2021年11月のブログです
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野田知佑さんの『北極海へ』(1995・文春文庫)をかなり久しぶりに読む。
野田さんはジーナさんや立松和平さんのカヌーの師匠。
シーナさんや太田和彦さんらと一緒にあやしい探検隊の中年部である「いやはや隊」のメンバーとして、世界各地でカヌーに乗ったり、キャンプ生活を楽しむ。
また、カヌー犬「ガク」を育ってたことでも有名。
本書は、その野田さんが1985年夏に、カナダ北部のマッケンジー川をカヌーで単独行した71日間の記録。
マッケンジー川はカナダ北部から北極海までを流れる全長4240キロの川で、その流域はインデアンやイヌイットがポツポツと住む地域。
そのマッケンジー川をキャンプをしながらカヌーの単独行で下るという、旅行というよりは冒険だ。
テントのそばにはクマをはじめとして、いろんな動物が顔を出す。
野田さんは護身用にライフルを所持するが、不思議とクマは野田さんが怒鳴るだけで退散する。
まるで、知床の大瀬初三郎さんみたいだ。
そのおおらかさが本書の魅力だ。
インデアンやイヌイットの問題も出てくるが、カナダの自然の大きさと厳しさを感じると、人間のちっぽけさも自覚させられる。
いろいろと疲れた時に読むと、いい本だと思う。 (2021.11 記)