人と、オペラと、芸術と ~ ホセ・クーラ情報を中心に by Ree2014

テノール・指揮者・作曲家・演出家として活動を広げるホセ・クーラの情報を収集中

2020年 ホセ・クーラからのプレゼント

2020-12-29 | お知らせ・その他

 

 

 

今回は、ホセ・クーラの公式YouTubeチャンネルについて、紹介したいと思います。

クーラは今年のクリスマスにあたって、自身の公式チャンネルに、自作のオラトリオ「この人を見よ」からの一節をアップし、次のようなメッセージを掲載しました。

 


” 2020年は非常に厳しいものだった。私たちにとって、老人たちにとって、私たちの子どもたちにとって。安全になり次第、再びすぐに走り出せるように、「再起動」の準備をしよう!”

 

 

本当に2020年は厳しい年でした。そしてクーラは、この困難をともに乗り越えようという思いから、コロナ禍のこの春に、自身のYouTube公式チャンネル「José Cura MUSIC」を立ち上げ、動画をアップし始めました。

動画は、この間のクーラが取り組んできた、作曲や指揮、演出の活動の記録であり、その多くが、これまでDVDやCDなどの形では発表されたことがない、レアなものです。このブログ記事でも以前に紹介しましたが、クーラが脚本・作曲・オーケストレーション、そして指揮まで手掛けた新作オペラ「モンテズマと赤毛の司祭」の世界初演の舞台も、全編がアップされています。

以下、掲載されている動画をいくつか紹介したいと思います。ぜひ直接、「José Cura MUSIC」にアクセスしていただき、楽しんでいただければと思います。

 

 


 

 

≪ クーラの公式チャンネル José Cura MUSIC ≫

 

*下の画像にリンクをはっています

 

 

 

ーー アルバムのメイキング動画 

 

いろいろな動画がありますが、アルバム録音のメイキング動画もいくつか掲載されています。

 

●98年発売のCD「アネーロ」のメイキング

 

Making of ANHELO, Paris 1997

 

クーラの母国アルゼンチンの作曲家の曲を中心に録音され、98年に発売、日本でも知られている『アネーロ(Anhelo)』の録音風景です。

アルゼンチンを代表する世界的に著名な2人のアーティスト、ギタリストのエルネスト・ビテッティとピアニストのエドゥアルド・デルガドという、クーラの幼いころからの憧れの先輩ミュージシャンと共演したこのCD。録音風景を、3人の対談、インタビューを交えながら構成しています。美しい音楽、真剣でありながら親密で、信頼関係と音楽への愛にもとづく楽しさが溢れています。そして冒頭には、クーラの生い立ちをたどる写真が紹介されています。これは本当に貴重な記録だと思います。

 

 

●2002年、ラフマニノフ交響曲第2番のリハーサル風景 

 

Rachmaninov 2º Symphony 3º mov. in Rehearsal - Sinfonia Varsovia - 2002

 

クーラは2000年代の初頭、ポーランドのオーケストラ、シンフォニア・ヴァルソヴィアの客演指揮者を務めたことがあります。その時、一緒に、このラフマニノフの2番やドヴォルザークの「新世界より」などを録音し、CDにしています。この動画は、ラフマニノフ交響曲第2番第3楽章のリハーサル風景。映像が美しいです。

クーラのラフ2は、現在、デジタルリマスター版が購入・ストリーミング可能です。

→ クーラのインタビューなどラフマニノフ第2番への想いを紹介したブログ記事

 

 

 

――指揮者として、コンサートの録画

 

●マーラー交響曲第2番「復活」 ポーランドでのコンサート全編

 

Mahler 2º symphony - Cracow 2015

 

指揮者としてクーラ念願のマーラーの「復活」です。2015年にポーランドの美しい教会でのコンサートです。

最後に、感極まった風のクーラ。なかなか指揮の機会がない大曲を演奏することができ、本当に嬉しかったことと思います。

 → 紹介したブログ記事

 

 

●2016年、プラハ交響楽団と南米音楽のコンサート

 

UNICEF FOK 2016

 

ユニセフのためのチャリティーコンサートとして行われたものです。ラヴェルのボレロとともに、クーラの母国アルゼンチンを中心に南米の作曲家の曲をプログラムに組んでいます。指揮者クーラの楽しそうな指揮ぶり、そして3年間、レジデントアーティストとしてコラボしたプラハ交響楽団との信頼関係が伝わります。

