシーの小説
『レッドオクトーバーを追え!』のネタになったものもあるそうです。
彼は消防とビルダーのレイティングを持つ下士官ということになりますが、
六分儀のケースには、
Capt. Allan L. Yoder
USCG
と記されていて、この人、沿岸警備隊にいたの?
しかもキャプテンとは?と色々謎です。
珍しい苗字なので検索したら、お葬式の通知などと共に、2007年、
「リトルロック」のオーラルヒストリーのページが見つかりました。
それによると、ヨーダー氏は高校卒業後海軍に新兵として入隊し、
最初に赴任したのが「リトルロック」で、海軍にいたのは3年。
そのあいだ操舵手を務めていたということです。(本人談)
沿岸警備隊のキャプテン、というのは、退役後に取った多くの
船舶関係の資格の中に、「沿岸警備隊の船長資格」があったという意味です。
退役後には海洋関係の調査がありましたが、
そのとき手がけた多くの機密プロジェクトには、
当時極秘扱いだったトム・クランシーの小説
『レッドオクトーバーを追え!』のネタになったものもあるそうです。
それってかなり自慢できないか?
こちらもヨーダー氏寄贈によるシップマスター クロノメーター。
一般的にはマリン・クロノメーターといい、
天体航法によって船舶の位置を決定するための使用される精密時計です。
天体航法によって船舶の位置を決定するための使用される精密時計です。
かつては、船舶用クロノメーターは人類史上最も正確な
携帯型機械式時計として、海洋国家はその開発に多額の投資を行いましたが、
1990年代に衛星航法システム(GNSS)が登場しました。
携帯型機械式時計として、海洋国家はその開発に多額の投資を行いましたが、
1990年代に衛星航法システム(GNSS)が登場しました。
しかし、現代でも航海士には従来の天体航法に熟練していることが求められ、
現場でも、使いうる様々な方法を組み合わせて航法を行います。
最先端の方法で行えば、六分儀での天測をわずか数分に短縮できますが、
故障する可能性のある電子システムだけに頼らずに、
複数の独立した位置測定方法を知っていることによって、
航海士は最悪の事態が起こってもそれを回避することができるのです。
最先端の方法で行えば、六分儀での天測をわずか数分に短縮できますが、
故障する可能性のある電子システムだけに頼らずに、
複数の独立した位置測定方法を知っていることによって、
航海士は最悪の事態が起こってもそれを回避することができるのです。
展示物の中に「私はなんでしょう」というクイズがありました。
質問しておいて、どこにも答えがないんだなこれが。
というわけで、これはなんでしょうか。
お札を挟むクリップ?
(その心は、乗員は財布を持てないから)
質問しておいて、どこにも答えがないんだなこれが。
というわけで、これはなんでしょうか。
お札を挟むクリップ?
(その心は、乗員は財布を持てないから)
私はなんでしょうシリーズその2。
うーん・・・全く想像すらつかん。
何かと何かを連結するものであるらしいけど・・・。
うーん・・・全く想像すらつかん。
何かと何かを連結するものであるらしいけど・・・。
「リトルロック」で実際に仕様されていた舵輪です。
「スタンダードイシュー」(標準)舵輪はパイロットハウスに装備されます。
どの装備が搭載され、使用されるかについては、
指揮官が最終決定権を持っており、一部の艦船では「伝統的な操舵輪」
(ここに展示されているもの)が選ばれましたが、
もちろんそうでない艦船もあったということです。
いずれにしても、展示されている舵輪は、風と帆だけで船が推進されていた
海軍の過去から受け継がれてきた遺産の象徴でもあります。
指揮官が最終決定権を持っており、一部の艦船では「伝統的な操舵輪」
(ここに展示されているもの)が選ばれましたが、
もちろんそうでない艦船もあったということです。
いずれにしても、展示されている舵輪は、風と帆だけで船が推進されていた
海軍の過去から受け継がれてきた遺産の象徴でもあります。
ところで、この説明を読んで、一部の艦長が選んだ「伝統的」でない舵輪とは
どんなものだったのか、気になって調べてみたのですが、
どんなものだったのか、気になって調べてみたのですが、
まさかこれのこと?
もう一つついでに、wikiにあった舵輪の動力伝達の仕組み。
ところで、舵輪の右下に日本の無条件降伏の調印式が「ミズーリ」で行われ、
ちょうどマッカーサーの前で重光葵がサインをしている写真がありますね。
(画面右にいるのは外相秘書だったオノヨーコのおじ加瀬俊一)
ちょうどマッカーサーの前で重光葵がサインをしている写真がありますね。
(画面右にいるのは外相秘書だったオノヨーコのおじ加瀬俊一)
写真に添えられた説明は、
1948年9月2日、
東京湾の戦闘艦USSミズーリ(BB-63)に乗船した大日本帝国代表団が、
連合国代表の面前で降伏文書に署名。
ダグラス・マッカーサー陸軍元帥の
「これらの手続きは終了した 」という言葉とともに、
第二次世界大戦はついに正式に終結した。
その通りなんですが、そもそもこれここにある意味が全くわかりません。
展示と展示の間に、実際の鑑の装備が現れました。
コントロールステーションとあります。
左下はバルブの操作方法ですが、三つのバルブに書かれた文字が、
F.M.CROSS
CONN. OUT-OUT
コントロールステーションとあります。
左下はバルブの操作方法ですが、三つのバルブに書かれた文字が、
F.M.CROSS
CONN. OUT-OUT
F.M.
OUT-OUT
OUT-OUT
FS 78
SUCTION
となっていて、おそらくこれはどこに通じているかを表します。
真ん中の説明から、これらが燃料関係のバルブであり、
燃料は常に総量を監視され適切が保たれていたことがわかります。
SUCTION
となっていて、おそらくこれはどこに通じているかを表します。
真ん中の説明から、これらが燃料関係のバルブであり、
燃料は常に総量を監視され適切が保たれていたことがわかります。
燃料消費ログ
このフォームは、USS「リトルロック」(CL-92)の
各燃料タンクに搭載された燃料の総量を追跡するために使用されました。
各燃料タンクに搭載された燃料の総量を追跡するために使用されました。
これは船の運航にとって非常に重要であり、蒸気船としての目的だけでなく、
船を水平に保つ「トリミング」のためにも必要でした。
燃料レベルが適切に維持されていることを確認するため、
1日中定期的に燃料レベルの測定が行われました。
また、船内の燃料総量は70万ガロンを超えていました。
「リトルロック」のヒストリーをたどる展示、もう少し続きます。
続く。