ネイビーブルーに恋をして

バーキン片手に靖國神社

映画「ザ・ダイバー」Men of Honor 後編

2025-02-01 | 映画
実在したアフリカ系の海軍ダイバー、
カール・ブラシア上級曹長(最終)の伝記映画、
「ザ・ダイバー(メン・オブ・オナー)」の続きです。

カール・ブラシア

ブラシアを演じたキューバ・グッディングJr.は、この翌年あの世紀の怪作、
「パール・ハーバー」に出演して、やはり実物のドリス・ミラー曹長を演じ、
「出演者の中で一番演技がまともだった」と言われることになります。

当作品でも2000年度の最優秀俳優賞にノミネートされましたが、
この頃は若かったのでまだそれほど有名ではなく、
だからこそロバート・デ・ニーロを無理やり投入したのでしょう。

大俳優の威光が生む一種のケミストリーが本作品を底上げした感はあります。

ただ、残念なことにデニーロの演じる架空の人物、サンデー曹長、
この人の「やりすぎ感」が何かと前面に出過ぎだと思いました。

最初は人種差別的嫌悪から黒人部下を排斥しようとした上官が、
途中からは自らを犠牲にしてまで積極的に彼を支えるというのは
映画にはありがちな展開なのですが、ありがちすぎて陳腐ですらあり、
この極端な行動を無理やりデニーロ一人に詰め込んだ結果、
彼の人物像は奇怪なものとなり(デニーロの演技はそれでもさすがですが)
よくわからないメンヘラ妻の存在とともに、本来称えられるべき
カール・ブラシアの実際の人生を霞ませることになっています。

蛇足ついでに、わたしが本作の演出で許せなかったのは、
ブラシアが潜水学校の宿舎に入ると、白人学生が全員バラックから出てゆき、
残ったのがウィスコンシン州出身の白人だったという設定でした。

ブラシアともう一人の学生が宿舎に二人きりになったというのは実話ですが、
一人残った学生は白人ではなく、ブラジル系でした。

ブラジル系も白人にとっては「カラード」です。
ブラシア以外に潜水学校にいたカラードを登場させると、
ブラシアの苦難が強調できないと考えた結果かもしれません。


奇怪な人物といえば、潜水学校の司令官である「ミスター・パピー」
というあだ名の大佐は、いわば「ブラシアの絶対的な敵」として登場します。

「ワシントンに行くはずが、ネジの緩んだスチュードベイカー
(アメリカの車)であることがバレてここに飛ばされた」


という噂のあるこの大佐、これがいつも司令塔の上から見張ってるんだよ。
なぜ「いつもか」というと、司令塔に住んでるから。

飼っている犬を部下に散歩させ、ロープをつけたバケツで上まで引き揚げる。
部屋では真っ赤なガウンを着込んで何故かクリスタルグラスを磨いている。

この、いろんな意味でやばい気しかしない老人が、サンデーを呼びつけ、

「自分がここにいる間は黒人のダイバーは出さん」

と念を押しました。



それを受けてサンデー曹長は、ブラシアに
明日の最終試験には司令の命令で合格できないから休めと言いにきます。

入所時、嫌がらせの貼り紙をしたのも実は彼でした。

怒ったブラシアは、あなたは過去の栄光にすがっているだけ、
と、思わずサンデーの痛いところを突いてしまい、
激昂したサンデーに、父からもらったラジオを叩き割られてしまいます。



翌日の試験は、水底にある部品を拾って鉄管を水中で組み立てるというもの。
空気は送られますが、水温は低く、過酷な環境です。



説明が終わった時、休めと言ったはずのブラシアが現れました。
登場シーンが何故かスローモーションです。

来てしまった者を参加させないわけにもいきません。



全員が同時に入水して試験が開始されました。

課題は、水中で部品を組み立て、できたらそれを引き揚げさせること。
受験者が水底で部品と探照灯を発見したら、
工具袋をリクエストし、桟橋から投下されることになっています。



ブラシアは一番に部品を見つけたと連絡してきましたが、
マスターチーフは、監視塔から司令が目配せしたのを見て、
ブラシアの工具袋をテンダーに切り裂かせ、一番最後に投下させました。