 → 演目など詳細はブログ記事

 

 

 

――演出家として、プロダクションのメイキング動画

 

これまでクーラが演出してきた作品に関する、予告編やメイキング動画、事前のイメージ動画などが多数掲載されています。オペラ道化師をもとにクーラが構成した作品をはじめ、仮面舞踏会、サムソンとデリラ、カヴァレリア・ルスティカーナと道化師、トゥーランドット、ラ・ボエーム、西部の娘、ピーター・グライムズなどです。今年2020年に世界初演されたクーラ脚本・作曲の新作オペラ「モンテズマと赤毛の司祭」では公演そのものが掲載されています。

 

●2010年、サムソンとデリラ メイキング動画

 

Samson et Dalila - Making of

 

ドイツのカールスルーエで、クーラが舞台デザイン、演出、そして主演をおこなった舞台で、DVDでも発売されています。その舞台のメイキング動画ですが、とても見ごたえがあります。歌も演技もたっぷりです。

 

 

●ラ・ボエームの選出プレゼンテーション動画

 

La Bohème - PRODUCTION PRESENTATION

 

演出にあたって、クーラが準備した舞台イメージのミニチュア模型と、それにクーラの歌をあてた動画です。こんなふうな模型を製作するなど、手作業による細かい仕事を好む、クラフトマン的なクーラの一側面がうかがえます。

 

 

 


 

 

リンクを紹介した以外にも、クーラが歌うアルゼンチンの歌曲や、子どものための歌曲集のメイキング動画などなど、多彩なものがアップされています。ぜひ直接、クーラのチャンネルをご覧になってみてください。多彩なクーラの活動ぶりの一端をみることができます。

今年は、クーラ自身も、3月のオテロに出演して以来、在住のマドリードで複数回のロックダウンを経験し、結局、年内のすべてのスケジュールがキャンセルとなりました。2021年1月にハンガリーでコンサートを予定していますが、どうなることでしょうか。

アーティストにとっても、私たち市民にとっても、2021年が、より希望がもてる年になることを心から願っています。

 

 

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ホセ・クーラ、2019から2020年へ、年末年始のごあいさつ

2020-01-03 | お知らせ・その他

 

 

あけましておめでとうございます。2020年が激動する世界と日本にとって少しでも良い年になることを、平和と安定、社会的公正の実現へ前進できる年になることを、心から願っています。今年もよろしくお願いいたします。

 

さて、昨年末には、ホセ・クーラが2020年11月に14年ぶりに来日する(!?)という大サプライズ情報が、びわ湖ホールの2020年度プログラム発表で明らかになりました。前回前々回の記事でご紹介しましたが、バーリ歌劇場日本ツアーでのヴェルディ・アイーダです。1月3日現在、まだクーラの公式カレンダーは更新されていないため、まだ半信半疑ですが、続報を楽しみに待ちたいと思います。

バーリ歌劇場来日ツアーは、びわ湖だけでなく、全国各地で12公演ということもイタリアで報道されていました。いま日程が判明しているのは、11/14びわ湖、続いて11/16の浜松も公式に発表されています。キャストはどうなるのか、クーラはびわ湖ホールのほかにも歌うのか、もし歌うならそれはどこか、とても気になります。ぜひキャンセルなく来日が実現してほしいと思います。

 → 2020年1月初旬時点での、バーリ歌劇場ツアーとクーラのびわ湖ホール出演に関するブログ記事

 

今回は、年末年始に更新されたクーラのフェイスブックでの投稿を紹介したいと思います。また昨年の末から始まったハンガリーでのチャリティー活動など、最近の活動に関する情報もあります。12/31のモスクワでの大晦日コンサートについても沢山の情報が入ってきていますが、それについてはまた後日、まとめて紹介する予定です。

 

 


 

 

 

 ≪年末年始のメッセージーークーラのFBより≫

 

モスクワ音楽院大ホールでのジルベスターコンサートのため、新年をロシア・モスクワで迎えたホセ・クーラ。フェイスブックに「赤の広場」でのカウントダウンと花火の様子を掲載してくれました。一家そろってモスクワに行き、リハーサルやコンサートで多忙だったとは思いますが、家族で年末年始を過ごすことができたようです。

 

●FBに掲載された新年のごあいさつ

 

”さようなら2019-こんにちは2020。今夜00:00にクレムリンの上空の花火ーーモスクワからのHappy new year!”

