2019年のブログです
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堀江敏幸さんの『雪沼とその周辺』(2008・新潮文庫)を読みました。
夏休みに東川町にいる時に、なんとなく堀江さんの世界にはまってしまい、ずいぶん小説やエッセイを読んでしまったのですが、今もその余韻が続いていて、またまた読んでしまいました。
特別大きな出来事もなく、ドラマチックでもなく、淡々とした日常が綴られるのですが、きれいな映像を見ているかのように、気持ちが落ちつきます。
懐かしさ、のんびり、おっとりとした世界、なんとなく心が澄んでくるような世界、しかし、一方で、切なさや寂しさ、哀しみがにじんでいるような世界。
おおげさではないものの、生きることのいろいろな場面がめぐります。
大きくはないけれど、小さい喜び、しかし、哀しみや苦しみも伴ないます。
基本にあるのは愚直な真面目さ。
真面目さだけが取り柄の真摯な人生、そして、それは喜怒哀楽、清濁を合わせた大きな世界です。
語彙不足もありますが、今のじーじのちからでは、読んだ感じをこれ以上、言葉にするのは難しいです。
本書は、川端康成文学賞と谷崎潤一郎賞を受賞していますが、それにふさわしいおとなの良質な小説だと思います。 (2019.9 記)
竹田津実さんの “獣医師の森への訪問者たち” を
先日、完読しました。
表紙の画像、素晴らしいですね。
こちらの文庫本もネットで注文いたしました。
楽しみです。
竹田津さんと堀江さん、なかなかしぶい選択ですね。
おとなの読者という感じですね(?)。
また、感想をお聞かせください。