やっと受け取った工具袋から、工具はほとんど流出しています。
それに気づき絶望するブラシア。



1時間37分でロークが一番に組み立てを終わり訓練を完了、
程なく二人目、と次々に上がってきました。

しかしブラシアはこの時点でまだ工具をかき集めています。



4時間で終了した者は、寒さで顔色が変わり、肩で息をしています。
水の中は身を切られるような冷たさだと彼は報告します。



ブラシアが上がってこないまま、夜になってしまいました。



彼の同僚たちも桟橋に集まってきます。



そしてなぜかブラシアの妻まで・・。
この人が潜水学校内に入ってくるのはまず不可能なはずですが。
しかも、彼女は誰から聞いてこの事態を知ったの?



その頃、水中でブラシアはガタガタ震える手で組み立てを試みていました。
平常ならばすぐできることが、凍えていてうまくいきません。



その時司令塔のパピー(笑)から電話がかかってきました。

「奴が動きを止めるまで引き揚げるな」

それはつまり死ぬまで放置しろって意味でよろしいでしょうか。



マスターチーフは司令を無視して、もう諦めて上がってこいと説得します。
それに対するブラシアの返事は、

”My name is... Boatswain's Mate.. Second Class C, C, Carl Brasier.
I am a Navy diver. "

うーん、実に感動的なシーンだ。
感動的だが、なんだろうこの気恥ずかしさは。

この返事が正常な状態から発せられたのではないと判断したんでしょう。
ちらっと司令塔の上を見やったマスターチーフ・サンデーは、

「引き揚げろ」

この命令を受けて真っ先に駆け出したのは、あのローク兵曹でした。


「やめないとクビにするぞ!」

目を血走らせてそれを阻止しようとする司令。
(だから字幕、マスターチーフは特務曹長じゃないっつーの)

しかし誰一人としてこのおっさんの命令に耳を貸さず動き出しました。
いくら相手が黒人でも、さすがにこれはやりすぎってやつです。



ブラシアを引き上げようと皆が位置についたときです。
水中から組み立てられた管が上下られてきました。
ブラシアは課題を完成していたのです。



さっきまで自分を白い目で見ていたはずの同僚が、
引き揚げに手を差し伸べ、口々に声をかけてきます。

ロークによってヘルメットを外されたブラシアは、
ガチガチと音を立てて震えていました。

そのとき・・・。



「二等掌帆長カール・ブラシア、9時間31分、組み立て完了」



ブラシアは半年間の訓練過程を終了し、学校を卒業しました。
卒業の日、潜水学校に復帰したスノウヒルから、サンデーが司令に睨まれ、
降格させられて潜水学校を首になったことを聞かされます。



複雑な気持ちのブラシアが見つけたものは、
サンデーが激昂して叩きつけた父親のラジオ。
それはすっかり修復されて音も出るようになっていました。

そして、修復前は彫り込まれていた『ASNF』の文字の下に、新たに

「A SON NEVER FORGETS」(忘れられぬ息子)

という言葉が付け加えられていたのです。


そしてそれから何年か経ったあるニューイヤーズ・イブ。

ただでさえ年齢のわかりにくいアフリカ系で、さらに実際に若いキューバが
髭を蓄えただけなので最初は全く経年を感じませんが、実はこの間、
ブラシアはサルベージダイバーの試験に失敗して一度潜水資格を失い、
努力して再び二等潜水士の資格を取り直すという苦難を経ていました。

「ミスターネイビー」というあだ名で呼ばれていたブラシアは、
アイゼンハワー大統領のヨットの警護チームに参加、
戦艦「アリゾナ」の海中調査と遺骨の調査、記念碑の建造に携わり、
潜水脱出装置「スタンキーフード」の開発者スタインケ(Steinke)中尉の下で、
このフードを着用した初めてのダイバーにもなっています。

