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夢売るふたり

2012-09-12 | 劇場映画れびゅー
個性の強い阿部サダヲと松たか子を中心に、結婚詐欺にあう周りの女優達のキャスティングも面白そうだった『夢売るふたり』を観てきました。
★★★★

2時間以上もかけて、ゆっくりと徐々に高まっていくゾワゾワ感がたまらない!

夫婦で大繁盛の居酒屋を切り盛りしているふたり、不注意から起こしてしまった火事で店を失ってしまった。
イチから余所の店で働いてお金儲けを始めるも、思うように行かず自暴自棄になっている夫。
彼を支えようとラーメン屋のバイトを始めた妻。

「また店をやりたい」という夢は諦めきれないけれど、何も変わらないまま日が過ぎていくようで、夫婦の焦りが自分の事のように伝わってくる序盤。

夫の浮気をきっかけに妻の人格は崩壊し、夫の主な収入源は結婚詐欺で、妻はそれを進んで幇助するという歪な日常が始まってしまう。

あとはもう、回を重ねる度にひたすら落ちていく。
善悪の判断も次第に麻痺してエスカレート。

どこまでこの夫婦は罪を重ねるのか、観ていて非常に辛く、いつか何か思ってもいない事が起きる気がして背筋がゾワゾワ。

それを、この二人ですよ。
阿部サダヲと松たか子。
居るだけでほっこりさせる表情をしたり、素で笑いも取れるかと思えば、サイコパスの役まで幅広く映画や芝居で演じてきた主演の二人。
引出し全開で魅せつけてくれるから、ゾワゾワするのにところどころ笑いが有ったり、その後の表情が空恐ろしかったりで、この映画にぴったりのキャスティング。
夫婦がそれぞれ抱えるのに吐露しない後ろめたい気持ちがひしひしと伝わってくる。

騙される女性たちを演じる女優達もイイ顔するんよねぇ。

笑福亭鶴瓶や香川照之ら西川美和ファミリーがオイシイ役で登場するのも楽しい。

ネタバレ
ゾワゾワ感が最高に達したところで、真っ黒な映像が出てくる程に暗い、恐らく彼らの心理を投影していた映像が一気に暖かい映像に変わる。
この開放感と、最後の松たか子の表情による余韻が最高に良い。



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