そーれりぽーと

映画、旅行、植物など気の向くまま

新作映画の満足度は最高★5つで表示

ヴァチカン美術館4K3D 天国への入口

2015-03-13 | 劇場映画れびゅー
ヴァチカン美術館に行ったようなバーチャル体験が出来るのかと思って『ヴァチカン美術館4K3D 天国への入口』を2Dで観てきました。


ヴァチカン美術館にケチを付ける気はありません。
むしろ、若いころに3年連続で行った程、世界で一番好きな美術館です。

ですが、この映画は好きになれない。

4Kカメラで撮った3D映画と言うのがうたい文句なので、膨大な量の美術品の数々を肌で感じるように観られたり、巨大美術館内のスケール感が味わえるのかと楽しみにしていたのですが、関西では2K以上での上映が無い。
上映してくれた単館系の劇場のせいでは無くて、大きい劇場での収益が見込めなさそうな、趣味の領域の映画だから仕方が無いことなので、この事に対して文句を言うつもりはありません。
ただ、タイトルに、原題には無い『4K3D』と言う言葉を入れた日本の配給の意図がわからない。

2K3Dでの上映でディテールが損なわれていたら意味が無い分野の映画なので、結局2K2D上映を観たのですが、気にしていた映像云々以前に内容が酷すぎて観に行くんじゃなかったと後悔。

登場するのはヴァチカンが所蔵している中でも超有名作品が数点のみ。
しかも、全体から隅々まで時間をかけて嘗め回すように見せてくれるのならまだ納得行くのですが、全体像少し、あと部分をかいつまんで映すだけ。
ナレーションは美術館好きなら誰でも知ってそうなエピソードに終始して、作品自体についての細かい解説はほぼ無し。
全く関係の無い、どうでも良いシーン(ホコリが舞う中で兄ちゃんが演技している)がこれでもかと言う程に挿まれて、全体の30%は無駄な時間だったように思う。

この調子では、3Dでの上映で臨場感を感じるのはホコリと兄ちゃん?

そもそも、ヴァチカン美術館の壮大さを最初に説明しておきながら、何がどこにあって、どういう規模の美術館がとんな風に集合して形成されているのかなんてところは何も説明が無く、紹介されるのは数点の作品だけ。
3D映画ならヴァチカン美術館の中をゆっくりと通り抜けて行く映像を観せてくれるだけでも、美しい迷路の中を進むような映像が撮れるはずなのに、バーチャル体験も何も有ったもんじゃない映画に仕上がったのが残念。
勘違いした作者が『自分のアート作品』として作ってしまったようにも思われ、ただのプロモーション映画よりもタチが悪い。

立体を強調するのが目的なのか、他に紹介するものが山ほど有るのにサンピエトロ大聖堂の外に有る石造を美術館の所蔵のように映し出したり、そもそもミケランジェロのピエタだってサンピエトロ大聖堂側のものなのに美術館所蔵と紹介されている辺りにも違和感。

つか、最大の見所のシスティーナ礼拝堂の天井画と最後の審判にしても、もうちょいじっくり一つ一つのフレスコ画を観せる時間が有ったろうに、どうでも良い映像にばかり時間が割かれてガッカリです。

バラバラなルールで作品を紹介していくのにも違和感。
当たり前に時代に沿った作者ベースで、ルールを明確にして説明してくれたらスッと入ってくるのに、と言うか、そういう風に展示してあるのに。



ヴァチカン美術館 日本版
石鍋 真澄,石鍋 真理子
ミュージアム図書
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ソロモンの偽証 前篇 事件 | トップ | イミテーション・ゲーム エニ... »