 

 

 

●モスクワに向かう前(12/28)に掲載されたメッセージ

 

親愛なる皆さん。私は大晦日コンサートのリハーサルと公演のため、明日モスクワに向かう。コンピューターは持っていかない(家族に殺されるので...)。

2020年が皆さんにとって、最高の年になることを願っている。
2020年が、多くの意味で、私たちに非常な困難を与えるだろうことは秘密ではない。だからこれまで以上に、私たちは皆一緒に強くなり、お互いを見守り、互いに助け合い、お互いを守り、喜びを与えなければならない。そして、とりわけ悲しい瞬間にともに居なければならない。

いつものように。そう。しかし2020年は、「いつも通り」の年ではないだろう。だから、愛のコミットメントを増やす必要がある。
人類はそれを必要としている。さもなければ、影から、私たちの存在を彼らの利益のために操作している者が勝つ。

Peace & Love 
José

 

  


 

 

≪ハンガリーでのチャリティー活動≫

 

2019年秋から、ハンガリー放送芸術協会の首席客演アーティストに就任したクーラ。さっそく、多彩な活動が展開されています。コンサート、レコーディング、そしてクーラ作曲の新作オペラの世界初演の日(2020/1/29)も迫っています。そして年末の時期には、いくつかのチャリティー活動にも参加しました。 

 

 

●未熟児で生まれた子どもたちを支援するキャンペーンへの協力

 

公共メディアと慈善団体による、早産などで特別な治療を必要とする赤ちゃんを支援するチャリティ活動。クーラが協力を呼びかける動画に出演しています。ハンガリー語の吹き替えが被さって、クーラが何を言っているのか理解できないのは残念です。

 

 


●チャリティーオークションへの出品

 

クーラが出品したギフトボックス。ホセ・クーラとオリガ・ボロディナが出演、C・デイヴィス指揮のサン=サーンス「サムソンとデリラ」 (全曲)2枚組CD、1996年にロンドン・ロイヤルオペラハウスでのサムソン出演時にクーラが着用したかつら(!)、メッセージカード付、サイン入りです。すでに落札されています。

 

 

 

●”音の彫刻”オークション

 

クーラがコンサートなどで何回も出演している音楽ホール、Mupa(ブダペスト芸術宮殿)を中心としたチャリティ活動のようです。ホールに出演したアーティストの音楽のイメージを、著名な彫刻家が木工作品にして、それをオークションにかけて販売するという企画らしいです。売上金は、ある貧しい地区において木工工場で雇用を増やす事業に使われるとのことです。

クーラをはじめ、指揮者のアダム・フィッシャー、イヴァン・フィッシャー、ズービン・メータ、歌手・演出家のローランド・ヴィラゾンら、多くのアーティストが参加して、自分の音をイメージした作品にサインをしました。実は少し前までは、それぞれのアーティストのページが公開されていて、そこにアーティスト紹介と各人による音楽ファイルが掲載されていたのですが、現在はアクセスできなくなっています。

写真は、”音の彫刻”にサインするクーラと、完成した彫刻です。

 

 

 

 


 

 

今回は、昨年末のハンガリーでのチャリティ活動について紹介しましたが、クーラはこれまでもチャリティに熱心で、可能な限り協力してきました。アーティストとして社会への関心を常にもち、自由と平和と社会的公正を求めるクーラにとって、当然のことなのだと思います。

そのことは、年末のメッセージにもよく表れています。激動の世界、困難な課題は山積し、紛争、難民問題、貧困、気候変動と環境破壊・・そのもとで多くの人々が苦しんでいます。クーラはそういう世界だからこそ、愛と連帯、互いの協力と尊敬を忘れず、世界を変えるチャンスを求め続けることを訴えているのだと思います。

今年は16年ぶりに、クーラの来日が実現するかもしれません。びわ湖ホールの公式発表によると、オテロでもサムソンでもなく、またオペラアリアコンサートやアルゼンチン歌曲のリサイタルでもなく、なんと初来日時の演目であるアイーダの青年将校ラダメスです。57歳のクーラが、円熟の解釈と表現力を久しぶりの日本で見せてくれるのを、そしてそれが本当に実現することを、楽しみに待ちたいと思います。

 

 