というわけで、この時点では妻から妊娠を告げられ、超ハッピー。



そして同日、こちらは海軍主催のニューイヤーズイブパーティ。



「ホイスト」の副長だったハンクス少佐が機嫌よくテーブルを囲んでいると、
後ろから無礼にも肩を突っつく下士官、サンデーの姿が。

「Auld Lang Syne and all.」

ご存知のように「オールド・ラング・サイン」は
(日本語では『蛍の光』)「久しき昔」という意味があります。

「全くお久しぶりね、ってやつですな」

って感じかな。

自分を降格させた少佐に嫌味を言い、美人の妻を見せびらかして悔しがらせ、
さてこれで気が済んだのかと思ったら、


次の瞬間ブチギレて相手に飛びかかりました。
まあ、酒癖悪いってやつですわ。

士官と下士官が同じ会場でパーティをしているという状況も不思議ですが、
(同じ艦でもない)降格された恨みで上官を殴る下士官って実在するのかな。

しかも彼は2回降格されていて、もし恨みを持つなら、ハンクスよりは
潜水学校教官をクビにした司令の方じゃないかと思うんですが。


彼は上官暴行罪で二等曹長に降格、半年の減給と2ヶ月の謹慎に処されます。
なんと、三度目の降格なのにまだアウトじゃないんだ・・。

と思ったら、更なる衝撃が。



ここで場面は映画冒頭の裁判所待合室に戻るわけですが、


これ、上官暴行事件の怪我じゃないんですよ。全くの別件。

AWOL(Absent Without Leave、無断外出)をやらかして、
海兵隊に殴られ、殴り返したので処分を待っている状態でした。


この事故は、1966年1月17日に起こりました。

スペイン沖で爆弾の回収作業に投入されたのはUSS「ホイスト」。
そう、ブラシアが最初にコックとして勤務した艦です。
実在の「ホイスト」はサルベージ艦なので、ダイバーが常駐しています。

ちなみにこのとき衝突したのは、

B-52Gストラトフォートレスと、

KC-135Aストラトタンカーでした。

この事案はアメリカ軍の決めるところの「ブロークン・アロー」案件、
=核兵器事故として最優先で対策が行われることになっていました。


そして驚いてはいけない、「ホイスト」の艦長はまだプルマンでした。
現在35歳のブラシアが海軍で最初に配属された17年前も艦長だった人です。

海中のブラシアに、

「なんとか爆弾を見つけて、私を死ぬまでに提督にしてくれ」

なんて言ってますが、17年前に大佐なら、なれるものなら
もうとっくに提督になって退役しているはずです。

これを「火垂るの墓『摩耶』艦長在任長すぎ現象」と(わたしは)呼びます。


「何か金属片が・・・コークの缶でした」

「拾ってこい、チーフ。海は綺麗にな」

などと和気藹々と捜索中、警報音が鳴り出しました。
艦長はすぐさま潜水艦、しかもソ連のであることを推測します。

核戦略機の事故と海中の爆弾はニュースになっていましたから、
それを受けてソ連側が何か行動を起こしても全く不思議ではありません。


しかし艦長の呼びかけにブラシアは答えている場合ではありませんでした。
迫り来る潜水艦から逃げるため海底を走って(歩いて)いたのです。
しかしこれ、徒歩で逃げてもあまり意味なくないかなあ。

案の定、フィンがケーブルを引っ掛け、彼は潜水艦に引っ張られますが、
ケーブルは切れる前に無事艦体から離れ、迫り来るスクリューからも逃れ、
ブラシアは無事に海底に叩きつけられました。



しかも、解放し倒れ込んだその場所に彼は例のブツを見つけたのでした。

水爆は実際には事故から80日後、深海探査艇「アルビン」が発見、
「ホイスト」によって潜水艦救難艦「ペトレル」に引き揚げられました。



爆弾の回収に貢献した功績で、ブラシアはのちに勲章を与えられています。

そして、この作業中、あの運命的な事故が起こるのです。
wikiより、このときの事故状況を書き出してみると、

1966年3月23日の爆弾回収作業中、吊り上げケーブルが切れ、
USS「ホイスト」の甲板上でパイプが激しく跳ねた。

ブラシアはそこにいた乗員を突き飛ばして救ったが、その結果、
左足の膝下に切れたケーブルが直撃し、その組織を破壊した。
衝撃で彼の体は宙に飛び、甲板から投げ出されそうになっている。



すぐさま病院に搬送されたが、持続的な感染症と壊死に悩まされ、
最終的に左下肢を切断することになった。



サンデー曹長がカールの事故のことを知ったのは、
サンデーがアル中のリハビリ施設で妻に愛想を尽かされかけているときでした。


入院中のブラシアのもとに送人不明の冊子が送られてきました。
片足を戦闘で失いつつ義足で現役復帰している搭乗員を扱った記事を読み、
ブラシアはダイバーに復帰の決心を固めます。



