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『黒部の太陽』@梅田芸術劇場

2008-10-16 | ステージれびゅー
9月の観劇を飛ばして、10月の一本目は関電トンネル開通50周年記念、映画公開40周年記念の舞台『黒部の太陽』。

『黒部の太陽』とは、年配の方は誰もが知る、映画好きなら幅広い年齢層でも知らなきゃ“モグリ”な伝説の映画のタイトル。

なんで伝説になっているのかというと。
石原裕次郎と三船敏郎が、お互いのプロダクションの総力を結集して、当時の映画界の常識だった五社協定(面倒なので説明は割愛)を破って作り上げた意欲作という部分を聞いても凄そうでしょう。
でも、それ以上に箔が付いているのは、上映後は何故か石原裕次郎自身の指示で門外不出とされ、ビデオ化どころか一度もテレビ放映すらされていないのだそうで、まさに伝説というか、目にする事はまず無理な幻の映画というわけ。
でも、実は俺、そんな映画がある事すら知らなかった映画ブロガー失格野郎であります。

“舞台上で40トンの水を…”とか、“上演出来る劇場が日本中で梅田芸術劇場しか…”という点に惹かれて観にいく事にしたので、その辺のいきさつを聞くと「映画好きだし、買っておいてちょっとお得だったかも」とポジティブになっていた程度。
しかも、今回も5列目での観劇なので、噂の水を使ったアクションシーンばかりを期待していて、ぜんぜん本質的なところはどうでも良かったくらいに思い入れは無かったんです。観るまでは。

古い邦画もほとんどノーチェックで、石原裕次郎の映画なんて特に観てないんだけど、観終わって彼の映画に対する情熱を感じ(単純な俺)、観とかなきゃ!と言う気にはなりました(と、一応書いておこう)。

この先ネタバレです。

今回の舞台は、その名画(なの?実物を観たこと無いので不明)をそのままステージに持ってきただけではなくて、映画作りに燃える2大スターと製作者達の姿を描きながら、同時進行で劇中劇スタイルで映画『黒部の太陽』の芝居が展開していきます。

製作者達の場面は、撮影の光景などのシチュエーションは使わずにオフの会話を中心とした事で、この映画界をひっくり返した映画を作る大事業の困難さ、彼らの苦悩が浮き彫りになっている。
劇中劇とは完全に切り離して交互に描くことで、違う時代の二つの大事業それぞれに燃えている男たちがシンクロしているように感じ、相乗効果を生む仕掛け。
クライマックスが近づくにつれ、両者がヒートアップしていき、観る者を熱くさせます。

終始真剣な男たちを描いた真面目なヒューマンドラマではあるけれど、歌ありダンスあり、そして噂の40トンの水を使ったアクションシーンで締め括るエンターテイメント性の高い第一幕は興奮の坩堝。

死の悲しみ、挫折を乗り越えて、完遂の喜びと複雑な感情で描いていく第二幕は、エンターテイメント性こそ第一幕に劣っても、その分俳優達一人一人の演技をじっくりと観て心を委ねる事が出来るようになっている。

他では絶対に見ることの出来ない映画『黒部の太陽』のワンシーンが、スクリーンに映し出されるなどのサービスもあるし、特に珍しい梅芸限定公演という事もあるので、関西の映画好き、エンターテイメント好きは要チェックですよ!

それにしても、あの出水のシーン。
3列目までは水がかかるのでビニールを配ってましたが、5列目は丁度細かいシブキが舞ってる位で見応えバッチリ!
でも、舞台も迫力だったけど、実際の映画のあの場面、石原裕次郎は腕の骨折だけで済んだから良かったけど、あれは人が死んでてもおかしくないよね。
あんな危険な場面、五社協定云々別として映画会社的にNGでしょう。ジャッキー・チェン映画でもなければw

役者さん的には、大地康雄の演じる頑固オヤジと、神田正輝演じる北川、中村獅童は“ポスター”(w)が見所です。

来年テレビ放送予定のドラマ版『黒部の太陽』は、キャストも一新してジャニーズタレントが主役のようですが、チャラい作りにはならない事だけを願います。


次回の観劇は、月末の『キーン』。
11月は『ベントラー・ベントラー・ベントラー』、『から騒ぎ』、『幸せ最高ありがとうマジで』。
12月は『七人は僕の恋人』。
1月は『グッドナイトスリイプタイト』のチケットをそれぞれゲット済み。
他、『王立新喜劇』、『冬の絵空』、『RENT』のチケットを狙い中。

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2 コメント

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なるほど (英イチ)
2008-10-17 15:40:56
映画の部分を「劇中劇」テイストにして、元の映画の制作エピソードも劇にしている訳なんだね。しかしジャニドラマ化が決まってるってのは・・、石原プロの台所事情なんやろうかねィ。(笑)

5列目という好条件での今回の鑑賞は「きっとそーれの人徳」とヨイショしておきましょう。

ちょっと観に行きたかったなー。(残念)
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>英イチさん (そーれ)
2008-10-22 01:10:28
どうもですー!
そう、両方ともを同時に描いてテンションが高まっていく感じ。
石原プロはあの手この手で若手を育てようとして失敗してるから、視聴率稼ごうと思ったら自分とこの若手じゃ足りなくてアイドル使う事になった…としか思えんよねw
最近、席の引きが異様に良くて、だいたい14列目以内がほとんどかも、もうすぐ死ぬのかなw
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