2017年のブログです
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加藤博二さんの『森林官が語る山の不思議-飛騨の山小屋から』(2017・河出書房新社)を読みました。
といっても、戦後まもなくに出された『飛騨の山小屋』(1948・真実新聞社)という本の再刊ですので、昔の雰囲気が漂います。
加藤さんには他に、『深山の棲息者たち』(1937・日本公論社)や『密林の怪女』(1940・日本公論社)という本があるらしいですが、題名からして少し怪しげな雰囲気ですし、また、戦時中にこのような本を書くというのもすごい感じがします。
そして、この本も不思議な本です。
なんといえばいいのでしょうか、山に暮らす人々の素朴な生活、貧しいゆえの哀しい話、昔の差別による辛い話、そのような中での一服の清涼剤のような物語、などなど、一口では表わせない山の人々のさまざまな生活、お話が描かれます。
けっして幸せとはいえないのですが、しかし、そこにはなぜか落ち着きがあります。
現代は便利ですが、なにかもの足りない感じがして、人々はなんとなく不安げでいるという時代ですが、漱石さんがいうまでもなく、どこかが間違っている気もします。
再び、戦争や支配、侵略などの大きな失敗をする前に、もっともっと、人やこころを大切にするすべを真剣に考えてもいいころなのかもしれません。
そんなことを考えさせられる、不思議だけれども、いい本です。 (2017. 11 記)
私と本の趣味が似ているようで嬉しく思います。(私の読む量は知れていますが)
梨木香歩さん、南木佳士さんの作品は大好きです。特に「家守綺譚」「冬虫夏草」の世界観が堪りません。
村上春樹さんや、椎名誠さんもよく読みました。
こちらの記事の『森林官が語る山の不思議-飛騨の山小屋から』は知りませんでしたが、登山好きで飛騨の住民である私にとっては、非常に興味深く、読んでみたいと思いました。
私のほうでもブログをいつも拝見させていただいて、素敵な写真や文章を楽しませていただいています。
ところで、本の趣味が似ているというのはうれしいことですね。
友達や兄弟、恋人があちこちにいるようで、なんだか心強いです。
今後もよろしくお願いします。