その希望を上層部に訴えるも、ペンタゴンの人事製作委員会の委員になり
今や大佐に昇進して得意の絶頂のハンクスが現れてダメ出ししてきます。
この海軍同じ人物との遭遇率高すぎ。

ブラシアはそれに対し、

「怪我した脚を切断して義足にし、リハビリして復帰を果たします。
12週間後の判定会議で現役が可能であることを証明しますから、
その時には私をマスターチーフにしてください」



嫁はもちろん猛反対。

息子の存在を盾に退役を迫ってきますが、彼の決心は揺るがず、
ついに部屋を立ち去ってしまいました。

そしてブラシアは、自分の意思で脚を切断し、義足を装着しました。
(というのは映画の創作で、実際は壊死で切断するしかなかった)


ブラシアの装着した義足

実際のブラシアのトレーニングシーンをどうぞ。



ブラシアはその間、潜水学校で陸上訓練の指導をしていたそうですが、
学生たちは当初誰も彼が義足であることに気が付かなかったそうです。

ランニングの後、義足に血溜まりができていることがあっても、
彼はそれを知られないように、病院に行かず、人目につかないように
塩を入れたバケツに脚を浸して苦痛を我慢していました。


マーク5潜水服をつけて訓練用プールから上がるブラシア。

この時、彼はノーフォークの潜水学校の主任となっていた
かつての同級生に頼み込み、そこで訓練させてもらっていました。

同級生は今や特務士官として学校を率いていたのですが、
彼のキャリアに影響を与えるかもしれないこの申し出を、
快諾とは言わないまでも、引き受けて許可しています。



映画に戻りましょう。

思うようにいかないトレーニングに苛立つブラシアのもとに、
ふらりとコーンパイプを咥えたサンデー曹長がやってきます。

「やあ、もう切断しちまったか、クッキー」

クッキーというのは最初からのサンデーが使うブラシアへの呼び名で、
これは彼が最初キッチンのコックだったことからきています。

それにしてもこの男、あれだけやらかしてまだ海軍にいられるのが不思議。



しかも、ハンクスが判定会議でブラシアを失格にし追い出す気だ、
と、どこからともなく情報をゲットしてきて、さらには
留まるためにはワシントンの海軍人事を動かせ、と知恵をつけるのです。



彼の入れ知恵で、メディアに情報を流して世間の注目を集めた上で、
「英雄」ブラシア曹長は公平に人事局長を加えた聴聞会で評価されるべきだ、
という世論形成を行い、内々に処分しようとする企みを打ち砕きます。

このとき、彼はハンクスに長年の恨みから嫌味を言うのを忘れません。

「脚を失ったおかげで、彼は英雄です。”サー”」

どうして三度降格された一介の曹長が上層部を動かせるのか謎ですが、
それはやはり彼がロバート・デ・ニーロだからに違いありません。


「だがブラシアが失格したら君もやめろ」

そんな人事、大佐でも自分勝手に決定できないぞ?



その日から訓練は二人三脚になりました。
この映画のような(映画だが)訓練風景をご覧ください。

それにしてもサンデー曹長の現在の所属ってどこだろう。
(しょぼい潜水学校、と本人は言っていたけどそんなものあるのか?)


そして聴聞会の日。
海軍裁判所の廊下を颯爽と歩く二人の姿がありました。
このときのキューバとデニーロのオーラがすごい。(歩調も揃ってる)

