そーれりぽーと

映画、旅行、植物など気の向くまま

新作映画の満足度は最高★5つで表示

TOKYO!

2008-09-11 | 劇場映画れびゅー
ミシェル・ゴンドリー、レオス・カラックス、ポン・ジュノ。
名前が並んでるだけでも興奮が収まらない、独特でファンタジックな世界観で映画を撮る三人の監督達が、東京を舞台としたオムニバス映画を作ったんですよ!
てな事は映画好きな人なら知ってるでしょうが、こんな凄い映画がミニシアターでしか上映していないなんて、日本の映画界は終わってませんか?
やっと大阪にも上映順がまわってきたので、早速『TOKYO!』を観てきました。
★★★★

なんという豪華さ。
今最も旬なミシェル・ゴンドリーだけでも興奮が収まらないのに、韓国映画の中でも最高のヒットを飛ばし、日本でも強烈な表現方法がバカウケなポン・ジュノと、ここ数年の活動を見てると、もはや幻の映画監督と言えそうなレオス・カラックス、世紀の鬼才という代名詞が似合う三人の監督の最新作が一本のパッケージになるなんて。
(あと、この辺にマイナー路線時のティム・バートンやら、ギレルモ・デル・トロ、テリー・ギリアム、ジャン=ピエール・ジュネらが加わると、無敵のパッケージが出来そう)

巨匠達が街を舞台とした短編を持ち寄ったオムニバス映画と言えば、『パリ、ジュテーム』が記憶に新しい。
『パリ、ジュテーム』の大成功を受けて、アメリカでは同じコンセプトの短編集『ニューヨーク、アイ・ラブ・ユー』を製作が始まったのだそうで、日本でも『東京、アイシテル』なんてのを作ってくれないかなぁと思っていたところに、この『TOKYO!』が。

『パリ、ジュテーム』や、『ニューヨーク、アイ・ラブ・ユー』の1話5分のコンセプトとは違い、1話40分弱もあるのでたっぷり楽しめますよ!

とは言え、日本人監督が混じっていないのは残念なので、やっぱ日本もやりましょうよ、1話5分で『東京、アイシテル』。

日本人監督は混じっていませんが、出演者達は日本人俳優が主で、今最も旬な俳優達が次々に登場するコラボレーション感は映画好きにはたまらない。
9年ぶりにメガホンを取ったレオス・カラックス作に至っては、ドゥニ・ラヴァンが怪人役と、知る人ぞ知るオイシイキャスティングなので、企画ものの短編とは言っても隅々まで手抜きの無いのがわかります。

公式サイトの作りは、この映画のオープニングとエンディングで登場する街並みのCG絵になってるので、気に入った方は要チェックです。

ネタバレ
インテリア・デザイン
 監督:ミシェル・ゴンドリー
 出演:藤谷文子
    加瀬亮 他、日本人俳優多数
映画監督で成功する事を夢見て田舎から出てきた青年とその彼女は、学生時代の友人宅に「すぐに住居を探すからちょっとの間だけ」と言って転がり込むが、なかなか住む場所が見つからず…。
楽観的過ぎるゆえに現実を直視しない彼氏と、彼の夢をかなえる為に現実を向き合い努力する彼女。
しかし、楽観的過ぎて周囲の目も迷惑も気にしない彼氏の存在と、東京という街のストレスに押しつぶされて壊れていく彼女は、自分を殺すが「やりたい事はやって生きる」謎の道を選択する。
東京の日常を正面から描きながら、どこかファンタジーのミシェル・ゴンドリー節が漂い、最後はパラノイアチックになって夢なのか現実なのか、そのまま終わってしまうところがたまらなく好き。
個人的には、映画DVDだけでなくミュージッククリップ集まで買ってしまう程傾倒しているミシェル・ゴンドリーと、加瀬亮の組み合わせだけでもこのオムニバス映画はお腹がいっぱいで、他の二作とは別腹でも良いくらい。

監督曰く、「東京には独特のエネルギー、NYよりももっと個性的なエネルギーがある。大好きなこの街で映画を撮れることは、とても魅力的で刺激的だ。」

メルド
 監督:レオス・カラックス
 出演:ドゥニ・ラヴァン
    ジャン=フランソワ・バルメール 他、日本人俳優多数
東京ど真ん中のマンホールから突如として姿を現した怪人“メルド(糞の意味)”。
一見してまさに異様な風体の怪人は、本能の赴くまま悪戯と破壊の限りを尽くしてまたマンホールへと姿を消していく…。
ドゥニ・ラヴァン演じる怪人に焦点を当てたこの作品は、三作の中でもずば抜けて奇妙でユーモアに溢れ、伝説の映画と言われても納得してしまいそうな有り得ないカルト作品でした。
俺はこの映画の存在自体が監督の悪戯と受け止めて、全編通して描かれる数々のブラックジョークを笑って観ていたのですが、他の観客達はクスリともしなかったので、声に出して笑うのが辛かった(汗)

監督曰く、「ミゾグチとゴジラの街で何か撮ってみないかという誘いを喜んで受けた。とても楽しみだ。」

シェイキング東京
 監督:ポン・ジュノ
 出演:香川照之
    蒼井優 他、日本人俳優数名
『殺人の追憶』は別として、『グエムル 漢江の怪物』の面白さは一度観ただけでは気づかなかった俺。
第一印象では★も3つしか付けていなかったのに、今じゃここ数年で何度も観返した数少ない映画の内の一本になっています。
そんな映画を撮ったポン・ジュノ監督が描く東京は、“ひきこもり”と、“純愛”。
親からの送金で、10年間引きこもり生活を続ける男の生活手段は宅配。
この10年間宅配員と向き合っても顔を見る事すら無く、外部の人とのやり取りは品物と金銭の交換のみだった男が、ふとした事でピザ屋の配達員(蒼井優)と目が合って…。
ポン・ジュノの凄いところは、誇張した現実を徹頭徹尾計算しつくした映画として、まるでそれが本来の姿であるかのように描くところだと思う。
その為の映像、構図の完璧さ(意図した崩しも面白い)も、彼の映画を観る度に唸るんよね。
クライマックスの舞台になる坂道なんかは、どうやってこんなロケ地を見つけたのかと思うくらいに、この場面を撮る為に存在しているような坂道でした。
香川照之と蒼井優、加えて竹中直人やらほんの一瞬顔を出すチョイ役まで、個性派揃いのキャスティングにも目が離せない。

監督曰く、「東京は特別な空気をたたえた都市。映画を通じてこの街の持つ何かを映し出すということは、それだけで興奮を呼び起こす。」


という訳で、なんだかんだ言って、結局どれもお腹がいっぱいになる作品揃いのオムニバスでした。



パリ、ジュテーム プレミアム・エディション

ジェネオン エンタテインメント

このアイテムの詳細を見る

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« シャッター | トップ | パコと魔法の絵本 »