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ミルク

2009-04-21 | 劇場映画れびゅー
アメリカで、というか恐らく世界で始めて自分がゲイだと公表しながら選挙を戦い、公職に着く事に成功したハーヴィー・ミルクを、ショーン・ペンが演じてアカデミー賞に輝いた『ミルク』を観てきました。
★★★★★

ハーヴェイ・ミルクっていう人自体を知らなくて、つい最近の話で現職の方なのかと思ってたら、1970年代の話でそれこそゲイ・リブの先頭に立って銃弾に倒れた人が居たという目からウロコなお話。

これまで人権運動と言えば身分差別やら人種差別、それこそウーマン・リブを描いた映画はいくつも有ったと思うのですが、いよいよゲイ・リブを大々的に興行出来るまでになったんですね。

日本の映画やらテレビではこういうマイノリティーを扱う場合、腫れ物に触るようにオブラートに包んだ表現で、まるでファンタジーな存在っつうか、“オネェキャラ”や“組合員”と言うテレビ言葉に代表される「本当は違うんですよ」みたいな事をするわけですけれど。
今のアメリカではテレビや映画にわかり易いオキャマな人やらそのテイストが欠かせない存在。
俺の大好きな映画や舞台の今の華やかなエンターテイメントは、彼らの貢献がなければ味も素っ気もないものになってたかもしれない。

そんな合衆国も1970年代まではゲイ差別が酷く、さらに悪化しかけていたこのタイミングでミルクちゃんが頑張ってなければ、今も彼らは酷い扱いを受け続けていたかもしれなかったんですね。

アメリカから始まったゲイ・リブの考え自体には根本的な部分で賛否が有るかもしれないけど、人種差別、女性差別、身分階層差別などなど、どこかで「それが間違いなのでは?」と言う声が上がってそれを正す運動が始まり、それが世界中に広がって行く。
きっとこのタイミングでアメリカから広がり始めた新しい価値観は今の日本人の価値観にもムチャクチャ影響を与えているはずで、決して対岸の火事なんてものじゃないはず。
日本中の関係者は当初無関心だったグリーヴ・ジョーンズのように他人事と思ってるかもしれないけど、観ておくべきかもよ。

スラムドッグ$ミリオネア』でもちょうどスラム出身の青年を笑いのネタにする司会者が居たので触れたけど、差別の問題は文化水準が上がるに従って人々の心が豊かになり、ミルクちゃんみたいな「おかしいわよ!」と言う人達の熱意と犠牲の上に解消されて行くものなのでしょう。
でも出来る事なら犠牲者は出して欲しくない、むっちゃ大泣きしてしまいました。

いつものダニー・エルフマンとは全然違う音楽も凄く良い。

もうね、100%ノンケなはずのショーン・ペンの演技が100%ゲイにしか見えないのと、スクリーンに映ってるのは100%ミルク本人にしか思えない演技力に拍手喝さいを贈りたい。
アカデミー賞でのコメントはこの映画を観た後に聞きたかった。

ジェームズ・フランコも実はこんなにやれる人だったのかって、次から見方が変わりそう。

全く無意味な場面でジョシュ・ブローリンの下着姿があったのは、なんかのサービス?w



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