*画像はメディア、関係機関のFB、動画などからお借りしました。

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ホセ・クーラ 2019年カレンダーに3つの新しい公演を追加

2019-06-01 | お知らせ・その他

 

 

5月28日、ホセ・クーラは、フェイスブックで、2019年内の新しい公演予定を発表しました。

すでにブログの記事で紹介済みの、8月のプッチーニ・フェスティバル「トスカ」が正式に掲載されたほか、11月のアテネでのコンサートと、12月大晦日のモスクワでのコンサートです。

2006年以来、10年以上も来日がないクーラ。そのためもあって、日本ではほとんど話題にのぼることはないですが、このブログでささやかながら紹介してきたように、円熟の50代半ばを迎え、人間的にも芸術的にもいっそう深みと厚みを増し、また声の魅力と威力も健在、パワーと存在感、芸術的なユニークさにおいて、今も、他の追随を許さないアーティストだと私は思います。

クーラはますます歌う機会を減らしていますので、クーラを観て聴いてみる機会として、この3つの公演は、とても貴重です。ということで、3つの公演の概要をいま分かる範囲でお知らせします。

 

●クーラのFBより

→ クーラの公式カレンダー

 

 


 

≪プッチーニ・フェスティバル2019のトスカ≫

 

 

プッチーニが生前暮らした町、トッレ・デル・ラーゴで開催される音楽祭のプッチーニフェスティバル。

今年、クーラが出演するのはトスカで、8月11、18日の2公演です。クーラが演じるのは、トスカの恋人で、共和主義者の画家カヴァラドッシ。信念にもとづいて友を匿い、拷問にも屈せず、敢然と死に向かうカヴァラドッシは、理想主義者のクーラにぴったりの役柄でもあります。

トスカはマリア・グレギーナ。24日の公演は別キャストです。 → 詳細

プッチーニ・フェスティバルは、演目も出演者も多彩で豪華。湖畔の野外劇場で、ロケーションも素晴らしいようです。 → 以前、紹介したブログ記事

 

こちらはイタリア大使館観光局の紹介ページです。今年の演目が日本語で紹介されています。

 

●こちらはフェスティバル公式HPのチケット購入サイト。現時点では、どの公演もまだ席に余裕がありそうです。


 

 

≪アテネでのコンサート≫


 

 

2019年11月22日、ギリシャのアテネでのクリスマス・ガラコンサート。クーラは歌手としての出演で、オペラアリアコンサートだそうです。

 →公式サイトはこちら

会場は、アテネ・オリンピックの卓球と新体操の会場となった、ガラチ・オリンピックホールです。

 

 

 

オリンピック後、競技場としての利用はすでに終了し、やはり跡地利用で変遷があったようです。このあたり、来年の東京のその後ともかかわる問題ですね。

そして今回のクーラのコンサートは、このホールを利用したクリスマスを前後する数カ月にわたる「クリスマスシアター」という多彩なプログラムを集めた興行の一環のようです。もともとスポーツ用のホールに、舞台、客席、オーディオ・ビデオ機器、巨大スクリーンなどによって、最新の劇場に変身させるとうたっています。

巨大会場なので、専用の音楽ホールと違い、当然マイクを使ったコンサートになると思われます。とはいえ、クーラはこれまでも大きな会場でのコンサートを何度も成功させていますし、エンターテイナーとしてのクーラの魅力とカリスマ性が発揮されるユニークな公演になると思います。

 → チケットはこちらから購入できるようです。

 

 

≪モスクワ音楽院でのコンサート≫

 

最後は、ロシアが誇るモスクワ音楽院(チャイコフスキー記念国立モスクワ音楽院)の大ホールでのコンサート。

2019年最後をしめくくる12月31日、大みそかです。クーラは指揮と歌。指揮者としてクーラが何曲か、オーケストラを指揮し、歌手としても何曲か歌う、という形だと思います。

チケットはこちらから買えるようです。

モスクワ音楽院での他の公演もふくむ全体の案内はこちらを。目に入っただけでも、クーラの他にも、アンドレアス・ショルやジョイス・ディ・ドナートのコンサートなど、多彩な公演が行われているようです。

クーラは今年3月にもこのモスクワ音楽院でオペラアリアとデュエットのコンサートを行い、熱狂的な観客の喝采をうけました。

素晴らしい音楽ホールで、音響もばっちりですし、クーラは指揮も、歌も、ということで、行けないのが本当に残念です。おすすめです。

 

