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墨攻

2007-02-05 | 劇場映画れびゅー
森秀樹原作の『墨攻』が映画化。
はじめに聞いたときは、あんなスケールのデカい漫画をどうやって映画化するのかと驚いたのですが、アンディ・ラウ主演の中国映画と知って納得。
思う存分予算の使える中国映画なら、きっと凄いものに成ったに違いない!
何より、ちゃんと中国語の映画に成ったのも嬉しくて、期待して観てきました。
★★★

原作漫画の内、前半の粱城での篭城戦を描いている。

見た目も雰囲気も原作の主人公“革離”とは似ても似つかないアンディー・ラウを使って、よくぞここまで上手く作り上げたなという印象。
色気も何も無いオリジナルのままの映画化では無く、アンディー“スーパースター”ラウ色に色恋や人並み外れた魅力が加えられています。
逆に、タフガイ度はかなり下がっていますが。

篭城戦についても原作のままでは無く、オリジナルに有った突っ込みどころを埋めた演出に変わっていて完成度が高い。
ただし、時間の関係上か原作を知らなければ意味のわからない演出が有ったり、簡素化されていたり、人間ドラマ的な部分が大幅に変更されているのは賛否分かれるかもしれない。
いかに軍人と民衆を統率するかという難しい課題を飛ばして、恋愛や、王とその周囲の人々を描く事に時間を割いてしまったのは非常に残念。

この辺は後に“完全版”か何かがソフト化されて埋められるのかもしれません。

墨家についてほとんど何も描かれていないのは、主に中国人が観ることを前提に作られているからかな?

なんて、原作との比較ばかり書いていますが、原作なんて知らなくてもこの知略に富んだ篭城戦の映像は一見の価値有りです。

とにかくスケールがデカイ。
これは中国で映画化して正解です。
エンドロールに人民解放軍なんて書いてあったし、生身のエキストラの数も半端じゃなかったんじゃないでしょうか。

敵の数が原作の1万5千人から10万人に増えすぎているのはどうかと思いますけど…w

原作の後半も面白い篭城戦なので期待していたのですが、今回で完結の様子。
後半は描かれないようです。

ネタバレ
いかにして民衆を統率したのかがほとんど抜けてしまっているせいで、原作を知らない人には最初の防戦前後がわかりづらそう。
農民達をグループ分けして、組織的にお互いを管理していく辺りも描いて欲しかったし、その中で頭角を現すリーダーも描いて欲しかった。

弓矢が中心の戦闘なところは、原作を読んでいる人にとって新鮮だったのじゃないかな?

字幕で説明が抜けていたのかも知れませんが、戦死した敵軍の兵士の死体をトンネルに詰めるエピソードが無い。
その為、袁羽がトンネルに水を流し込んだ時に、中から腐乱した遺体が飛び出してきた場面の意味がわかりづらい。
というより、むしろ袁羽が素手で穴堀りをする場面自体も説明不足過ぎるように思う。
袁羽の役を黒人俳優に当てはめたのは上手いと感じたのですが、素手でトンネルを掘る怪力の持ち主というのとはちょっと違うようなw
この辺を前にも書いたような“完全版”で語って欲しい。

ちょうど昨年、日本で展示されていた兵馬俑を見て来たばかりなので、兵馬俑についても描かれるかなぁと期待をしていたのですが、後半の秦が関わってくるところ自体がカットされていて皆無。
残念ですw

やっぱり中国人が観る映画に、わざわざ中国からみて外国人が観て喜ぶような物や演出は出さないですね。



墨攻 1 (1)

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2 コメント

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Unknown (ケント)
2007-02-17 17:55:56
こんにちはTBお邪魔します
なかなか迫力のある映画でしたね。
ただ墨家について知らないと、理解が薄まりますね。
確かにスケールが大きい割には、主人公以外に魅力的な人物がいませんでしたね。
返信する
原作 (そーれ)
2007-02-18 00:07:53
>ケントさん
そうなんですよねぇ。
きっと中国人には原作に有った墨家についての説明が逆に煩わしかったのかもしれませんね。
あと、ファンタジーな部分も完全にカットされていいるので、どうせ後半を描かないのなら蟲を操る墨家の特殊部隊とかも描いて欲しかったです。
返信する