ちな現在サンデーは二等軍曹(E-6)であり曹長のブラシアより二階級下です。


しかしながら、サンデーは入廷を許されません。


ブラシアの仰々しくすらある敬礼に鼻白んだ風のハンクス大佐は、
室内での敬礼をするのは陸軍だけだ、などと言いますが、

「すみません。しかし私が勤め上げてきた海軍では、
この日の重大さを考えれば、敬礼に値すると考えます」

と即座に言い返し、さらには、

「若いダイバーについていけないだろう」

という大佐に、これも即座に、

「ついていけないと言うのは彼らが私に、ですか?」

医療官の義足では浮上しにくいという意見にも、

「溺れたら海軍軍人らしく頑張ってさっさと死にますよ」

と答えてハンクス以外の全員を味方につけてしまいます。



しかしそのとき、運ばれてきた新型潜水服を見て法廷は静まり返ります。
この130キロの潜水服を着て12歩歩ければ認めよう、とハンクス。

日を改めてと言いかけるハンクスに、ブラシアは今ここでやると宣言します。

ダイバーが130キロの装具で、大理石の床を12歩歩けるのか、
というと、それはもし両足があったとしても現実的には不可能でしょう。



外に締め出されていたサンデー曹長が乱入してきて、
そのテストはここでやるべきではない、と演説し始めます。

ワシントンからきたと言う人事の偉い人が、彼の名前を聞くなり言いました。



「レイテで『セント・ロー』から泳いで脱出した男か。
4分息を止めたとか」

「5分です」

「ほう♡」


おじさんたちすっかり伝説の男サンデー曹長の虜です。
悪い噂は伝わっていないと見えますね。


そして、君の海軍でのビジネスは、とハンクスが言いかけると、

「失礼ですが、私にとって海軍はビジネスではありません。
我が国の最も優れた面を代表する人々の組織です。

我々には多くの伝統があります。
私のキャリアでは、そのほとんどに出会ってきました。
良いものもあれば、そうでないものもある。

しかし、私たちの最も偉大な伝統がなかったら、
私は今日ここにいなかったでしょう。」


「それではなんだと言うのだね、ブラシア曹長」

「名誉です。大佐」


我が意を得たり、と相好崩す壇上のオールドネイビーたち。


「義足で130キロの潜水服で歩くなんて、6歩で失神するぞ」

と今更言われましても。



しかも底意地の悪いハンクス大佐、普通二人に手を貸されて立ち上がるところ
一人で立たせろなどと言い出すではありませんか。
海軍の規定では手を貸すべきところですが、ハンクス大佐ったら、



「今は真鍮ではなく銅だし、改訂されたマニュアルによると、
ダイバーは自力で立てること、となっている」


そしてその書き換えを行なったのは自分だ、と得意げ。
なら仕方ないね。自分で立ちましょう。


渾身の力を振り絞り、立ち上がったブラシアに、
2階級下のサンデーが命令を下しました。

"Navy diver, stand up!
Square that rig and approach the rail."


(ネイビーダイバー起立、索具を確かにレールに向かえ)



そして、ダイバーは歩き出しました。


途中明らかに足の痛みで身体をよろめかせたブラシアに、
ハンクスが中止を命令しようとしますが、
それを提督たちが手で静止します。

9歩目からのサンデー曹長のセリフです。

「ナイン!
ネイビーダイバーは戦闘要員ではなく、サルベージの専門家である。

テン!
水中で失われたものは見つける。
沈没していれば、それを引き上げる。
邪魔なら移動させる。

イレブン!
運がよければ、波の下200フィートで若くして死ぬ。
ネイビー・ダイバーになりたがる奴の気が知れん!

さあ、このラインまで来るんだ、クッキー!」



本気で感動してしまうアドミラルズ。


涙に塗れた顔のブラシアに、ハンクス大佐は宣言せざるをえません。

「アメリカ海軍は誇りのもとに以下宣言する。
シニアチーフ(曹長)、ダイバー、カール・ブラシアの現役復帰を認める」


字幕では一等軍曹となっていますが、それは
「シニア」の付かないCPOを指しますので、間違いです。



「これで辞められる」

とブラシアは言いますが、彼の妻はもうそれは望んでいませんでした。
実際彼がマスターダイバーの資格を取るのはこの後なのです。

事故から4年後、彼はマスターダイバーとなり、その後
海軍に9年間勤務し、1971年、40歳でマスターチーフに昇進しました。

そして、法廷を出る前に(室内で)敬礼するサンデーに


こちらは無帽で敬礼を返してしまうブラシアでした。
まあ、この場合帽子はヘルメットってことになるから無理か。

というわけで当作品、海軍エンタメとしてはなかなか優れていますので、
細かいことが気になりすぎる方でなければ十分に楽しめると思います。
機会があればぜひ。

終わり。




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