モスクワ音楽院

 

 

 


 

まだ詳細が分からない部分もありますが、いずれもすでにチケットの販売が始まっています。

この夏、秋、そして年末、イタリア、ギリシャ、ロシアと、なかなか気軽に行ける場所ではないのが残念ですが、それぞれ魅力的な公演になりそうです。もしこの時期、この方面にご旅行を予定されている方がいらしたら、ご検討されてみてはいかがでしょうか。

 

 

 

*写真は、公演の主催者HPなどからお借りしました。

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ホセ・クーラから2017年新年のあいさつ / Jose Cura "Happy New Year 2017"

2017-01-02 | お知らせ・その他




2017年を迎えました。皆様にとって、健康で実りある年となることをお祈りいたします。

ホセ・クーラは、新年にあたって、フェイスブックにメッセージを掲載しました。トップに掲載した画像の左側のイラストをそえて、以下のような内容でした。





“2016年は世界にとって本当に厳しい年だった。2017年も、すべての面でさらに厳しくなりそうだ...。
 しかし、もし、善良な人々が力を合わせれば、ダメージを最小限に抑えることができる!
 この友好関係を求める私たちすべては、手をつなぎ、前に足を踏み出そう! Peace and Love! ”


一般的なあいさつや、祝賀気分ではなく、社会的なメッセージを込めているところが、クーラらしいです。

さて、今年は、クーラにとって、本当に挑戦の年、アーティストとしての新しい地平をまたひとつ拓く年になると思われます。


●ワーグナーに初挑戦の年

今年はじめてのオペラ公演は、2月の19、22、25、28日、モンテカルロ歌劇場です。
演目は、ワーグナーのタンホイザーのタイトルロール。クーラにとって、はじめてのワーグナー挑戦となります。
しかも、めずらしいパリ版フランス語上映。もちろん新プロダクションです。

 → 詳しくは、ブログの記事 「(緊急告知編) 2017年 ホセ・クーラ ワーグナーのタンホイザーに初挑戦」


モンテカルロ歌劇場HPより





――ついに実現するワーグナーでのデビュー(2016年9月のリエージュでのインタビューより再掲) 

Q、2007年のインタビューでは、2010年にコンサート形式でパルジファルを歌うと聞いたが?


A、私はドイツ語を怖れ、自分のスコアを知っていたが、コンサート形式なら可能だろうと思い、受け入れた。しかしコンサートは残念ながらキャンセルされた。

Q、ついに2017年2月に、モンテカルロでワーグナーのタンホイザーにデビューするが?
A、タンホイザーは、偉大で、巨大な、非常に難しい役柄であり、私は怖ろしく怯えていることを告白しなければならないが、もし私がマスターしていない言語でそれを解釈しなければならないならば、それは単に不可能だっただろう。少なくとも、フランス語版のおかげで、私はワーグナーを歌うことができる。

Q、このフランス語版タンホイザーのプロジェクトはどのように始まった?

A、私がヴェルディのオペラ、スティッフェリオのためにモンテカルロ歌劇場に行った時、Jean-Louis Grindaは、タンホイザーのパリ版をやりたがっていた。彼が私に提案し、私はやりたかったと答えた。そして、それがフランス語で正式に書かれた唯一のワーグナーであるので、私の唯一のワーグナーへの挑戦となるだろうと思う。

Q、言語だけでなく、長さも問題になる?

A、私はタンホイザーと苦闘している。キャラクターのなかに意味を見いだすために、多くの労力を費やす。音楽が展開するにつれて、つぎつぎ現れ、3秒で表現されている可能性すらあるメッセージをつかみとるために。
レトリックはワーグナーのスタイルの一部であり、その音楽の美しさは信じられないほどだ。しかし、イタリアオペラのリズムに慣れ、「リアリズム」の演技のなかにいる人間には、多くの思考が必要であり、私はバランスを見つける必要がある。


●はじめての英語のオペラ、ブリテンのピーター・グライムズの主演・演出

もうひとつの大きなチャレンジは、5月にドイツのボン劇場で、初めてのブリテンのオペラ、ピーター・グライムズに、演出・舞台デザインと主演でのぞむことです。長年、やりたいと願ってきたピーター・グライムズがはじめて実現します。しかも演出も。
重責ですが、大変な喜びだと思います。


ボン劇場のHPより、日程


キャスト、スタッフ



――最大のチャレンジ、ピーター・グライムズ(同じく、2016年9月のリエージュでのインタビューより再掲)
Q、2016-17シーズン中のもう一つの冒険、20世紀の英語のオペラで歌い、演出する?


A、ピーター・グライムズは、私のキャリアにおける最大のチャレンジ。
私はいつも、これを歌うことが夢だと言い続けてきたが、ボン劇場の人々が、私のインタビューでそれを読み、私を雇った。そしてまた、私は誘惑に抵抗できなかったために、演出もおこなう。
ブリテンにおいて、私はほとんどゼロからスタートする必要があり、特に美学、言語、音楽、30年の歌のキャリアの後に、これは非常にリフレッシュになる。
台本は本当に信じられないすごさ、素晴らしいスコア、音楽とアクションとの間の結びつきは総合的で、私自身にとっては、ワーグナーよりも、はるかに快適な方法だ。このプロジェクトは、私の情熱を大いに鼓舞してくれる。

Q、ホセ・クーラにとって、残っている探求は?

A、私のキャリアにおいては、私を魅了し、最も喜びを与えてくれるキャラクターにアプローチし、そして、私が快適に感じ、人びとに何らかのおもしろいものを提供できる場所で過ごすことができた。アーティストとして幸運である場合、期待にこたえ、妥協を受け入れず、自分自身に対して厳しくあることが不可欠だ。
私は、歌手として夢見たすべてをやることができた。まだピーター・グライムズが残っていたが、今シーズン、歌えることになった。成熟した役柄のためには、何年もかかる。明らかに、成熟度の点では、最初のピーター・グライムズは、250回演じたオテロのようにはいかない。だから私は、かなりの時間をかけて、ブリテンの英雄を解釈することができるよう願っている。


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いつも好奇心とチャレンジ精神をもち、リスクを恐れず、新しいこと、おもしろいこと、価値あることを求めて、歩み続けるクーラ。
それぞれの挑戦が、成功し、豊かな経験と成果をもたらしてくれることを願うばかりです。

この他、2017年のスケジュールについては、スケジュールを紹介した以前の投稿、そしてクーラの公式カレンダーをご参照ください。


●ナレーターに初挑戦

チャレンジといえば、昨年、クーラは、ドキュメンタリーのナレーターの仕事でもデビューしました。
それは、イタリアの有名な高級赤ワイン、アマローネのワイナリーをとりあげたドキュメンタリーの、スペイン語版のナレーションです。
アマローネは、クーラが最初に欧州に移り住んだヴェネト州ヴェローナ近郊で生産されているそうです。クーラの好きなワインの1つでもあるとのこと。
ワインづくりの地道で丹念な手仕事の伝統は、クーラとも共通するものを感じます。

ナレーターデビューを紹介したクーラのFB



動画の初めの方と、終りに近い部分で流れるスペイン語のナレーションがクーラです。YouTubeより
Masi. El Sabor del Tiempo de A. Segre



ドキュメンタリーの監督は、アンドレア・セグレ。移民問題など取り上げた映画で、たいへん評価の高い監督で、社会学者だそうです。
移民を迎え入れ、民族や人種による差別を乗り越えた寛容で民主的な社会を探求する監督が、イタリアの土壌に根差した食文化、伝統と熟練の技で守り続けられているワイン醸造のドキュメンタリーを手掛けているというのは、たいへん興味深く、示唆に富むことのように思います。
それぞれの民族、地域の、良い伝統文化を大切にし守るということと、他民族、移民を受け入れ、共存するということは、決して矛盾するものではないのだといことを伝えようとしているように思われます。

クーラ自身もアルゼンチンから、1991年にヴェローナに移住してきました。当時イタリアで移民排斥の勢力が伸長し、やむなくフランスに移り住んだ経験をインタビューで語ったこともあります。そういうクーラが、このヴェローナ近郊で生産されるワインのドキュメンタリーでナレーターをつとめたことに、私は少し胸が熱くなりました。





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はじめまして

2016-02-14 | お知らせ・その他
これまでツイッターを中心にホセ・クーラの情報を発信してきました。
ある程度まとまった形で情報を残したいと思い、ブログをはじめることにしました。
よろしくお願いします。
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